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第36話 浪漫と事情と

どうもです!! 暖かくなってきてはいますが、まだまだ寒いので皆様お体にはお気をつけて! 僕はそろそろラボ畜が始まりそうで別の意味で震えてます……。

どうにか二章まではこれまで通りのペースで進めていけそうなので、気楽に読んでいただけたらと思っています!

エタらん……俺はエタらんぞ……!

「ふぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!??」


 僕は今、風を切り裂きながら、乗り物にも乗らず人間が到底出し得ないスピードで木々の隙間を縫うようにして『飛行』していた。まるでターザンのように、クルスが次々と前方の木々へ触手を伸ばし、そのまま円運動をするようにして速度を維持し続け、時にはクルスが触手を引っ張り、加速を付けるなんてこともしていた。僕が生身の人間であることを考慮してか、まだまだ速度の余裕を見せつけながらも、逃げる悪魔型の『敵』を追いかける。


「もちょっとゆっくり!! ゆっくりぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいい!!!!」

「普通に話せてるなら平気だろー。それにこれ以上遅くすっと追いつけねーぞ」


 それはさながら絶叫系アトラクションのようで、違うところを挙げるとすればレールが無いことくらいか。一歩先が読めないので、常に新鮮なスリルが僕の扁桃核を爆発的に活性化させる。


「ンンヒヒヒヒヒーーーー!!!! たのちいーーーーーー!!!!」

「あ、壊れた」


 某ユニバーサルなスタジオニッポンみたいなアトラクションに揉みくちゃにされ、僕の精神は立てちゃいけない音を立てながら、ぷちんと切れてしまった。白目を向きながら狂ったように笑っているのがその証拠だ。


 しかし、次の瞬間に吐かれたクルスの一言が、僕を一気に現実に引き戻した。


「お、ヤロー止まりやがった。降りながら仕掛けんぜー」

「へっ!?」


 クルスに言われて、『敵』の方向を見ると、『敵』は振り切れないと判断したのか木々が無く、円形に広がる広場のような場所の中心で立ち止まった。僕らを迎撃するために立ち止まった『敵』は、目があるかどうかは不明ながらも、僕らを真っ直ぐに見上げていた。


 クルスはそれを見ると、にやりと不敵な笑みを浮かべて、「上等」と触手を離し、急速に降下を始める。進行方向には『敵』。それを完全に敵対行為とみなしたのか、それとも最初からそうだったのか、『敵』は拳を握りしめ、僕らを撃ち落とさんと後ろに引く。


 それに対して、僕らはと言うと――――。


「足はここ! でもって重心はそっちだ!」

「あうっ! おうっ!」


 クルスの触手にビシバシと身体を叩かれ、着地に備えるべく体勢を整えさせられる。その体勢が整うと、クルスが「動かすんじゃねーぞ!」と釘を刺してきたので、もういっそセメントか何かで関節あたりを固定してほしいものだとさえ思いながら、残る二十メートルほどの距離を、どう攻めるかで思案していた。


「で? どう行くんだよカイト?」

「うーん、じゃあこんなのはどう? 頑丈そうだし」

「……えっぐ。そいつで行くか―!」


 クルスは満足気に、僕の右腕の形状を解いて、再び三本の触手の状態になる。さっきまで腕を解くのは嫌だと言ってくれていたクルスも、それはそれで嬉しかったが、やはりクルスが自分の姿を普通に晒してくれる方が、僕には嬉しく感じられた。


 クルスはそんな僕を他所に、僕がイメージした通りに触手を変化させ、命名『クルスバンカー三号』を組み上げた。形状は先程作った槌型のバンカーをベースとしているが、最も大きな違いはその先端部分だ。


 先程の槌型バンカー、『クルスバンカー二号』を『敵』に打ち付けた時、その時の僕らの最大威力で見舞ったはずの一撃に対し、今いる『敵』はそれらしい損傷を一切受けていない。確かに、かなり硬い手応えを感じていたので、『敵』は相当に頑丈であることが予測できる。そこで考えたのがこの『クルスバンカー三号』だ。


 先端部分は円錐状になっており、その部分にはフジツボのように微小な円錐が無数に散りばめられるようにして生えている。そして、推進力の為の火属性魔法も、瞬間的なエネルギーの凄まじい『エクスプロージョン』から多少威力は落ちるものの継続性のある『イラプション』を六つ展開したものに変え、一斉に点火する。高熱の爆炎を噴射し、『イラプション』がクルスの『クルスバンカー三号』を押し始める。そして、クルス本来の力も合わさり、超高速で進むバンカーが『敵』の拳と衝突する寸前、『クルスバンカー三号』は吠えるように甲高い音を立てながら、先端部分の円錐という円錐を高速で回転させ始めた。


 その姿は、まさしくドリルそのものだった。だが、ジェットエンジンを搭載し、単に『叩く』のではなく、数多の小型ドリルをも同時に回転させるそれは、単に穴を開けるのではなく対象を『粉砕する』事を目的としている。その荒々しさ、悲惨な光景を生み出すであろうそれは、もはや工具ではなく兵器だった。


「おりゃー!!!!」


 『敵』の強度が相当なものであると踏んでの対抗策は、クルスの雄叫びと共に果たして最高速度で敵と接触し――――。


――――衝突したその右腕を、一瞬にして『消し飛ばした』。


「わぁっとっとっと!?」


 多少の抵抗を予期していた僕は、まるで空振ったかのような手応えのなさに、思わずその場でたたらを踏み、蹌踉めいてしまう。そんな僕の姿を好機と見たか、『敵』は痛がる素振りも、失われた右腕を意に介そうとすらもせず、バランスを失いかけた僕目掛け残る左腕に渾身の力を込めた一撃を見舞おうと振りかぶる。


「カイト! そのまま回れ!!」

「う、うんっ!」


 言われるがまま、僕は大股開きになってどうにかバランスを保つと、クルスの推力に引っ張られるような形でぐるりと一回転する。『敵』の拳が迫っているが、そんなことは気にしない。僕にはクルスがついている。彼が居てくれるならどんな敵だって怖くない――――!


「っしゃー! アレ行くぞー!!」

「アレって……あぁ!! 了解!!」


 クルスの言葉と共に、形状が変化されたクルスバンカーを見て、僕は即座に理解し、力強く頷いた。それは、先端が菱型の『杭』のような、先程リューネイジュさんにご迷惑をお掛けすることになった『クルスバンカー一号』だった。先端部分に、クルスの触手によって陣が組み込まれるのを理解する。止められる杭を押し出すように空気圧が高められていき、小刻みに振動しながら解放の時を今か今かと待ちわびる。そして、ヴォン、と獣の唸りのような音が響いた瞬間、僕らは叫び、その杭を爆裂と共に解放した。


「「行っけぇぇぇぇぇええええええ!!!!」」


 射出と同時に、『イクスプロージョン』も加えられたそれは、先程の練習の際に放った一撃など及びも付かないほどの速力とともに、意識も、大気さえ置き去りにしながら『敵』を貫き、樹に磔にせしめた。だがまだだ。僕らには仕上げが残っている。僕らは一息吸い込んで、その名を高らかに呼び叫ぶ。


「「『爆裂触杭・千針(イレブンナイン・ヘッジホッグ)』!!!!」」


 その瞬間、『敵』の体内から無数の針がその体を食い破る様に打ち出される。数百に及ぼうと言う針は、『敵』の身体に同じ数だけの穴を開けると、瞬時に体内、射出元であるクルスの触手へと戻る。そして、次の瞬間には、『敵』に空いた無数の穴から凄まじい光が幾条にもなり放たれ――――。


ドゴォォォオオオオオオオン!!!!


 土を砕き、背後に聳えていた樹をも穿ち、橙色の極光とともに『敵』を完膚なきまでに爆砕させていた。


 余韻のように、もうもうと立ち上る煙。必殺の一撃を見舞い、追い打ちの爆発。それは僕ら男の子にとって永遠の夢でもあり、ロマンそのものとも言える。言い得ぬ充足感に満たされながら、言葉もなくクルスとハイタッチをしてその余韻に浸ろうとする。


 しかしその煙の中から、何か小さな物体が煌めきながら、くるくると回転しながら飛来するのが見えた。


「ん?」

「何……あれ?」


 それにいち早く気付いたクルスが、触手を伸ばしてそれをキャッチする。僕の元へそれを持ってくると、僕らは一緒になってそれをまじまじと観察した。


 それは黒い、細長い結晶のようだった。人の掌に乗るようなサイズで、その中身はただひたすらに、夜の闇を映しだしたような濡れるような漆黒だった。そして、それが何なのか、次の瞬間には僕にはある程度の検討がついてしまった。


「――っ! クルス!」

「へ? うぉわ!?」


 結晶を観察していると、爆裂と共に、確実に仕留めたであろう『敵』の残骸が転がっているはずの煙の中から、まるで砂のような、霧のような、黒色の物体が飛来する。それはクルスの手の中にある結晶に集まり、徐々に、しかし確実に何かの形を作り上げていく。


 角らしき箇所と、それが生えている頭部。それはまさしく、僕らが今まで戦っていた『敵』そのものであり――――。


「クルス!! 今直ぐそれを割って!!」

「おお!? おう!!」


 クルスが力を込めると、それはすぐにパキ、と軽い音を立て、あっけなく砕けた。すると、僕の目論見通り、黒い物体は形成をやめ、『靄』の時と同じように大気中に霧散していった。


「何だったんだ……? 今のは」

「わからないけど、今のがきっとこの『敵』の核だったんだよ」

「核?」

「んー……心臓、って言ったらいいのかな?」


 よくありがちな設定だ。切っても、殴っても、すぐ再生するようなモンスター。それが今の『敵』のように非生命体であれば尚の事、高確率で体内かどこかに『核』がある。前の世界でのゲーム知識が、またも僕らを助けてくれた様だった。けれど、今の戦闘で分かったこともいくつかあるが、同時に疑問点もまたいくつか生じることにもなった。


「『靄』って、固形化するのかな?」

「わかんねー。けどお前も分かったろ? こいつらは確実にあの『靄』だってさ」

「うん……。あの気味の悪い感じは、『靄』で間違いないと思う……」

「だよなー。だけどよ、こいつは核、だっけ? があったけどよ、他のはどうなんだ?あんまり見ないでこっち来ちまったけど……」

「んー……、クルスがあの電撃を撃った時には消えてた気がしたけどねぇ……。流石におんなじような結晶があったかどうかまでは見てなかったけど……。戻ってみれば分かるかも」

「だなー。それに、ねーちゃん達に報告もしなきゃだしなー」

「うん。一回戻ろうか。念の為、これはしまっておいて……と」


 結局僕らの中で結論は出ないまま、結晶を小瓶に詰め込んで、僕とクルスは踵を返す。けれど、同時に何かを燻すような、そう、樹を燻した時のような焦げ臭さが僕の鼻を突く。僕は『またも』嫌な予感に苛まれながら、クルスと一緒にゆっくりと背後を振り返った。


 そこには、一本のぽっかりと穴の開いた樹。今未だ立っているのが不思議なくらいの大穴が開いた樹が、パチパチという音とともに静かに炎上していた。今はまだ小火程度で済んでいるが、徐々にその勢いを増しているようにも見え、僕らは「あぁ、またか」なんて思うも、そんなことを考えている場合ではないと一気にあたふたし始めた。


「クルス!! 水!! 水!!」

「だからねーって!! オレ様水属性魔法ねーって!!」

「体液で行こう!? クルス先生の体液を景気よくバーっと!!」

「枯れるわ!! 流石にあんだけ強くなっちまったらしわしわの干物触手になるまで出さなきゃ追いつかねーわ!!」

「いいじゃん干物触手!! 炙ればお酒のツマミに合いそうじゃないか!! あ、僕まだお酒飲めないんだった」

「言ってる場合かバカヤロー!! とにかく土でもぶっかけて……」


 そんな風にやかましく喚き合っている最中だった。クルスが提案しようと樹を指差した瞬間、パチン、と指を鳴らしたような破裂音が鳴り響き、これまた「あぁ、またか」なんて考えながら来る雨の到来に備えるも――――。


「――――」


 今度飛来したのは雨などという生易しいものではなく、水流だった。僕らの全身を飲み込むほどの量の水流が僕らの背後、何もない空間から放たれ、僕らを飲み込みながらその樹の炎を鎮火した。


 僕は力なく振り返り、何となくげっそりとしているようだったクルスと一緒に、それを行ったであろう人物に頭を下げた。


「「ご、ごめんなさい」」

「ふふ、火遊びが好きなのも結構ですが、保護者が居ないところでするのは危険ですわよ、坊や達?」


 あいも変わらず、優雅に微笑みながら、しかし僕らの行いをやんわりと咎めるように、少々強めの語気で僕らを窘めたのはリューネイジュさんだった。またも彼女は粗相をした僕らを濡れネズミに変えながら、ゆっくりと僕らの元へ歩み寄ってくる。


「あのヴォイドは?」

「え? あー、えーっと……」

「倒したぜ。ぶい」


 初めて聞く単語に反応できず、僕がその意味を飲み込むのに梃子摺っていると、クルスが小さな触手でVサインを作りながら、その触手を小さくピコピコと動かす。その言葉を聞いたリューネイジュさんは、わずかに驚いたように目を開き、すぐにそれを細めて柔和な笑顔を浮かべた。


「なるほど……。会った時にも思いましたが、随分と不思議でお強い触手なのですね、クルスは」

「はい。自慢の友達です」

「えへん」

「あら。うふふ」


 リューネイジュさんの言葉に対して、僕は即答、クルスは胸を張る。それを微笑ましく思ったリューネイジュさんは口元を手で抑えながら、小さく肩を揺らして愉快げに笑う。何となく、その瞳が僕らに向けて羨望の色を秘めていたような気がしたのは、僕の気のせいだっただろうか。


「なるほど。貴方達には借りが出来てしまいましたね」

「いえそんな……。それに僕らはこの森の結界を壊してしまいましたし、何より二回もリューネイジュさんにお世話になってしまいましたし……」

「そーそー。そういうのは言いっこ無しって……ん?」


 そんな風に話していると、不意にクルスが明後日の方向に目をやり、その身を警戒させるように起こした。僕はきょとんとしながら、クルスの事に何事かと訊ねようとして、それは、クルスと同じ方向を見るリューネイジュさんの囁きによって遮られることとなってしまった。


「――申し訳ありませんカイト、クルス。借りが出来た、などと言ったそばから申し訳ありませんが、クルス、カイトの身体に戻って頂けますか? カイトはその場に跪いて。私に合わせるようにしてくだされば結構です」

「? りょーかい」

「わかり、ました……?」


 一体何事かと思いながら、自然な所作で恭しくその方向にむけて跪き、頭を垂れるリューネイジュさんに倣って、僕も膝立ちをするように頭を垂れた。クルスも僕の右腕に戻り、目玉さえ出さずに完全に待機の状態に入った。


 すると、彼女達が向いていた方向から、何かが近づいてくる音が聞こえる。ズン、ズンと重く響くその音は、凄まじい速度で僕らの元へ接近しているようにも感じられる。一体何が来るのかと身構え、額に嫌な汗が流れると同時、直ぐ近くまで来ていた足音は、僕らの前で止まるよりも早く、その鳴りを潜めた。


『当代のロードノートよ』


 老人のもののような、しゃがれた声が静謐な森全体を揺らすように響く。


 その声は荘厳さ、厳粛さと言った、厳かな雰囲気が込められていると感じ、僕もそれまで以上に萎縮してしまう。


 しかし、緊張に近い何かを感じ取った僕とは対称的に、リューネイジュさんは頭を垂れたまま、泰然と恭しく返した。


「ここに。賢龍様」

『何事か』

「は。再び『敵』が侵入し、村を襲おうと。しかし、ここにいる彼、冒険者のカイトが撃退し、難を逃れることが出来ました」

『ほう、冒険者とな』


 瞬間、僕の背中にのしかかるような重い視線が注がれるのを感じた。やがて興味を無くしたのか、僕からその視線が外れたことに、小さく安堵の息を漏らした。


『して、その様は如何なることか。貴様は贄となる身。不要な魔力の消費は避けよと、言い含めておいた筈だが?』

「申し訳ございません。全ては私の不手際故に」


 贄、という単語も気になったが、話の内容を察するに、リューネイジュさんは魔力を使ったことを咎められているようだった。だがリューネイジュさんは僕らの件でも魔力を少なからず消費したというのに、何も言わずにただ謝罪をしてくれていた。僕は申し訳なさのあまり、思わず彼女の方を見てしまった。するとリューネイジュさんは僕の視線に気付くと、小さく頭を揺らしながら、にこりと微笑を向けて「大丈夫」と言ってくれた。本当に、頭が下がる思いだ。


 一方で、その事に関しての興味も失せたのか、『賢龍様』なる存在は、小さく「ふむ」と漏らすと、ズズン、と音を立てながら最後の警告を行った。恐らく、身を翻したのだろう。


『近々、貴様は食らう。それは貴様らロードノートが交わした契約の通りだ』

「心得ております。この身を捧げる覚悟は、すでに出来ております」

『重畳。ならば、以降不要に魔力を使うことは極力避けよ。質が落ちるでな』


 それだけ言って、『賢龍様』は走り去っていった。やがて足音も聞こえなくなると、クルスが潜水から上がってきた時のように、開放感に満ちた声を上げた。


「ぷは! や~しんどかった。息が詰まりそうだったわ」

「うふふ、お疲れ様でした。申し訳ありませんね、こんなことに付きあわせてしまって」

「い、いえ……それよりも今のは……」


 誰だったのか。それを訊ねようと、僕は立ち上がり手を差し伸べてくれるリューネイジュさんの手を取りながらそう問いかけた。すると、リューネイジュさんは努めて感情を押し殺したような、そんな作り物の表情を浮かべながら淡々と僕に答えた。


「今のは『賢龍』様。魔種最強の一種と呼び声の高い龍種にして、この地をある『契約』によって守護してくださっているお方ですわ」

「『契約』……?」


 『契約』とは、種類にもよるが契約主が契約対象の何かしらを縛る為のものだった筈。そして、『贄』だの『食う』だのの物騒な単語が飛び交う中、ある程度のRPG脳を持っている人間であれば、それが一体どんな代物なのか、おおよその検討はつく。けれど、リューネイジュさんは少しだけ前かがみになって、その艶やかな唇に細く美しい人差し指を当てると、いたずらっぽく微笑んだ。


「それはまた後ほど。立ちながらするようなお話でもありませんし、ね?」


 その笑顔が、寂しそうに、今は訊かないでと言っているようで、僕もクルスも何も言えず、黙って頷くことしか出来なかった。リューネイジュさんは一瞬だけ申し訳無さそうな苦笑いを浮かべると、すぐに晴れやかな笑顔を浮かべ、その両手を合わせた。


「さ、それでは戻りましょうか。色々ありましたが、これでようやくお客様としておもてなし出来そうですわね。まずはお食事……いえ、まずは湯浴みでしょうか? 体も冷えてしまいますし……」


 ぶつぶつと、僕をもてなすための事を考えてくれているリューネイジュさん。その横顔は本当に心の底から楽しそうで、そんな表情をされてしまっては、僕らが水を差すような声を掛けてしまうわけにはいかないだろう。そう考えて、僕はリューネイジュさんが歩き出すまで、彼女の隣でひた待ち続けた。いや、方向音痴は関係ないったら。


ここまで読んで頂き、ありがとうございます!!


このペースですと、どうにかラノベ一冊分くらいの文字数で二章を終えられそうなんですが、なんかちょっと描写が薄いかなぁと思ったりもします。中身の話はヤメテ……。

あ、あと自分結構グダりながら書いちゃってるので、ここおかしくね?みたいな指摘をしてくださるとこの駄犬、喜びます。

お手数ですが、そういった箇所があれば何卒……。

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