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第30話 約束と、旅立ちと。

はぁ……これにて第一章完結となります!!

話数といい、文字数と良い、長引かせてしまい申し訳ありませんでした……。

それと、後書きの方に今後の予定を書かせて頂きましたので、お目通し頂けますと幸いです!

数日後、ギルド本部が設けた、ディムシーさん達の裁判が行われた。全身包帯まみれで意識が戻ったからと法廷に立たされたディムシーさんは僕の姿を見て酷く怯えたように震えあがってしまっており、その一件についてはただ同情するしか無かった。


 裁判の結果、僕の持っていた映像と、ユーリさんとバルザさんが連れて来てくれた鍛冶場の職人さん方の証言、メリゼさんが提出した、ディムシーさんの『ノファルの迷酒』に使う素材の購入履歴から、彼らの有罪が決まった。


 内容は、人的被害は無かったものの、多くの人命を勝手な都合で危険に晒した罪は重いと、当初懲役十年が言い渡されたが、僕や、ユーリさんが彼らを擁護する発言をしたために、懲役は三年へと減刑。加えて本人達の実力も考慮し、有事の際には監視付きという条件で外へ出られる事が決まった。


 ユーリさん曰くここまでの減刑は異例中の異例らしく、彼女の見立てでは僕がしつこく食い下がったことが効いたとかなんとか。真偽の程は定かではないが、うまく事が進んだのだから、それで良しとしよう。


 更に、この数日の間に起こった出来事がもう一つ。


 ゴレイ君たちから貰ったムウちゃんの角の生え変わりの為に抜けた角だが、言われた通り硬度は低く、冒険者が武器防具の為の素材としては使えない上に、アイテムの錬金、調合においても利用価値が無いらしい。しかし、それ単体は非常に希少らしく、学術的にはミノタウロスの生態を更に調べるために高い価値を持つのだという。


 僕も冒険者である以上、簡単にいえば換金アイテムみたいな扱いしか出来ないわけで、それ以外には無用の長物というわけなのだが、せっかく僕にくれたものということで、どうにも見知らぬ他人に売るという気にはなれなかった。


 そこで、ユーリさんに相談したところ、「ならば私が買い取ろう」と申し出てくれた。僕は最初断ろうとしたが、ゴレイ君の言葉を思い出し、買い取ってもらうまでもなく譲り渡そうとさえ考えていたのだが、ユーリさんはその辺りはきっちりしたいらしく、寧ろ「もっと冒険者としての自覚を持つべきだ」と叱られもしてしまった。


 そんなわけで、ユーリさんの好意に甘えることとし、僕の懐には今、この世界の通貨五万グラスという大金が収まる事になったのだ。


 しかし、いきなり重たくなった懐に、違和感を禁じえず、どうしようかと考えていた矢先、ユーリさんからこんな言葉が降りかかってきた。

 

 

「キミ達は、これからどうするんだ?」



 その質問をされて、結局なんやかんやで忙しかった僕らは、ディムシーさんの裁判が終わった日の夜、ようやくまとまった時間を作ることが出来たので、クルスと出会った大樹の下へと足を運んでいた。


 クルスは相変わらず僕の右腕に居る。それまでとは状況が違うのだから、別にここまで来なくてもいいだろうとは僕も思ったが、それでも、なんとなくここに来たかったのだ。


 ここは僕らが始まった場所。だったら、何か始めようと言うのなら、やっぱりこの場所で。ここはいつの間にか僕にとってのこだわりのようなものになっていたというわけだ。


 僕はボロボロになってしまいながらも、尚も厳かに屹立する大樹の根に腰掛けながら、何とはなしにクルスの方を見る。クルスは、僕の貸したスマートフォンを忙しなく操作し、飽きもせず『マッハストレス! クイック棒さん』に勤しんでいた。

 

「クルス」

「んー?」

「とりあえず、お疲れ様」

「なんだそりゃ?」

「いやぁ、色々あったし、ねぇ?」

「そうだなー……」


 クルスは相変わらず間延びした声で、僕に合わせて返してくれる。いつもどおりのクルスの反応が、妙に耳に心地いい。

 

「そういえばさ、クルス」

「んー?」


 クルスは、『GAMEOVER』と表示されたスマートフォンの電源を器用に切ると、律儀に僕のポケットに返してから僕の顔の横に並ぶ。


「クルスは、どうしてあの時怒ったの?」


 それは、単純に興味本位だった。記憶にあるかぎり、確かにクルスだって怒ったりはするが、あんなふうに真剣に怒ったことは、無いはずだった。


 だから、何がクルスの触れてはいけない部分に触れたのか、それが気になってしまった。

 

「あー……」


 なんとなく恥ずかしそうに、誤魔化すように漏らすと、クルスはポリポリと目玉を掻いていた。

 

「あのヤローが、信じてたお前を裏切ったから……かな?」

「裏切った?」

「上手く言えねーよ。オレ様だって、あんまよくわかってねーんだ。でも……ヤローは悪いことをして、カイトも死にそうになって、でもカイトはそれでもヤローを許そうとして、そんなお前の心をヤローは利用しようとして……それが許せなかった。多分」

「あはは、多分って」

「うるせー。上手く言えねーって言ったろーよ」


 クルスは機嫌を損ねてプイ、とそっぽを向いてしまう。なんだかやっぱり子供だなぁ、なんて事を考えながら、彼の姿に和みながら、彼の言葉を噛み締めていた。


 つまり彼は、僕のために怒ってくれているのだ。細かにはわからないとしても、それだけで僕の心は十分温まる。

 

「ありがと、クルス」

「……んー」


 恥ずかしそうなクルスと一緒になって、僕らは空を見上げる。そこには、いつか見た時と同じように、木々の隙間から満点の星空がその威容を露わにしていた。


 それを見て、クルスは何を考えているのか。そんなことを考えながら、僕はクルスに話しかける。

 

「クルス、これからどうしようか?」

「どうするか、ねぇ……」


 クルスは、何も考えてない、と気のない返事をする。それは僕にも言えることなので、苦笑することしか出来なかった。

 

「何かやりたいこととか、ない?」

「んー……カイトと一緒なら何でもいいしなぁ……」

「あ、あはは。嬉しいこと言ってくれるね」

「まー、今のオレ様にゃ文字通りお前しかいねーしな。あ、勘違いすんじゃねーぞ? お前が寄生主だから言ってるわけじゃねーぞ。お前がお前だから言ってんだ。そこんトコ忘れないよーに」

「あはは。はーい」


 クルスは目玉を逆への字に歪めて、びしっと僕の鼻先を指さした。そんなことをしていると、今度は逆にクルスから質問されることになった。

 

「逆にさ、カイトは何かねーの? やりたいこと」

「そうだね……」


 僕は、これまでに起こったことを思い返していた。楽しかったこと、辛かったこと、怖かったこと、嬉しかったこと。ニアにこの世界に連れてこられたこと。ユーリさんに沢山お世話になったこと。死にかけて、とてもとても怖かったこと。今まで無かった、誰かの死を目の当たりにしてしまったこと。クルスと、友達になれたこと――――。


 僕は、自分でも驚くくらい心は穏やかに、傍らに佇むクルスに、静かに語りかけた。

 

「僕をここに連れてきた時、訊いてきたんだ、ニアが。『生きるってどういうことか、知りたくないか』って。僕は、自分の世界じゃあ死んだように生きてた。毎日に、意味なんて無かった。友達も……居たには居たんだけどね、とっても大切な人達が。でも、僕はその人達に負い目を感じてて、僕なんかが隣に立つのには不釣り合いなくらい凄い人達だったから、ずっと申し訳なく思っててさ。だから、ある意味ね? クルスはその……僕にとって……初めての対等な友達、なんだ。だから」


 そう。クルスは僕の友達。僕のことをちゃんと見て、笑い合ったり、ちょっと叱ってくれたり、おバカなところも見せてくれたり、僕の為に怒ってくれる、掛け替えのない存在。


 あぁ、実際ニアの言う通りになった。僕は今、クルスのお陰で、ユーリさんのお陰で、沢山の人の支えがあって、生きられている。生きるってどういうことか、それはまだわかっていないけれど、少なくとも、僕は今『生きている』と、確かにそう実感できている。


それに、僕は思い出す。僕の中で交わした『約束』を。僕は、その為に冒険者になったのだから――――。


「だからクルス、我儘が許されるなら、僕はもっと『生きたい』。でもそれは多分、クルスとじゃないと出来ないことなんだ。クルスと一緒に、僕は色んな事を経験したい。なんの力もない僕だから、きっとクルスにはいっぱい迷惑も、苦労も掛けると思う。だけど、それでもいいならクルス」


 僕は僕の大事な友人に、正面から向き合って、自分の嘘偽りのない気持ちをぶつけた。


 

「僕と、一緒に、『生きて』くれませんか?」



 出来る限り真剣な顔で、真剣な声で、クルスにそう告げる。クルスと一緒に旅がしたいと。変化球なんて必要ない。ただその一言にどんな返事がもらえるのか、それだけが大切なことだった。


 ややあって、クルスが困ったように眼を逸らす。やはり、ダメだろうか。そんなことを考えて、わかっていたとはいえ落ち込みながら、クルスの口が開かれた。

 

「あのさーカイト……自分で言ってて気付いてるか?」

「へ?」

「なんつーか……告白ってか……プロポーズみてーなんだけど」

「…………~~~~~~~~!!!!」


 クルスに言われて二拍、三拍遅れて自分の言葉を思い返し、それに気付いた僕は自分でも分かるくらい顔を真赤に染め上げる。

 

「い、いやいやいやいやいや!!?? 別にそういうつもりで言ったんじゃないよ!? それに僕男だし、そっちの気はありませんし!!」

「いやー、オレ様実は性別とか無いしさ。何ならイケないこともねーけど?」

「も、もう、クルス!!!! からかってるでしょ!!??」

「死がふたりを分かつまでってか?」

「違うってば!!!! そんなんじゃないってば!!!!」

「わはは、ゆでダコゆでダコ」

「も、もうもうもう!!!!」


 僕は右腕をぶんぶん振り回して、クルスに少しでも仕返しをしようとする。しかしクルスは振り回される動きに合わせて触手を伸ばしているので、全ての被害が無効化されていた。

 

「わりーって。怒んなよ」

「うぅ……言ったのは自分だけど恥ずかしい……」

「割りと結構な頻度で恥ずかしいこと言ってるけどな……」


 クルスの冷静なツッコミは、僕の耳には届かない。僕が恥ずかしさのあまり両手で顔を覆っていると、やれやれとクルスがつぶやきはじめた。

 

「ま、オレ様もやりたいことってったらお前がやりたい事をやるってことくれーだし。それに、『賭け』の事もあるしな。いいぜカイト。付いてってやるよ。お前の言うことひつつ聞くって約束だしな。ただ、オレ様の言うことも一つ聞けよ」


 言いながら、クルスは強気な笑みを浮かべて、僕に触手を一本伸ばした。


「連れてってくれ。お前が『生きる』ってどういうことかわかるトコまで、オレ様もさ」


 その言葉に、嬉しすぎるその言葉に、僕はきっと、今までで一番の笑顔を浮かべて、クルスに抱きついていた。

 

「クルスぅ!!」

「わー!! いきなりひっつくなって!! 一応オレ様、お前の身体の一部みたいなもんなんだからな!?」

「だって嬉しいんだもん!! クルスー!!」

「わーった!! わーったから、はーなーれーろーってのー!!!!」


 夜の森に、クルスの叫びが木霊する。それから暫くの間じゃれついて、ようやく僕らも素面に戻った頃、ファズグランへの帰路につきながら、思い出したように「あ」と声を上げた。


「クルスの記憶も探さなくちゃね」

「あー、それにカイト、『英雄候補』として呼ばれてるわけだから、世界の危機も救わにゃなんねぇわけだ」

「「あったねぇ(なー)そんな設定」」


 そんなメタい芝居をしながら、僕らはまるで遠足に向かう子供のように、胸を踊らせ、興奮したまま一夜を過ごすのだった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「寂しくなるな」


 開口一番、ユーリさんは穏やかにそう告げた。


 まだ陽も真南まで登り切っていない頃、僕らとユーリさんは、北の城門前で話し合っていた。僕の背には大きめながらも動きを阻害しないような作りのカバンが背負われており、昨日まで着ていた僕個人の服装は、やはり強度面であまり激しい運動に向かなさそうということと、異世界の格好など目立ってしょうがないということで、ユーリさんに預かってもらうことになった。


 代わりに、僕は緩めの白色の短袖シャツに、右腕側の袖が緩めの濃い緑色のロングコート、薄茶色の長ズボンにブーツという、いかにも冒険者だという出で立ちに落ち着いた。


 これらの服やカバンも、ユーリさんに鍛えてもらっていた時の服同様、彼女が選び、用立ててくれたものだった。前もそうだったけど、服のサイズとかぴったりなんだけど、どうやって調べたんだろうとか、そういうベタなツッコミはこの際抜きにしよう。それに、ユーリさんに旅に出ることは言っていなかったと思うのだが、「わかるさ」という一言には頭が下がる思いと畏怖の念でいっぱいにさせられた。本当に、この人にはお世話になりっぱなしだ。


 それに何よりも、一番の変化は僕の左手。その手首に付けられた、緑色の『証明石』の埋め込まれたバングル。それは冒険者を冒険者たらしめる証。ユーリさんとメリゼさんが僕を、僕らを認めてくれたという、卒業証書のようなものだった。気を抜けば、それに視線を落とし、ニヤけてしまうような、涙ぐんでしまうような、そういう代物だったため、今はまだ、見ないように気をつけている。


 そんな僕のお師匠様であるユーリさん指導のもと、僕は旅支度を整えた。流石に払えるだけは払わせて貰おうと思ったが、全て「餞別だ」の一言で済ませられてしまい、全ての資金をユーリさんに払ってもらいことになってしまった。なんというか、ここまで来ると過保護な母親……とまでは行かないが、姉という印象さえ抱いていた。


 そして、一通りの準備を終えて、僕らはここに来ていた。そういうわけだった。

 

「はい、色々と、すごくお世話になりました。感謝してもしきれません」

「フフ、それは私も同じことさ。メリゼは……まぁ勘弁してくれ」

「あはは、今日も忙しそうでしたもんね」


 メリゼさんも色々お世話になった人の一人だ。挨拶くらいはさせて貰おうと思い、声を掛けたのだが生憎ギルドはいつもの活気を取り戻し、処理に追われるメリゼさんには少ししか声を掛けられなかった。


 その時、渡してもらった『粘魔宝珠』は、適当なタイミングでクルスに預かってもらうことにした。ある程度の大きさのものであれば身体の中で保存しておけるらしく、新たに発覚したクルスの便利能力に、僕らは苦笑することしか出来なかった。


 メリゼさんは、実に忙しそうにしながら、「お気をつけて」と淡白に言い、それだけですかとうなだれる僕に、やわらかな笑みを浮かべて「祈っています」とも言ってくれた。それは、単に「頑張ってください」なんて言われるよりも、もっと深いところで心に響く言葉だった。


 ちなみに、バルザさんは今日も早くからクエストに勤しんでいた。あの狩り(クエスト)以降、来る日も来る日もメリゼさんに貯めさせられたツケを払うために奔走している。お別れを言えないのは残念だったが、ユーリさん曰く「アレはそういう湿っぽいのが嫌いだから、気にする必要はない」との事だった。まぁ、好き嫌いは人それぞれ、ユーリさんにも一言「お世話になりました」と伝言をお願いしたので、大丈夫だろう。

 

「あぁそれと、これを」


 言いながら、ユーリさんは僕に手紙を渡した。交差する旗に鳥の翼、『ギルド』の印が象られた封蝋がされながら。

 

「これは?」

「もし、ロイゼン帝国の帝都エルゴンに行く事になれば、『レオーレ・ティリムに』と言って渡してくれ。まぁ、軽いお使いだと思って、気楽にな」

「レオーレ、さんって……」

「あぁ、私の友人だ。今までサボっていた分、近況報告をと思ってね。まぁそれに関しては届くもよし、届かぬもよしだ。別段気を負う必要はない。それと、カイトくん、クルスくん」


 ユーリさんは、その穏やかな表情をやにわに引き締め、僕らをじっと見つめた。

 

「もし、彼女たちが困っていたら、キミ達の気が向いたらでいい、キミ達に出来る範囲でいいから、彼女達を助けてやってくれないか。私の知る限り、キミ達以上の適任は居ない」


 真剣な眼差しのユーリさんに、ひょっこり顔を出したクルスと顔を見合わせる。そして、議論の必要もなく、僕らはそれに応えた。

 

「はい、僕らでよければ。ね? クルス」

「おー。何ができんのかは知らねーけどな」

「ありがとう」


 ユーリさんは満足そうに言って、また柔らかい笑みを僕らに向けてくれる。多分、言うべきことは言った。なら、そろそろ歩き出そう。

 

「ユーリさん、それじゃあ、そろそろ行ってきます」

「あぁ、カイトくん、クルスくん」


 言って、ユーリさんは右手を差し出す。僕もはっとなって、その手をしっかりと握り返した。クルスは、僕らの握られた手の上に、添えるようにして触手を置いて。

 

「二人共、達者でな」

「はい」

「おうよ」

「カイトくん、もう少し自分を大事に。命あっての物種ということを忘れるな」

「ぜ、善処します」

「クルスくん、カイトくんを頼むよ。キミが居てくれれば、カイトくんはきっと大丈夫だから」

「おー任せろユーリのねーさん。しっかり頼まれた」


 それだけで、伝えるべきことは、伝わるべきことは伝わったのか、ユーリさんはゆっくりを手を離し、そしてゆっくり手を振った。


 

「いってらっしゃい」

「「いってきます」」



 僕らは歩き出す。その行き先は、まだ定まっていない。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 暫く行った先、ファズグランがもう掌に乗るくらい小さく見えるほど歩いた先で、僕はクルスに話しかけた。


「そういえば何処から行こうか?」

「んー、世界の危機? にしてもオレ様の記憶にしても、手掛かりなんてねーしな」

「まいっか。一通り回ってみよう。僕の足が持ってくれるといいけどね。あ、そうそうクルス」

「んー?」

「地図の見方、わかる?」

「……わかんねぇ」

「ヤバイね」

「ヤバイな」


 方向音痴な僕と、地図の見方がわからない触手なクルスの旅は、既に絶望的な状況に置かれていた。


 先も見えない僕らの旅、その前途は、多難である。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ふむ……。今回は少し調整が弱かったか」


 今、ファズグランから一人の、正確には一人の冒険者と一体の触手が旅立った。その様を、どこからともなく見ている者がいる。黒いローブを風にはためかせ、彼らの旅路を嘲笑うように、祝福するように、『一切の気を放たない』黒いローブに全身を包んだその人物は、口端を不敵に歪め、彼らの背を見送る。



「お前たちには、期待している」



 その言葉はまるで、静寂の深淵より放たれる、色のない呪詛のように響いていた。

 


ここまで読んで頂き、ありがとうございます!!

来る日も来る日もアクセス解析を覗いて、ブクマ評価点を確認して、読んでくださる方お気に召してくださった(のかな?)方がいることに狂喜乱舞しながら身悶えして、一章完結まで至る事ができました……。この場を借りて、深く感謝の言葉を述べたいと思います。本当に有難うございました!!

え?最終回みたいって? まだまだ続きます!!


 さて、続くには続くのですが、ここで皆様にはご了承頂きたいことが……。

まず、私、この物語を執筆するにあたって、①普通に書いていく②見直して添削③完成ということに至ってから数日掛けて再度見直し添削しながら投稿する、というスタンスで書かせていただいております。なぜかって?物覚えが悪いものでして……。すみません……。ホント一日~数日ペースで更新してる先生方尊敬しますわ……。

 また、今回学生という身分に胡座をかいて、春休みをほぼフルに使っての投稿となりまして、もうすぐ魔の大学が始まってしまうんですねぇ……(絶望)。なので、理想を言えば一月くらいずつで一章分投稿、悪くてもEFBしてしまわないよう心がけながら、ほそぼそとやっていかせて頂きたいと思っております。「次の話はよ」と言ってくださる方申し訳ありません。もう暫くお待ちを……。え?居ない?ナキソウ……。

 近況は活動報告か、ツイッターでも開設してそこで報告しようかなと考えております。進捗とか。


 さて、ダラダラと駄文を失礼いたしました。いつか言ったように、キーワードを一部調整し、ハーレムは……とりあえず次章から(予定)を外したいと思います!ここまでお付き合い頂き、本当に有難うございました!!大体完結までの流れは出来ているので、PCが壊れないこと、大学に殺されない事、グラブ……欲に飲まれないように気をつけながら書き進めたいと思います!!

それでは皆様、また次の章で!!


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