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妖精さんが世界をハッピーエンドに導くようです  作者: 生ゼンマイ
第七章 ダンジョン都市アモーネ
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第89話 集団レベル上げ① 地下1~3階層

 ダンジョン内に入ると、まず森のような広場に出た。やっぱりなんか異次元空間になってるのね。大所帯を目にした冒険者達がこちらを怪訝な顔で見てくるが、全部無視して子供達に今からすることを話し始めるよ。



「まずは皆の持ってるそのツギハギバックに、私が魔法を使って強化していくから整列してねー」


 私の指示に即座に反応して数列作ってくれた。やる気が漲って良いことだね。最初見た時よりは皆不安そうではあるが希望が灯っている。


 私は妖精魔法と空間魔法を使い、一人一人のカバンに『重量軽減』と『空間拡張』、そして『素材強化』を施していく。出る頃には満杯にする予定だからね。重さは大体1000分の1ぐらいで。空間拡張するからそんなんでも無いでしょ。後は破れないようにする為にね。


「まだそのまんまねー、次に皆に片手に持てるぐらいの石を100個とナイフを1本ずつ配ってくよ。シエロもね」

「えっ」

 何驚いてますのん?元々は君のレベル上げの為に来たんだからね?それもついでだけどさ。不思議そうな顔するつぶらな瞳の子供達よ、説明するから配り終わるまで待ってね。本当なら全部シエロに投げさせる予定だったし。


「よし終わった。これから君達にはレベル上げをして貰います。あ、戦わせないよ?動けなくした魔物に皆が石を投げて当てれば良いだけだから。で、倒した後なんだけど、この中で剥ぎ取りの経験者は?」


 ちらほらと手が上がった。大体が年長組だね。


「その子達は率先して剥ぎ取りを教えてあげて欲しい。後このお姉さんにも」

 顔を赤くして申し訳なさそうに頭を下げるシエロに、子供達は笑顔で頷いてくれた。


「次に罠なんだけど、これは私達が初心者だから皆で助けてくれないかな?一応結界を張って探知出来るようにはするけど、私が気付けない可能性もあるから。オーケー?」


 手で輪っかを作ると、皆も真似して輪っかを作った。ちょっとハンドサイン作りたくなっちゃったな。寝る時アリーナと作ろうかな。



「じゃあ皆は3列になってね。私が先頭、後ろはレーベル、横はアリーナと美香ね。シエロは列の真ん中に居ること。それじゃあ行ってみようか」


 最後まで冒険者達から注目の的だったが、私達は何も言われることなく探索を開始した。




「お、初ダンジョンの初魔物来た」


 

名無し Lv.11


種族:ブレイドビートル


HP 187/187

MP 54/54

AK   124

DF   180

MAK  14

MDF  121

INT  3

SPD 145


スキル:甲殻(D+)



 最初は昆虫か。ブレイドビードルが6匹程こちらに気づいてやってくる。頭の角がかなり鋭利そうな刃物になっている緑色のカブトムシってところか。子供達の何人かは悲鳴を上げるが、私はゆっくりと魔法を唱えて対処する。


「縛り上げて、アースバインド」


 なんとなくポーズを作って発動すると、地面が盛り上がり、その上を通ったブレイドビードル達が突っ込む。土はブレイドビードルを包むとその場で固まり、柱となって止まる。


 子供達はその光景を見て静かに称賛の声をあげた。ほらほら、お仕事の時間だよ。



「じゃ、皆で囲って石投げしよっか」



 アイドリーの発言により、子供達は動けないブレイドビードルに狙いを定めて石を投げていく。なるべく目元を狙って強く投げて当てないと経験値に反映されないので、女の子達は少し苦戦していた。赤子は止めた方が良いと思ったのでこっちで預かってフヨフヨ浮かせている。


(……何か絵面が危険な気がするけど、子供達が強く生きる為だしね)


 シエロも一緒になって石を投げているけど、その姿を見ていると危険な臭いがしてしまって…美香もなんだか青い顔してるし。


「投げ終わったよアイドリーさん?」


 アシアが終わりを告げに来てくれたので、私はそのまま拘束している土を操り、魔物達を地面に叩き付けた。結構な威力でやったので、地面が少し凹む。苦し気な断末魔を上げると、魔物達は動かなくなった。

 子供達にステータスの確認をさせると、皆1レベルずつアップしているね。よしよし、このぐらいの魔物でも今は十分上がるか。皆初めて上がったレベルに興奮しているようだ。


「さぁ、魔物を回収してドンドン先に進むよ」

「え、解体しないの?」

 解体の出来る子供の1人が既にナイフを手に持っていたが、私はそれを仕舞わせる。


「解体は複数匹で一気にやった方が皆に教えられるでしょ?今日中に全員が捌ける分だけの魔物を狩るつもりだから、その後で良いよ。階層も早めに降りていきたいしね」

 ということで何人かの子供に倒したブレイドビードルをバックに入れさせる。入っても全然重くならないことに感動しているようだった。通常だったらその1匹で限界だもんね。



 階層を下るには、奥に進み下がっていけば勝手に変わっていくのだとか。なるほど、入り口と同じってことか。階層が変われば敵もどんどん変わり強くなっていくというので、この分なら苦労は少なそうだね。


「そういえばこの中で誰が一番下の階層まで進んだの?やっぱりアシア?」

「ううん、ルンだよ。確か20階層まで行ったんだ。運が良かったとしか言えないけど」


 ルンを呼んで話を聞くと、そのパーティは勇者御一行だったッてさ。そりゃあ行けるわ。何でも同情で雇って貰ったらしいのだが、倒した魔物は全てアイテムボックスに仕舞われた為、運ぶ物は無かったのだとか。けど罠と魔物が多過ぎて進むのは諦めたらしい。勇者が諦めるってどんなレベルなのん?


 更に、その代わりとして自分を見る目付きが嫌らしくて精神的にきつかったと………あ、美香から黒いオーラが……



「いたいけな少女を……ロリコンは殺す」

「はいはい、強くなってからね」



 それからも魔物と結構な数遭遇した。面白かったのは、魔物も種類が違うのにちゃんと連携してくるんだよね。何匹かのブレイドビードルとゴブリンが同時に襲い掛かって来て、美香が多少手間取って行動不能にしたからね。


 他にも、初めて見る魔物に結構遭遇した。 



名無し Lv.15


種族:アースクラブ


HP 287/287

MP 120/120

AK   150

DF   225

MAK  50

MDF  211

INT  2

SPD 30


スキル:甲殻(D+)鋏(D)


 こちらは焦げ茶色の蟹。大きさは子供達と同じくらいで鋏が大きいね。試しに拘束した奴に鉄の剣を握らせたらへし折れたよ。そして私はレーベルに頭を叩かれたよ。


「馬鹿なことをしているでないわ」

「良いじゃんちょっとぐらい……」



 気を取り直して次!!


名無し Lv.18


種族:イエローエイプ


HP 457/457

MP 51/51

AK   288

DF   160

MAK  2

MDF  124

INT  5

SPD 212


スキル:獣毛(D)怪力(D+)


 名の通りの黄色いゴリラ。ただしかなり暴れん坊。ドラミングしながら突っ込んできたんだけど、レーベルが咆哮で黙らせてそのまま麻痺してしまったよ。子供達に石を投げさせた後、アリーナとシエロが一緒に止めを刺した。まだ3階層ぐらいだけど、中型ぐらいの魔物はどんどん出て来るね。



 そんな時、私は遂にあの魔物と遭遇してしまった。



「あ……あれはッ!!」



名無し Lv.3


種族:ピュアスライム


HP 100/100

MP 11/11

AK   30

DF   10

MAK  24

MDF  1

INT  1

SPD 3


【固有スキル】魔力吸収



 スライムだった。ファンタジーならばお約束のスライムだったのだ。そして弱い、弱過ぎる。しかしそれでこそスライムだ。


「私の旅の目的の一部が今果されたよ」

「マジか主よ、あれ旅の目的に入っとったのか……」


 しかし面白いな。スキル一切無くて固有スキルだけ持ってるのか。もしかしてダンジョンに出て来るの珍しいのかな?と思ったけど、美香が言うにはそうじゃないんだって。


「ピュアスライムは私も見たことあるよ。そこらへんの森でも偶に見かけたし。ただ弱いからほとんどの場合他の魔物に食べられちゃうんだよ。こんなとこにも居るんだね」

「へぇ、そうなんだね。じゃあ従魔契約しようか」

「流れるように何言ってるのアイドリー!?」


 いや、シエロ止めないで。この子に会ったら私はどうしてもやりたいことがあったんだよ。それを果たす為なら、粘液生物との唾液交換なんて屁でもないねッ!!それに、


・魔力吸収

 『与えられた魔力を吸収し強くなる。与えた者に対して懐く』


 ということなので、もしかしたら契約しなくてもいけるかもしれない。しれないけどする。強くなったら会話出来るかもだし便利だ。


「……おぉ」


 スライムを手に持つと、やらけぇ……必死に動いたりこっちを呑み込もうと頑張る姿がいじらしい。私が手の平から魔力を流し込むと、プルプル震えてどんどん吸収し始めた。お、呑み込もうとするのを止めたね。地面に置くと、足元に縋り付いて来たので、アリーナに持たせる。笑いながらこねくり回しちゃ可哀想だよ?


 そして身体の一部を摘まみ、2人で同時に、


「「あむっ」」

「「「食べたッ!?」」」


 もむもむもむ……わらび餅っぽいかな?ちょこっとだけ齧り取って後は戻すと、無事従魔契約は終わっていた。アリーナも出来たみたいだね。


 一連の行動に子供達もレーベル達も固まっているが、知ったことではないね。私は我ながら素晴らしい笑顔で皆にピュアスライムを紹介するのさ。


「ハプニングはあったけど、新しい仲間だよ。皆仲良くしてあげてねいったいッ!」

「ちゃんと子供達に説明せんか」

「はーい」



 多少ハプニングはあったが、また歩き出したその後はノンストップで階層を下がっていくのだった……

「この子は非常食としても役に立ちそうだね」

「うま~ふ♪」

プルッ!?

「「やめてあげてッ!!」」

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