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妖精さんが世界をハッピーエンドに導くようです  作者: 生ゼンマイ
第七章 ダンジョン都市アモーネ
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第85話 ついでのついでの

 それから数日後、3人でラダリアの城へ来ていた。勇者達は早速警備隊の仕事に従事しているので、オージャスに蹴りを入れられながらも文句も言わずに頑張っているらしい。ふっふっふ、次の休みを楽しみにしているがいい。温泉街で最高のショーが君たちを待っているからね。



 ということでフォルナの御前で恭しく膝を付いてみたんだけど即座に玉座から飛んできて止められた。え?妖精教の神がそういうことすると国が滅ぶ?怖いこと言わないでよ……


「で、ダンジョン都市に行こうと思うんだけど」

「いきなり過ぎてよく分からないんだけど……」

 「ちょっとコンビニに行ってこようと思うんだけど」と同じくらいのノリで話始めたけど駄目らしい。コンビニかぁ……無くても問題無いんだけどね。私には必要無かったし。



 いや、そろそろね。ダンジョンに潜って神代魔道具が欲しくなってきたのよ。正確には冒険がしたくなってきた。この頃働いてばっかりだったしね。


「あーうん、そういえばアイドリーって冒険者だったよね。全然冒険者らしいところ見てないからすっかり忘れてたよ……ごめんなさい」

 酷い言われようだが、実際そうだから何も言い返せないね。そして謝らないでちょうだい。やりたくてやってたんだからさ。

 それに、行かないといけない理由もちゃんとある。神代魔道具の複製に成功すれば、それを他国に売って、その代わりに獣人を買えるからだ。ガルアニアではそこまで奴隷の値段は高くなかったらしいし。



 現在ラダリアに居る獣人の総人口は約2万。他国の全獣人の数が約20万らしいので、単純に後10倍は増えるのよね。今は皆仕事してるから道沿いに人の姿が少ないし、その人口が全部こっちに来たら、正しくラダリアの復活だろう。


「まぁちょっとした気晴らし程度に行く予定だから、自家製転移石も渡しておくし。絶対に必要だと思ったら呼んで良いからね。私もモフモフが恋しくなったら戻って来るから。神代魔道具幾つか拾ったら工場にも届けるよ」

「わ、わかった……尻尾の手入れは、欠かさず、しとく…よ?」

「そこまでしてくれるんだ……」



 顔を赤らめながら照れ照れと尻尾をクリクリ弄るフォルナに和みながら、一時期の別れをして教会へと向かう。




「あーそれと、ついでにレーベルラッド救ってくるから、教会の警備お願い出来ない?」




「はい、シエロと美香確保ー」

「え?え?なに?なにが始まるんです?どこに連れてかれるのですか私達?」

「なになにアイドリーこれなに?ねぇなーに?」

「えーい動くでないわ。弾くぞ」

「「どこをッ!?」」


 着いてそうそう、庭先で花畑に水やりをしていたシエロと美香をレーベルに担がせて、私は孤児院の方に顔を出しに行った。

 いつものように次の講演に向けて皆準備を進めていたが、私の顔を見ると、全員止めてこっちに走り寄ってくる。


 最近は仕事意識も出て来たそうで、小道具もより細かく作り込み、舞台装置なんてものも工場の人に技術を教わって作ろうとしているらしい。逞しいわ本当に。


 ということで、挨拶をしてきた子から飴玉を渡していくのだ。ほ~れ世界樹の蜜を煮て作った飴玉だぞ~~

「「「わ~~」」」


 おーおー頬袋一杯ハムスターの様な顔だなぁ。


「みんなー、ちょっと教祖借りてくけど大丈夫?」

「「「だいじょーぶーッ!!」」」

「よーし。教会の平和は任せたよ」

「「「はーいッ!!!」」」


 よしよし。この日の為に計算や文字も教えたからね。ある程度のことなら自分達で出来るだろう。一応フォルナに偶に見て貰うよう言っといたしね。


 そして、担がれていたシエロはわたわたするのを止め、困った顔を私に向ける。八の字眉毛しても美しいだけだからね?


「あの、何故いきなりこのような?」

「2人にもダンジョンに着いて来て貰おうかと思ってね」

「理由飛ばして強制連行は酷くない!?教会はどうすんのッ!?」

「フォルナにちゃんと警備させるよう頼んだし、子供達は自分達で何でも出来るように私が仕込んだから問題無いよ。私としては、そろそろレーベルラッドのことも考えないといけないからね。その為には、2人にはもっと強くなって頂かんと、って感じ。」


 その言葉に2人は項垂れてしまう。美香はまだマシだけど、シエロに関しては貧弱さんだからね。



桜田 美香(20) Lv.52

種族:人間(覚醒)


HP 9599/9599

MP 1万0014/1万0014

AK   5516

DF   5888

MAK  1万1207

MDF  1万2330

INT   4200

SPD   7540


【固有スキル】自動回復 聖剣 自動翻訳 マジックボックス


スキル:剣術スキル(D+)隠蔽(C+)鑑定(―)


称号:勇者 転移者 女神に祝福された者 



シエロ・フォルブラナド・レーベルラッド(15) Lv.2

種族:人間


HP 94/94

MP 101/101

AK   13

DF   14

MAK  22

MDF  21

INT  280

SPD  10


【固有スキル】予言 神眼 


スキル:水属性魔法(D-)


称号:聖女 巫女



 改めて見ても弱い。初期のフォルナにも劣るステータスだ。これだとレーベルラッドに行った時、自分の身すら守れずあっと言う間に捕まる可能性も十分にある。


「シエロ、遠回りでも確実に行きたい。ダンジョンなら魔物も安定して出るだろうし、限定された広さの中でなら私も守ってあげられるからね。ダンジョンに潜り終わったらその足でレーベルラッドに向かうから、私の予定的には一石二鳥だし」

「うぅ……頼もしいし、ぐーの音も出ない……よろしくお願いします…」

「し、シエロ頑張ってッ!!」

「美香も頑張んなきゃ駄目だよ?」



 そんで久しぶりにラダリアの外に出ると、驚くべき光景を見てしまった。


「あれ?なんでこんなに雪が降り積もってるの?」

「何言ってるのアイドリーちゃん。今冬だよ?」

「え?……寒くないんだけど」


 この国ってドーム状に木に覆われてるから分からないし中はいつも暖かいんだよね。


 私はローブの下に来ているいつもの動き易い薄手の服と軽装備を見せる。シエロと美香は驚き、レーベルは羨ましそうな顔でこちらを見ていた。そういえば大分前から貴方厚着するようになったよね。その縦セーターどこで買ったの?下着付けてないのに綺麗なライン保ちやがってけしからん。


「アリーナは?」

「寒くなーい♪」

「ほんとじゃ。アリーナは温いのぉ~♪」

「えへへ~♪」

 レーベルはアリーナをひょいっと持ち上げると、そのままお尻を持って子供にするような抱っこ状態になった。アリーナはレーベルの首に手を回してスリスリし始める。永久カイロの完成かな?


 今まで全然気づかなかったけど、妖精って環境の変化に対して強いんだね。適応性が高いのかな?元は自然物から顕現した訳だし。



「これから行くダンジョン都市も北の方だし、これは防寒着もしっかり着ていかないとね。一度戻って買いに行こう」

「「「おー」」」



 オーダーメイドで作ってくれる服で全員分買ったら金貨一枚使ってしまったけど、中々良いデザインなので気に入った。使ってる素材も魔物から流用されてたりするし。けどこのモコモコって獣系の魔物のだよね?大丈夫だよね?


「ああ、それは羊獣人の……」

「お願い言わないで……」



 改めて全員でラダリアの外に出るとシエロが、どこのダンジョンに行くのかと訪ねて来た。

「レーベルラッドに行くなら、一番大きいダンジョン都市に行くことになりますよ?」

「なんてとこ?」

「『アモーネ』って都市よ。冒険者が最も多い中立都市。どこの国家にも属してないの。あそこは大商人による組合性による統治がされてるわ。法が緩いから治安は少し悪いけど」


 なるほど、ダンジョンの周りに街が出来ていった感じか。それなら確かにお金持っている人の方が回しやすいよね。ダンジョンから出た魔物の素材や魔道具は全部商人の手に行く訳だし。治安に関しては苦も無く蹴散らせるし。問題があるとするなら、


「こんな女所帯で行ったら間違いなく襲われるよね」

「全員フード着用は確実じゃな」

「そうしよ~♪」


 シエロと美香もそれで同意する。多少のいざこざは眼を瞑るけど、常時纏わりつかれるのは鬱陶しいことこの上ないからね。久しぶりに顔を隠しての旅になるのかな。



「とりあえずシエロは冒険者登録ね」

「……え?」


 ついでよ、ついで。

「ほんと柔らかいよねレーベルって……」モニュモニュ

「マシュマロ~~♪」モニュモニュ

「くすぐったいから止めよ」


「……」ワキワキ

「あ、あの、美香?どうして手をワキワキさせてこちらへ来るのでうひゃんッ!?」

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