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妖精さんが世界をハッピーエンドに導くようです  作者: 生ゼンマイ
第七章 ダンジョン都市アモーネ
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第95話 アッシー確保 地下21~30階層

 草原はとにかく巨人系の魔物が多かった。しかしサソリ達のような高レベルではなく19階層から続くような感じでまた順々と上がっていったので、やはりあのフロアだけ鬼畜仕様だったんだね。50階層まで言った人達は尊敬に値すると思う。


 まずはサイクロプス。オークと同じ『肉壁』スキルを持っており、オーガと同じぐらいの体長だけどとにかく筋肉量が凄まじいマッチョメンさんだ。けどINTが低すぎるのか持っているこん棒は使わずひたすら足で踏んでこようとしてきたので、アリーナがとっとと麻痺らせてレベル上げの材料に。


 次にアーミーミノタウロス。牛頭牛足の人型は前世でも馴染み深いが、禍々しく変色した角と厚い毛皮が厄介だった。その上に毛皮以外の部分は鎧に覆われていてガッチガチである。龍鱗程じゃないけど、アリーナの短剣は通らなかったね。こっちはレーベルが殴って黙らせていた。


「そんであれかな?今回の魔物パーティは」



名無し Lv.82


種族:エーゴ・ケンタウロス


HP 2577/2577

MP 2602/2602

AK   1200

DF   968

MAK  1347

MDF  1005

INT  260

SPD   1100


スキル:弓術(B-)瞬歩(C-)


 集団で大体30頭といったところか。馬の身体に人の身体、顔は何か理知的な獣顔だった。あれは話せないのかな?


「ケンタウロスって喋れないのかな?乗っけて欲しいんだけど」

「基本酒が大好きで暴力的な奴等じゃからな。言葉は通じても無理じゃと思うぞ?」


 つまり酒があればいけるってことか。ならちょっとやってみたいことが出来た。私は皆を下がらせて、『妖精魔法』を使った。『複数思考』があるから一度に多くのイメージが描けて楽なんだよねこれ。実はいつもはアリーナと『同調』して『複数思考』を使ってゲームをしてたりする。だから自然にランクも上がった。



「はい世界樹の蜜を出して~水と混ぜ合わせまーす」


 ドでかい蜜の入った瓶を取り出すと、レーベルが顔を輝かせた。今度作ってあげるから待ってな。私はその蜜に魔法で出した水と混ぜ合わせて、『空間魔法』と『妖精魔法』を複合させて、


「……加速開始ッ!」


 一気に時間を進めた。テスタニカさんに作り方は教えて貰ってたけど今まで時間取れなかったからね。空間魔法で収納して自然発酵を待っても、収納内じゃ時間止まってるから意味が無いことに気付いて凹んだよ……。


 さて、振って来る矢を結界で切り落としていきながら時間を進めて数分後。こんなもんかなぁとレーベルに一飲みさせてみたら、


「うみゃいのじゃ~」


 頬が蕩け落ちそうな恍惚の表情をしながら足元からガクガクと崩れ落ちた。エロいな100点。しかしレーベルがこうなったんなら、ケンタウロス達もこれで懐柔出来ないかな?早速検証開始。

 空中に浮いている蜜酒の塊を小分けにして、ケンタウロス達の顔目掛けて射出していく。1匹当たるごとに、天上の味を得たかのような顔になって膝が折れていくね。効果は抜群だったようだ。



「「「もう投げて良~い?」」」

「うん、投げちゃ駄目」



 石を準備していた子供達を優しく止めて、皆でケンタウロスの方まで歩いていく。さて、話は通じるかな

「こんにちは。お酒美味しかった?」

「オオ、アレワ、スバラシカッタゾ。マダ、アルノカ?」

 片言だけどちゃんと通じたみたいだ。馬の尻尾をブンブン回してる辺り、もう交戦の意志は無さそうだね。まぁタダではあげないんだけどさ。


「また飲ませてあげるから乗せてくれないかな?30層までで良いからさ」

「ソノテイド、ゾウザモナイ。サァ、ノルガイイ」


 そんなに酒が好きなのか、皆こぞって腰を下ろしていく。私が子供達に乗るように促し、1体に付き2人まで乗せて立ち上がらせる。初めて乗った馬?に興奮気味のようだ。というか一応魔物なんだけど恐れないんだね。



「怖くない?」

「お姉ちゃんが手懐けたから怖くないよー♪」

「そういう認識なのか……。じゃあ皆水を出してそれを一口飲んで。そしたらそれをケンタウロスに呑ませてあげてくれる?」

「サケノ、ホウガイイゾ」

「一応従魔契約して貰うだけだよ。着いたら解いて良いからやってくれない?」

「ム、ナラ、ショウガアルマイ。ヨコセヒトノコヨ。シバシオマエタチト、ケイヤクシヨウ」



 差し出されたコップの水を一飲みしていく。それを更に子供達に飲ませて、唾液の交換は終わった。よし、ちゃんと全員契約出来てるね。思った通りに動いてくれることだろう。


 ある程度の知識を持っているか、もしくは欲しい物を与えれば契約条件に達するのが今回分かったことだね。というか魔物の言語も基本は人と変わらないんだね。レーベルだけだと思ってた。


「ほらレーベル、トリップから戻ってきな。行くよー」

「……っは、主よ、酒ッ!!」

「ダンジョンから出たらね」



 足を得たので。そこからの道のりは格段に楽になった。レベル上げは28~30階層ですることにしたんだけど、私達の戦い方にケンタウロスが若干冷や汗を流していた。一応同族は狙わないようにしてたんだけど、一方的に拘束されて石投げられた後処理されるという光景にはビビったらしい。ごめんなさい。


「でさ、1個聞きたいんだけど。貴方達ってこのダンジョンではどういう存在なの?」

「ワレワレハ、ウマレタコロヨリ、ココニイル」

「ダンジョン内で生態系が出来てるってこと?」

「ソウダ」


 なるほどねぇ。つまり、それぞれの魔物に合わせてフロアの環境を変えてるのか。ダンジョンが魔物を生み出してると思ってたけど、思ったよりも自然に生きてるんだね。美香達も初めて知ったようだ。

「ダンジョンの魔物とまともな会話をするアイドリーがおかしいんだよ…」

「チャレンジ精神は大事だよ?」

「貴方はノリでしょ?」

「そうだけど?」

「開き直っちゃうんだッ!?」


 落ち着いて美香、落ちちゃうよ?


 さて、子供達とシエロの平均レベルが遂に100を越えたよ。美香とアリーナはサソリを倒してたから200を既に過ぎている。美香が一線級になれたのは嬉しいな。これで勇者の中でもある程度戦える方になるんじゃないかな。


「後は、レーベルラッドで聖鎧を取り戻せば完璧かな?」

「剛谷をぶっ飛ばさなきゃかぁ…」


 ぶっ飛ばしてちゃって良いよ。私にも殴らせてね。





 そして、ようやく30階層の終わりが見えた。ケンタウロスから子供達を降ろすと、私は約束通りその場で報酬の蜜酒を作り出して振舞った。喜々として飲んでいくケンタウロス達に混じってレーベルも飲んでるけどまぁ気にしない。


「あいどり~♪」

「アイドリ~さ~ん♪」

「ふぎゅっ」


 おっと美香さんシエロさん、君達も飲んじゃったの?あれ甘さに隠れて判り難いけど、度数がかなり高いんだよ?ベロンベロンやん。2人の重さを急に乗せられて私は潰れてしまった。



「あいどり~だ~えへへー♪」

「アリーナうもッ!?」


 そしてアリーナがナチュラルに膝枕をしてきた。アリーナアリーナ、涎が大量に掛かってるよ私の顔に。しかも大体口に入ってるんだけど。甘露なんだけど。




「んふふ~♪ちゅ~う~♪」

「よーしアリーナ私新たなアリーナの一面を知ったぞ酒を飲むとキス魔になるんだなそれは次の機会でも良いかな非常にうれsんむッ………んんッんふぅ~~~ッ!!」









 アリーナの暴力的なまでの大胆な行動に、子供達はただ顔を真っ赤にして見ることしか出来なかった。アイドリーは最早自我が消えており、最後の理性で結界を張ってから、そのままアリーナに身を任せる。

 レーベルはレーベルでケンタウロス達と酒盛りを始めてしまうし、美香とシエロは艶めかしく抱き合って寝息を立てて寝てしまった。


「「「……」」」


 なので子供達は、それ等をそっとしておいて今日の解体と夜ご飯の準備を始めることにしたのだった。




(((お酒は大きくなってから飲もう……)))


 そして大人への正しい一歩を歩んだのだった……

「………」←虚ろな眼をして痙攣しているアイドリー


「んむ~?……んふ~♪」←酒が抜けて訳は分からないがとりあえず続けているアリーナ


(((あれからずっとやってたんだ……)))


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