僕について
実は僕は校内でかなり有名なんだ。
「友達がいない上に、生徒はおろか先生とも一言も喋らない」
ってね。
小学校からそんなだから各先生に伝わってるのか、授業中に当てられることもない。先生に何回も指導されたがそんな時は無言でうつむいて、時間がたてば終わるのだ。
そんな僕の友達。それはネット。
検索すればなんでも出てくる。ゲームだってプレイしなくても動画でプレイした気になれる。ゲームしたいと思えばフリーゲームで遊べばいい。学校で分からなかったところだって、検索すれば一発だ。チャット機能を使えば言葉を発さずに喋れる。
ネットに繋がるパソコンさえあれば他に大きなお金はかからない。なんて親孝行だろう。
ネットは僕の友達であり、ツールであり、先生であり、口なんだ。
学校も会話まですべてがネットに依存してもいいのに。
喋ろうと思えば喋れる。でも喋らなくて済むなら無理してまで喋りたくない。
甘えさせてくれるなら甘える。そういう奴なんだ。
親がどうしてるか知りたいだろう?
実際僕も知りたいくらいだ。父も母も世界中を旅するカメラマンで、3年に一度帰ってくる。入学式と卒業式だけは出てくれるのだ。
僕の親代わりは、37歳離れたおじさんだ。このおじさんと血縁関係はなく、両親の仕事仲間だったらしい。おじさんも僕が生まれた頃までは世界中を飛び回っていたらしいけれど、足を悪くして仕事を辞めないといけなくなった。その時、僕の両親が僕の育ての親になる代わりにおじさんも一緒に養うことを提案したそうだ。
おじさんもただうちの両親に頼っているわけではなく、内職とか写真教室とか座ったままできる仕事をしている。
おじさんは学校に行って、いい成績さえ取っておけばなにも言わない。
だから、毎日学校には行く。成績も上から10番には入る。それさえできればいい。
僕はこんなやつなんだ。