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第五話「異世界転移でよくある王都への移動」

 現在王都に向けて、暗殺集団の馬を借りて移動中。


 「もう少しで着きますぞ」

 

 穏やかな物腰で話しているが彼は大将軍だ。先程強さを見たが、はっきり言って化け物だ。

 見たところ還暦は超えているであろうにも関わらず、加護無しで戦ったらおそらく俺と同等、もしくはやはり俺の方が若い分少し有利かどうかといったところだろう。彼の全盛期を見てみたかった。


 「そういえば、トージ殿はどの加護をお持ちで?ロベルトを倒せるほどの腕を持っておられるなら、雷もしくは影ですかな?」

 

 王女を襲えと依頼された集団のボスの名はロベルトと言うらしい。元は王国軍で部隊長をしており、その実力は将軍すらもを圧倒すると言われたほどだった。しかし人が良すぎたため、彼の出世を阻もうとした将軍に騙され、王国軍を辞めた。その後、己の実力を存分に発揮できる傭兵ギルドに入り、今回の事件へと繋がるのだそうだ。つまり、将軍を圧倒する人物を圧倒して勝った俺は、アストルフさんにとっては通常ならばあり得ないことらしい。


 「俺はあなたと同じく特殊な加護を持っています」

 「やはりそうでしたか...」

 「ええ、俺が持っている加護の名前は侍の加護。と言ってもあまりよく分からないでしょうが...」

 「いえ、特殊な加護持ちとは...。もしかしたらと、思ってはおりましたが。確かにありえない話ではありませんですな」

 「おや、もっと疑われるかと思いました」

 「あなたの強さは本物で御座います。疑うことなどは致しません」

 「大将軍に強さを認められるのは、この国の武人にとって最高の栄誉でしょうね」

 「私のような老骨の言葉など、聞き流してください」


 それにしてもアストルフさんは英雄の加護を持つにふさわしい人物なのだろうな。

 老いているためしわは多いが、きりっと整った顔立ちで、筋肉量も服の上から見た感じだがガッチリとしているというよりかは引き締まったいる印象を強く受ける。

 さらにその背中には絶対的な自信があり、人を惹きつけるオーラを放っている。

 俺はどう見えているのだろうか。もし加護が本人の見た目に影響するならば、実直なイメージがついていることを祈りたいな。荒々しいのは戦闘以外ではあまり好まない。もっと、そうだな...女子受けするような感じがいいか。それだと堅物すぎてもダメだろう。難しいものだな。


 「トージさん!」

 「ん?どうしたミケ」

 「トージさんは、王都には当然初めて行かれるのですですよね」

 「当然だろう」

 「では、王都での必要最低限のマナーを、今教えますね!」


 マナー。礼儀作法は得意な方だ。剣道は日本の武道らしく、礼に始まって礼で終わるからな。

 小さい頃はあれがダメだとかそこがなってないとか爺さんと親父によく叱られたが、今となっては良い思い出だ。

 二人は元気にしているのだろうか。こっちと向こうの時間軸が気になるな。

 後でミケに聞いてみよう。


 「では、まずは挨拶から―――-」


 俺は王都でのマナーを一通り覚えた。必要最低限という言葉通り、すぐに終わった。

 アストルフさんによると、王都の中心に行けば行くほどさらにマナーは厳しくなるらしいが、それを気にするのは基本貴族で、中心部にいる者でも王国軍の兵士だとあまり気にする必要はないらしい。

 もっとも、大将軍ともなるとさすがに気にしないという訳にはいかないらしいが...。


 「あっ!見えて来ましたよ!!!」

 

 ミケが叫ぶ俺もその方向に目を見やる。

 

 「っ!!!」

 「どう致しましたかな?」

 「いや、予想をはるかに超えていて、つい...」


 でかい。それだけじゃない。美しいのだ。王都の真ん中にそびえ立つのは王城だろう。

 そこに向かって外側からだんだんと高くなってる姿は、一つのアート作品として完成している。

 こんな素晴らしい光景......異世界に来て正解だったな。

 

 「楽しいな...」

 「どうしましたですです?」

 「いや、何でもない」


 今の俺はやる気に満ち溢れている。必ずポルティージョを倒さなければ。

 

 俺の魔族打倒計画は、ここから本格的に動き始める。

 


次回からは第二章、王都編が始まります。

タイトルが合わないと感じたので、「異世界転移でよくある王都」を次話のタイトルに、

第五話は「異世界転移でよくある王都への移動」に変更しました。





















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