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制服の用意

いつもありがとうございます。


 翌日、生徒会を通じてアーデルヘイトの元に制服が届いた。気を回さなくてもいいと言ったはずなのだが。

「……ちっ」

「まぁ、はしたないですわ。学院側で渡し忘れていただけのようですもの」

 ころころと楽しそうに笑う女性。制服を着ていることから、上級生だと分かる。

「せっかくですので、着てみてくださいな。うふふ。きっと似合いますわ」

「大丈夫です。多少あわなくても直せますので」

 女性の不敵な笑みに、アーデルヘイトは即答した。誰が好き好んで嫌がらせを受けるというのか。


 女性が不服そうにいなくなるのを確認して、アーデルヘイトは制服を事細かに見ていく。制服に嫌がらせを仕込まれていたら、たまったものではない。


「大丈夫ですよ。問題ありません」

「ひっ!?」

 急に聞こえた男の声に、アーデルヘイトは腰を抜かしかけた。

「……失礼しました。この家を司る精霊、ヴァイスと申します」

 今まで出てこなかった精霊が人間の男と同じいでたちをしていることに、再度驚いた。

「その証拠は?」

「……ございません。ですが、こうすれば分かるのでは?」

 そう言ってヴァイスと名乗った男が指をぱちんと鳴らす。それだけで通常の家から掘っ立て小屋に戻る。

「それだけじゃ信じられません。これから院長先生のところに行きます。いいですね?」

「疑りぶかい方ですね。……よろしいでしょう」

 そして、本日行く予定も無かったが、アーデルヘイトは孤児院へ向かうことにした。


「……あぁ。うん。ヴァイスがこの間アーデに契約させた精霊だよ。それにしても珍しい。ヴァイスは滅多に人前に出てこないんだ」

 ヤンがにこりと笑っていう。

「これで信じていただけたでしょうから、アーデ様に契約印をお渡ししましょう」

 そう言ってヴァイスが腹部に福の上から手をあてた。


 逃げようとするものの、体が動かなかった。

「ひゃぁっ!」

「これで終了です。何かありましたら契約印を通じてお知らせします。あとはあの場を守るために拙者は戻りますので」

 拙者ですか!? その一人称にアーデルヘイトは驚いた。

「気に入られたようだね。……」

「先生?」

「いや、なんでもないよ」

 言葉が聞こえず、アーデルヘイトが聞き返したものの、ヤンは答えなかった。


 ヴァイスの身元(?)がきちんと判明したので、アーデルヘイトは少しばかり孤児院内を手伝って、帰路に着いた。


 門のところには何故か成金親父が突っ立っていた。



「……気に入られたようだね。いくら精霊といえど、アーデは渡さないよ」

 そうヤンは呟き、フェーレン家がアーデルヘイトに関わらぬよう、色々と策を講じることにするのだった。


今回はフラグ無しでした。

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