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妖精さんが世界をハッピーエンドに導くようです  作者: 生ゼンマイ
第七章 ダンジョン都市アモーネ
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閑話・7 臨時パーティ結成

短いですがどうぞ。


彼等は出会ってしまったようです。

「ふぅ、無事終わったな。お前さんもすまなかったな、最後まで付き合わせてよ?」

「へい。こっちとしても良い経験でしたよ。ダンジョンの踏破なんてそうそう出来やせんからね。ではこれで失礼しやすぜ?」

「おう、お疲れさん」



 あれからバンダルバはマチューの言葉通りに事を成していた。幾つかのダンジョンに潜る際バッカーを雇い罠の解除方法を教えて貰いながら制覇していたのだ。

 因みに、その際に出た魔道具は全て売って金にし、魔物の素材は全てバッカーにやっていたので、バンダルバがバッカーを募集すると必ず奪い合いになる程の人気だった。


 そして、今日もダンジョンを制覇し戻って来たところで、入り口付近に見知った者達を見付ける。


「「あ」」

「あん?……お前ら、こんなところで何やってんだ?」

「私達は2人でハネムーンですよ」

「モリアロが提案していたんで是非にと」

「……ダンジョンにか?」

「「そうですけど?」」


 そのダンジョンの入り口に、モリアロとスビアが立っていたのだ。2人はセニャル・ヤスパー組と同時期にガルアニアで結婚を果たしたのだが、何故か結婚旅行先がダンジョンだった。

 本人達はお互いで組めばもっと高め合えると思っていたので喜々としてそうしたのだが、それを聞いた時のセニャルは顔を引き攣らせながら「この戦闘狂カップル……」と呟いていたらしい。

 

そしてそれはバンダルバも同意している部分である。


「俺が言うのもアレだけどよ…もうちょっと夫婦っぽくなれねぇのか?5年互いに闘い合う事しかしてなかっただろお前等?」


 爺臭いかもしれないが、長年武闘会に参加し続けていたバンダルバにとっても、2人は深い顔馴染みなので、もう少し人並みの幸せを享受するべきではないのか?とお節介な事を言ってしまう。

 だが、2人は笑顔でそれを否定する。


「これからは共に戦い高め合えるんだ。これほど嬉しいことは無いと思います」

「そういうのは限界まで強くなってからでも遅くは無いですよ。今は一緒に居るだけでも私は幸せですから」

「ああ、もう良い馬鹿ップル。それ以上聞いたら俺は口から蜂蜜を出しそうだ。俺はもう行くが、お前等は今からか?」

「いえ。今日は下見です。バンダルバさんはもう行ってしまうんですか?」

「ああ、俺はアモーネに行くつもりだ。ちょっと知り合いに聞いて、良い修行場所を紹介して貰ってな。1人で行きたいから、今は下準備ってところだ」


 なるほどと2人は頷いた。アモーネは他のダンジョンと違い大きく、そして罠も多い。それ故冒険者が単独で入ることは非常に難しいのだ。そこを1人で行くというなら、必ず『罠外し』のスキルを持っていなければならない。


 だが普通はそんな面倒な真似をする冒険者はいないので、いかにもバンダルバらしいと2人は思った。



 その上で、


「その修行場所、気になりますね」

「ああ、私達にも紹介してくれませんか?」

「……やべぇ、言うべきじゃなかった」


 2人が戦闘狂なのを理解しながら自然に口に出してしまった事に激しく後悔をしてしまう。何とか言い逃れをしようと頭を回すが、彼は嘘を付くのが非常に苦手なので、中々良い言葉が見つからない。なので正直に言うことにした。


「駄目だ。そこは俺の元師匠が地獄を見たというぐらい過酷なんでな。お前達は足手纏いになる。だから絶対に教えん」

「なるほど……わかりました。なら止めておきますよ。なぁモリアロ?」

「そうだね。私達は身の丈にあったダンジョンで高め合おうか」


 思いの外すんなり受け入れてくれたことにホッとすると、そのままバンダルバは2人に別れを告げ、その場を後にする。

「「……」」


 2人はその背中をずっと見守り、その内歩きだした。




「付いてくんなっ!!!」

「「っち」」




 ダンジョン都市アモーネに到着すると、その光景にバンダルバは目を疑っていた。


「……雪なんて降る程高地じゃねぇよなここ?」


 アモーネは、一面に雪が降り積もっていた。そして何故か冒険者や商人達が全員項垂れているのだが、市場事態は盛況だった。バルンダルバも商人護衛で何度かは訪れた事があったが、こんな事は初めてだった。

 そして一体何があったのかそこらへんを歩いていた者達に聞いてみたところ、共通して『桃源郷の氷華』の単語が出たのだ。


「あいつら……一体何やったんだ?」


 そしてギルドに行けば何か分かるかもしれないと向かって話しを聞いてみれば、現在ギルド長は補充待ちで、その原因が都市内で一部圧政をしていたというから驚いた。そしてそれを『桃源郷の氷華』が介入し全てを嵐のように掻き回した挙句に終わらせて去っていったと言うのだ。


 その際の契約書を見せて貰ったが、やり口が鬼畜過ぎてバンダルバは大笑いしてしまった。なるほど、あの嬢ちゃん達ならその程度のことはやりかねないと思っていたからこそだった。



 そして、同時に溜息も吐いてしまう。


「いやぁ、流石我等が恩人だね。私達に出来ない大業を平気で成し遂げてしまう」

「そうだな。冒険者全員とタイマンするなんて正気の沙汰とは思えんしな」

「お前等も正気じゃねぇよッ!!!!」

「「?」」

「首の傾げ方までシンクロしてんじゃねぇッ!!可愛くねぇんだよ馬鹿どもッ!!」



 当然の様に後を付けていたスビアとモリアロだった。何度も撒こうと頑張ったのだが、何度撒いても次の日には視界に入るので、もはや恐怖すら感じ始めていた。

 ステータス差で引き離したにも関わらず付いて来る2人に、もうバンダルバは否定の声すら出せなくなる。


「分かったよ…一緒に行ってやるけど、命の保証はまったく出来ねぇんだからな?危険だと思ったら即座に逃げろよ?」

「「了解しました」」

(……了解している顔に見えねぇんだよ)



 誠に不本意ながら、此処に臨時パーティ『決死隊』が結成されたのだった。

「バンダルバさん、俺が前衛やるんでその場所まで罠外しお願いします」

「私は後衛で砲台に徹しますね。道案内だけお願いします」

「俺にも戦わせろよ!?そして戦闘面でイチャイチャすんなぶっ殺すぞッ!!!?」

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