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第七話「異世界転移でよくある謁見」

だいぶ遅れました。

それなのに短い...。申し訳ない。


 俺は今、アストルフさんの家にいる。色々あって疲れたので、風呂を頂き、そしてベットへと入った。

 だが何かがおかしい。朝起きると、両腕にそれぞれ謎の感触があるのだ。

 右腕は柔らかく大きい何かが挟まれているし、左腕は右腕のものほどではないが確実に挟まれている。

 何だろう、予想が何となくできてしまうのが怖い。

 二度寝に入ろうか、いや、いっそのこと襲ってしまおうか...。

 なんて冗談はなしにして起きねばな。


 「お前ら何をしているんだ?」

 「むにゃむにゃ、あ、トージさん」

 「ナニって...キャートージさんハレンチー!」

 「なぜいる」

 「なぜって...」

 「それは...」


 二人は声を揃えて言った。


 「「刀冶さんとの既成事実の為です(です)わ?」」

 

 その後、平民街に大きな叫び声が響いたのは言うまでもない。


 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 「何故朝からこんな思いをしなきゃならないんだ」


 俺は馬車に乗り王城へと向かっている。

 昨夜、アストルフさんは無事に謁見の準備をすることができた様だ。

 

 「ははは、いろいろ大変なご様子で」

 「いやーもうホント、ちゃんと寝たのに疲れが癒された気がしないです」


 まあいい(よくないけど)、とりあえず今は謁見が大事だ(本当は俺の貞操の方が心配だけど)。

 いい印象を与えなきゃなあ。相手は王様だし、これからの計画にその力は絶対必要になってくるし、

 それにロベルトを助けてやらないとな。あいつも俺の計画に必要になってくる人物だ。


 「近づいてきましたな」

 「おお!」


 すげー。

 遠くからでも全体が見えて凄かったが、近くから見ると改めて王城の大きさを感じることができる。

 イメージ通りの西洋風の城だ。もっとメルヘンなものかなとも思ったが、しっかりしているな。

 機能性も十分だろう。この城を落とそうとした国が過去になかったらしいし、当然っちゃ当然か。

 

 「トージ殿にはまず、ボディチェックを受けてもらいます。その際武器は預かりませんのでご心配なく」

 「そんなことして良いんですか?俺は国王を襲う気はないけど、普通だったら武器は取り上げるんじゃ」

 「心配には及びませぬ、確かに危険ではありますが、国王陛下の方針ですので」

 「どういうことですか?」

 「国王は客人には警戒というものをしてほしくないのです。警戒をすれば、その人間は心を閉ざし会話が成り立たなくなってしまう。そうなるのを陛下は望んでおられないのです」


 なるほどね、なかなか話の通じそうな人が国王をやっているんじゃないか?

 最悪、「ふん!我に対し頭も下げぬとは...。無礼者め!こいつを牢に入れろ!!!」とかいう国王だったらどうしよう、武力で制圧しちゃおうかな、とも考えたけど、さすがにそんなんじゃだめだよな。指名手配されて異世界での生活が詰んじまう。


 「大将軍!お疲れさまであります!」

 「右に同じくであります!」


 城門の前に立つと、アストルフさんに対してビシッとした敬礼を決める門番二人が経っていた。


 「うむ、ご苦労。すまないが二人とも、この客人のボディチェックをしてはくれんか」

 

 アストルフさんは重厚な声で門番に命じる。

 

 「了解であります!」

 「右に同じくであります!」


 おお、左に立ってる奴、さっきと言ってることほとんど変わらないな。まあどうでもいいけど。

 

 「んじゃあ、パパッと、お願いします」


 俺は無事ボディチェックを終え、城内へと通される。なんか随分と簡素だったが、こんなんでいいのか?

 仮にも武器を持ってるんだぞ?まあ不審者への警戒を怠っても問題ないくらい強いアストルフさんがいるからな。もしものようなことはないんだろう。


 「わあ、すっごい装飾」

 「リッティアの職人の技術の粋を集めて作られております。この王城は機能性を重視しております。ですので城内の装飾に力を入れているのです」

 

 なんつーか、改めて異世界だって実感させられるな。ノリで来ちまったけど、俺が戦争で人間を勝利に導かないといけないんだよなあ。どうせならゆっくり観光とかが良かった。

 

 「この先が謁見の間で御座います」

 「おおっ...」

 

 デカい扉だな。この先の国王がいるのか。さしづめ俺はこの国を救う勇者ってとこかな。

 さーて、第一印象が大事だな。ここで国王のご機嫌を取れりゃあ良いんだが。

 まあそんなにうまくいくかな。ぶっちゃけどうにかなるだろ的精神でいくしかねーか。


 扉が開く。

 まぶしい光が差し込める。


 「さあ、どうぞ」

 「はい」

 

 謁見の間はそこそこの広さだった。中央の椅子に座ってるのが国王かな?その両脇は...。

 わあ、女の人がいっぱいだあ。さらにその外側に偉そうな人が五人ずつでいるな。

 国王は髭をしっかりと蓄えていて中年の男性だった。従兄弟はいないのか?

 まあいい、こっちから仕掛けるか。


 「お初にお目にかかります国王陛下。私の名前は武田刀冶。陛下に謁見する機会を頂いたことを心から感謝いたします」

 「...」

 「今回謁見の場を頂いたのには訳があります。どうか陛下にはその事を聞いていただきたいのですが」

 「...」

 

 黙ったままか。どうする、このまま畳みかけるかもしくは待ってうかがうか。とりあえず頭は下げたままでおこう。

 

 「面を上げられよ、トージ殿」

 「はっ!」

 「うむ、中々の器量の持ち主じゃ。今時の若者にしては感心じゃ」


 こっちでも今時の若者はゆとりなのかな?

 

 「私はアストルフから大体の事は聞いている。魔族との戦い、手を貸してくれるのだとか」

 「はっ!人間に勝利をもたらす為、神より遣わされた身で御座います」


 正確には頼まれた、だがな。こういう時はこっちの方が良いだろう。

 驚いた顔をしているミケはスルーで。


 「ほう...。神の遣いとな......。気に入った!我が王国が手伝えることは何でもしよう!」

 「ありがたき幸せ!」


 なんかミスったかも。これじゃあガチの主従関係みたいじゃないか。

 まあ何とかなるか。


 「では早速...。この中にブランドン・ポルティージョという人物はおりますか?」


 さあ、面白くなるぞ。


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