表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/29

生徒会副会長ロビン、アーデルヘイトに興味を持つ

いつもありがとうございます。


 生徒会室に入ってまず驚いたのが、食事が広げられていることである。

「……えっと?」

「僕の趣味。お気に召してもらえたら嬉しいな」

 そう言ってきたのは生徒会副会長のロビン。さり気なく茶も淹れている。そして、それを止めないあたり日常茶飯事なのだろう。

「男がこういうのするのは嫌なタイプ?」

「それは貴族様だけでしょう。私の周りは『立ってるものは年長者でも使え』の風潮でしたから」

 料理はその時手の空いている年長者が作っていた。それに混じって年少者が手伝っていた。

 それが孤児院でありふれた風景だった。

「そっか、よかった。ボーは最初嫌がったからさ! それに先輩たちも不思議そうな顔をしてたし」

 そんなことを言っているうちに、ロビンは裁縫セットを取り出し、クンラートの制服のほつれを直していた。

 その睦まじさは夫婦じゃないかと思うくらいである。

「どうしたの?」

「いいえ。かなり器用だなと。慣れた方なのはよく分かります」

「そう? 不思議じゃないの?」

「……それを言ったら、ブティックのお針子さんたちはどうなるんですか? 半数は男性ですよね」

「そう来たか」

 そう言うものの、ロビンは嬉しそうだった。



 ぶっちゃけ、アーデルヘイトの前世において、家事全般を教えてくれたのは父だったりする。母親は仕事と家族をこよなく愛する人だったが、家事とは相性が悪かった。勿論、アーデルヘイトの節約料理にも前世の父に教えてもらったことが礎になっている。

 そんなわけで、アーデルヘイトの中で家事全般を男性がするということに、抵抗は全くない。



 男性がこういったことをするということに、全く嫌悪感を示していないというのは態度で分かる。そして、当たり前のように受け止めてくれたことがロビンにとって何よりも嬉しかった。



「……おいしいです!」

 いや、おいしいという言葉では表せないほどに洗練されていた。その辺の女性より女子力が高すぎる。

「そう? 嬉しいな」

 ロビンの顔も綻んでいた。


 正直な話、生徒会役員は食べてくれるが、感想すらまともに言わない。「当たり前」のように食べるだけだ。

 それに対して、アーデルヘイトは本当に嬉しそうに食べる、それが嬉しかった。

「これ、筍ですよね」

「よく知ってるね! (えん)の国でよく食べられるらしいよ」

「孤児院ではよく食べてましたから」

「この高級食材を?」

「竹林へ行けば見つけられますよ?」

「教えて! 父上も母上もこれが好きなんだ! でも燕の国から輸入するしかないから大変なんだ!」

「いいですよ? 今度の休みに孤児院へ行きますし。その時に筍を取るつもりをしてますし」

「じゃあ、約束だ!」

 待ち合わせ場所を孤児院にされたが、ロビンはそれどころではなかった。


 アーデルヘイトとしては、筍如きでここまで驚かれると思わなかった。

 燕とは、中華圏の文化を持つ隣国の名前である。中華圏なので筍料理もあると思っていたが、その通りだったとは。

 さすがファンタジーの世界とでも言うべきである。筍の収穫時期は冬以外。量は日本ほど多くはない。料理する際、灰汁抜きは必要だが。

 筍が高級食材ならば、孤児院の子供たちに収穫させ、灰汁抜きをして出荷すれば小遣い稼ぎになるな、とアーデルヘイトは考えていた。


ふふふ。乙メンですからね。これ位できないと。

そして無自覚で受け入れたアーデルヘイト。……そりゃもう、フラグも立ちますわ。


アーデルヘイトも料理は上手ですが、ロビンが作る料理が洗練されたものなら、アーデルヘイトの料理は家庭料理です。どっちも捨てがたし。つか、二人とも嫁に欲しい……(ヲイ)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ