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懐かしい人との再会

 捨てる神あれば拾う神ありとはよく言ったものである。

「院長先生!!」

 どうやら本日は月に一度の孤児院の買い物日だったようだ。

「……その声は……アーデ……アーデルヘイトかい?」

「はいっ。ご無沙汰しておりました」

 敬礼しそうになるのを止めて、にこりと笑う。

「何ということだい。こんなに痩せて……」

 そう言って孤児院の責任者であるヤンが、アーデルヘイトの頭を撫でた。

「今年から魔法学院へ通うことになりました」

 ヤンと街中を歩きながら、とりあえず今までのことを軽く説明する。

「アーデ……君さえよければ、週末だけでいいから勉強を教えに孤児院へ来ないかい? 少ないけど給金を出すよ。それがあれば食事には困らないはずだ」

 ヤンの瞳はどこまでも真剣だった。

「……一応、学院に言ってみます」

「僕からも口ぞえしておこう。寮はウィッツ?」

「いえ」

「じゃあ、ロード?」

 ウィッツはオランダ語で白。そして学院内の寮では貴族が住むところで、ロードは同じく赤を意味し、平民の寮となっている。

 いぶかしむヤンに、アーデルヘイトは掘っ立て小屋と伝えた。

「アーデ、僕は荷物を置いたら学院へ向かう。門のところで待ち合わせをしよう」

 有無を言わせぬ勢いでヤンが言う。アーデルヘイトは頷くしかなかった。


 所持金も少ないので、アーデルヘイトはそこらへんの屋台で食事をとった。



「アーデ、待ったよ」

 何をどうしたらご飯を食べただけのアーデルヘイトよりも早く学院に着くというのか、アーデルヘイトはヤンに問いただしてみたくなった。

「守衛さんに聞いたけど学院長は替わってないようだね。僕もここの卒業生だよ。転移呪文があれば簡単なことだよ」

 そう簡単にいかないことくらい、アーデルヘイトだって分かる。

「アーデの属性聞いていい?」

 話をすりかえるが如く、ヤンが言う。

「土、火、水、闇です」


「四属性、しかも闇持ちか。どうやっても王家からは逃れられないか」

 しかし、この言葉がアーデルヘイトの耳に入ることはなかった。



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