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妖精さんが世界をハッピーエンドに導くようです  作者: 生ゼンマイ
第七章 ダンジョン都市アモーネ
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第102話 戦利品と勧誘

「レーベル久々に小っちゃくなったね」

「うむ。聖鎧戦の時はアリーナが持続時間を伸ばしてくれたから大丈夫じゃったが、今回は色んな意味で疲れたのじゃ。労ってたもれ」

「どのくらい欲しい?」

「一杯じゃ」

「了解」

「にゅわ~♪」


 モーリスの上で持続時間が切れて寝始めたアリーナを抱き締めて寝転がるレーベルの頭に手を当て、静かに魔力を流していくと何か可愛い鳴き声が聞こえて来たね。そのまま撫でてあげようってコラ、その手を掴んで指を甘噛みしながらしゃぶるんじゃないよ。


 シエロと美香は子供達にご飯の作り方を教えさせている。といっても簡単な肉野菜炒めとかだけど。調味料の量だけ注意するように言っておいたから多分平気……だと良いなぁ。

っと、そうだ。苗にクアッドの事任されたけど、ちゃんと聞いておかないとね。


「ねぇクアッド。貴方はこれからどうする?っていうか、暫くの間は付き合って貰うことになっちゃうんだけどさ。その後とかさ」

「私としては、是非これからもアイドリー嬢に付いていきたいですな。恩返しもさせて欲しいですし、貴方達を見ていると楽しいですので。よろしいですかな?」

「勿論ッ!これからよろしくね?」

「ええ、皆様もどうぞよろしく」

「「「よろしくッ!!」」」



 さて、漸くダンジョンの厄介ごとが全部終わった。これから帰る訳なんだけど、その前にステータスのとか戦利品確認でもしとこうか。ほら、皆あつまれ~。


 

 まずはやっぱり子供達。皆揃って100を超えて立派に生きていける程度にはなった。これだけのステータスであれば、態々この都市でバッカ―をやる必要も無い筈だ。


「アシア達子供組も立派になったね~」

「アイドリーさんのお蔭だよ。大人になったら凄いことになりそうだなぁ…」


・子供達の平均ステータス


Lv.120

HP 700/700

MP 320/320

AK   260

DF   210

MAK  290

MDF  220

INT  80

SPD 280


スキル:投擲(D~C+)罠外し(C+~B)



 冒険者で言うならDランク相当になる強さだね。投擲があるから中距離からナイフを投げれば複数人で魔物を狩ることだって出来る筈だ。解体も皆出来るし、戦うことも怖くは無い筈。私達の戦ってる姿を散々見た訳だしね。しかも夜にボードゲームもしてたからINTが少し上がった。今回の探索の目的としては合格だと太鼓判を押してあげたい。


 それじゃあ次シエロ。彼女のレベルも子供達とほぼ同じぐらいだ。


「シエロもお疲れ様」

「私、初めて身体を鍛えましたよ。ほら、腹筋もちょっと付いたんですよ?」

「素晴らしく綺麗なその臍を舐めろと?」

「言ってないですよ!?」

 いや、お腹捲って見せてくるから……


シエロ・フォルブラナド・レーベルラッド(15) Lv.130


種族:人間


HP 1340/1340

MP 2470/2470

AK   1215

DF   989

MAK  2166

MDF  2370

INT  330

SPD  911


【固有スキル】予言 神眼


スキル:水属性魔法(B-)投擲(C-)

料理(D-)


称号:聖女 巫女 


 毎日水を出させたり回復させたり、夜は動けなくなるまで筋トレさせた結果、常人並みの体力を短期間で手に入れることに成功したシエロ。お疲れ様、これで貴方はそこらへんの冒険者や狂信者に襲われても対処出来る程度には強くなったよ。一番成長したと思う。


 ……何か、フォルナのことといい、国の代表的立場の人を鍛える機会が多いんだけど、まぁ友達だからしょうがないね。気にせず次に行こう。



「美香は今回かなり助かったよ。ポンコツ勇者は卒業だね」

「えっへんッ!!」



桜田 美香(20) Lv.387


種族:人間(覚醒)


HP 14万5611/14万5611

MP 31万3350/33万3350

AK   3万1477

DF   2万2400

MAK  5万6780

MDF  5万1102

INT  4200

SPD  5万3900


【固有スキル】自動回復 聖剣 自動翻訳

マジックボックス 精神耐性


スキル:剣術スキル(B+)隠蔽(C+)

鑑定(―)


称号:勇者 転移者 女神に祝福された者



 サソリ戦では最後まで戦い続けたし、聖鎧戦では前線で獅子奮闘の活躍をしてくれたとアリーナが話していた。『精神耐性』も手に入れて、大概の事にも動じなくなったしもう立派な勇者だと思うよ?少なくとも今まで見て聞いた中では一番だね。レーベルラッドでもシエロの良き守護者になってくれると嬉しいな。



「レーベルはそこまで上がらなかったね」

「我は元々レベルが上がり過ぎておったからの。戦闘も見守ることが多かったからしょうがあるまい。その分蜜酒を飲めたから良いのじゃ」


 まぁレーベルが居なかったら間違いなく20層越えられなかったし、聖鎧戦も安心して戦えなかったからね。色んな意味でMVPです。ツッコミとしても君は欠かせぬのよ…


 じゃあ最後、アリーナは補助で回る事が多かったけど、美香と一緒にグールを倒しまくったからね。レベルがテスタニカさんを越えたよ。やったねアリーナ。妖精郷最強だよ!


「ぶ~い~んにゅあ~…」

「あー良いよ起きなくて。寝てな寝てな」

「ん~……zZ」


アリーナ(103) Lv.366


種族:フェアリー


HP 1570/1570

MP 1万3420/1万3420

AK   899

DF   6420

MAK  3590

MDF  1万0057

INT  1万6500

SPD  530


【固有スキル】妖精魔法 顕現依存 限定成長


スキル:隠蔽(SS)複数思考(SS+)双剣術(A-)



 ただの妖精なのによくここまで強くなったと思うよ。そしてINTが遂に私の倍以上になってしまった。もう私が彼女に敵う事は一生涯無いだろう。どこまで突き抜けて行くんだろうねアリーナは……


 それでクアッドなんだけど。ダンジョンコアから外れた影響なのか、、ステータスと種族に多大な変化が起こっていた。



クアッド・セルベリカ(0) Lv.300

固有種族:アマルティス(覚醒)


HP   5985/5985

MP  420万0250/420万0250

AK  30

DF  3677

MAK  38万8021

MDF  36万5470

INT  3万5500

SPD  7万3344


【固有スキル】妖精魔法 顕現依存 妖精の眼 精密行使


スキル:人化(EX)

    

称号:転生妖精



・精密行使

『あらゆるスキルランクが1つ上昇する』



 まずダンジョンから完全に切り離された事により、種族がアマルティスになっていた。意味は『奉仕者』だってさ。けど私としてクアッドは奉仕される側にあった方が良いと思うんだ。もう散々世界の為に尽くしてきたんだし。


 それで、種族が変わっていたのか称号に『転生』の文字があった。この世界での転生者に仲間が出来て私としては嬉しい。『精密行使』はスキルを覚えていけばかなり役立ちそうだね。


「というか、クアッドって何で妖精準拠の人化してないの?」

「さて、それは私にも分かりません。まぁ不便では無いので構いませんが」


 まぁダンディな老紳士とかその場に居るだけで私としては満たされるんだけどさ。しかもクアッドさん見た目からは想像付かないけど妖精だからお茶目なんだよね。ずっと膝の上に乗っていたくなる。




 さて、こんなところか。私のステータスは変わってなかった。ただ称号に『ダンジョンルーラー』って称号が追加されてただけよ。何か私が代理品を繋げた所為でパスがこっち権限になったんだよね。しょうがないからオートにしてほっぽりだしたけど。



 それよりも魔道具だ。役に立つのがあると嬉しいね。ということでクアッドに一個ずつ説明して貰った。


・レブナントボード×6

『レブナント鉱石を加工し取り付けたボード。魔力を流すことにより空中での移動を可能とする。流す魔力によりスピードが増減する』


 因みにこの魔道具、全て魔女達が持って来た物らしい。もし本当にダンジョンクリアした人間が居た時の為にそれぞれが持ち寄った最高の品なんだとか。なんだかんだ楽しんでたんだね皆。

 大きさ的にはサーフボードみたいな感じかな。ちゃんと足を固定出来るようになってるから、頭から落ちないようにしてゆっく~りゆっく~り……


「お、おぉッ!浮いたッ!!」

「テンション高いのう主よ。普通に飛べるじゃろうに」

「アイドリーズルいッ!私もやるッ!!」


 ボードはどうやら重心移動と傾きによって進行方向が変わるようだ。私は周りながら段々と空中を登っていき、色々と動いてみた。一回転したり急旋回急停止も問題無い。レブナント鉱石もかなり純度が高いみたいで、これなら多少強めに魔力を消費しても大丈夫そうだった。これ量産出来たら売れるね。


 あ、美香が顔面から落ちた……


「……グスッ……いだい…」

「あーほらほら泣かないの。練習すれば出来るようになるって。補助してあげるから頑張ろ?ね?」

「……うん」


 精神耐性はどうしたのさ……。暫く隣で手を繋ぎながら飛んであげたら出来るようになったので、シエロに教えてあげて欲しいと言っておいた。私は次の魔道具の説明をクアッドに求める。


 クアッドが持ったのは、手の平サイズのベルだった。


・魔物避けのベル×6

『一定時間魔物が嫌う音を出すベル。音は人間には聴こえない』


 おぅ……これは商人に売ったら革命が起きてしまうな。冒険者が廃業する可能性あるから量産出来ないな。次々、



・魔光剣×10

『魔力を消費することにより魔力で構築された刀身が出現する剣。切れ味は消費した魔力に応じて変わる』


「これは良いね。ちょっと使ってみよっか」

「長いこと使ってない物なので、慣らし程度で使った方がよろしいかと」

「ういうい」


 魔力を流してみると、魔力の刀身が出現した。何度かその状態で壁を殴ってみると、10回程で砕ける。どうやら消費量で剣の強度も変わるみたいだね。これは魔法主体の人には良いかもしれない。量産可で。



「で、最後だけど。これデカくない?何の魔道具なの?」


 丸い球体の…何かの金属で出来てるね。


「それは、魔導金属体という物です。球体の中心部に加工されたレブナント鉱石がありまして。魔力を流すとイメージした物に変形するのですよ。例えば武器にすれば何度変形しても直ぐに元に戻るから手入れ要らず」


 そう言ってクアッドが魔力を流すと、球体がスライムの様に蠢き、その一部を切り離した。そしてクアッドが言ったように、シンプルな槍の武器になる。


「そして、一定距離離れた金属は、母体となるレブナント鉱石に引っ張られるから容量も減らない」

 クアッドが壁に向かって槍を突き刺すと、槍はまた流体の金属となって球体へと戻って行く。それが基本的な使い方か。これも色んな使い方が出来そうで楽しいね。もっと小さいの作って無限ナイフ投げとか出来るようになれば戦いも有利になりそうだ。採用。




 粗方の有用性を見出して魔道具を全て仕舞い、丁度子供達がご飯を作り終わったので皆で食べる。クアッドが子供達の作った肉野菜炒めに感動して涙をちょっぴり流しながら笑顔で食べていた。


「いやぁ、素晴らしい……味とはこんなにも豊かな物だったのですな」

「味覚で感じたの初めてだったの?」

「ええ、身体はコアの中でしたから、紅茶やお菓子は全て雰囲気だけで楽しんでおりました」

「その割りには美味しかったよね」

「あれはコア内の知識や感覚を再現した物ですからな。今思えば、あれ等は母様の物だったのではないかと思います」


 そっか、苗さんはダンジョンコアにその身を投じたんだもんね。魂があったんだから、当然その記憶がコア内に残っていたもおかしくはない。そうなると、クアッドさんはしっかり苗さんの知識を受け継いでいるんだろうなぁ。




「ねぇ、アイドリーさん」 

「ん?」


 ご飯を食べ終わって就寝にしようとした頃、アシアが皆を後ろに従えて私に呼び掛けて来た。どったの?


「僕達、このダンジョンから出た後、そのまま都市を出ようと思うんだ」

「……ああ、やっぱり野良バッカ―は止める?けど、君達はもうダンジョン内で大人たちに頼ることなく生きていける程度の力は付けた。そのまま大人になれば間違いなく一線級で戦える強さになると思うんだけど」

「そうだけど、今この状態の僕達を冒険者ギルドの人間が放っておくとは思えないんだ。言葉巧みにこちらを騙して、良いように使われてしまうかもしれないし……だから、どこか良い国とか無いかな?」


 ほう、予測してたから私の言葉は決まってるよ。私はアシアの頭を撫でて膝を付いた。


「じゃあ、此処から出たら皆レッドドラゴンに乗ってラダリアに行ってくれない?」

「ラダリア……って、アイドリーさん達が居た所?」

「そう、手紙書いて渡すから、それを門の前に居るであろう黒髪のお兄さんお姉さんに渡して。そうすれば城まで連れてって話を聞いてくれると思うから」


 私は事前に準備しておいた手紙をアシアに渡す。黒髪とは勇者達の事だが、オージャスが門前に配備してたから、多分今も変わって無い筈だ。アシアはそれを丁寧に受け取ると、大事にバックへ仕舞った。

 ともすれば、私はレッドドラゴン達の従魔契約用の首飾りを準備しないとね。いきなりレッドドラゴンが数百匹現れたらこの世の終わりだと思われそうだし。



「ま、アシア達は先にラダリアで新しい暮らしに慣れな。私達はその内ラダリアに戻るからさ」

「うん……何から何までありがとう、アイドリーさん」

「「「ありがとうッ!!」」」

「うん、どういたしましてっ」



 私はニカっと笑って、そのお礼を受け取った。にっしっし。

「アシア達って歌ったり踊ったりするの好き?」

「アリーナさんがやってたみたいなの?うん、好きだよ」

(よし、団員確保)

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