マジックショー開始
かなり日が空いてしまいました…。
どうしても片方に片寄ってしまいがちみたいです。ごめんなさい。
会場に着くと、かなりの人で賑わっていた。
入口に貼ってある宣伝用のポスターを見ると、安坂の姿が大きく映っていた。
『天才マジシャン安坂夕凪がやって来る!!』
ポスターにはそう書かれている。
「あいつ……けっこう有名なんだ……」
開始時間10分前と、かなりギリギリに到着したので、席はほとんど埋まっている。
チケットが予約席でなければ、座るどころか立ち見だっただろう。
「それにしても、すごい人ね」
南都美が回りを見ながらそう言った。
「ほとんどが夕凪目当てだと思うぜ。あいつ、テレビに出たりもしてるからな」
「えっ……知らなかった!」
恒陽が言った事は、かなり以外だった。
あの安坂がテレビ出演!?
考えるだけで、かなりシュールな絵が浮かぶ。
その時、ショー開始の放送がかかり照明が暗くなる。
1人目。
黒いタキシードにシルクハットの、いたって普通のマジシャン。
帽子から鳩を出したり、物を瞬間的に移動させたり。よく見るようなマジックを披露した。
会場の子供を何人か舞台上に上げ、簡単なマジックを教える企画はかなり盛り上がった。
2人目。
こちらはうって変わって、服装は私腹のように軽い物だった。
固定カメラを使ってのカードマジック。
これも会場のお客さんを巻き込んでの演目。
やはり、こう言うマジックはなかなか受けるようだ。
3人目。
珍しく女性のマジシャン。
真っ赤なドレスで登場した。
彼女の演目は、いわゆるイリュージョン的なもの。
人体切断や、閉ざされた箱からの脱出。
お客さんを巻き込むことはなかったが、高度な技術は会場を沸かせた。
これまで3人のマジックを見てきたが、どれも楽しいものだった。
オレたちは退屈する暇させないほど楽しんでいた。
立て続けにショーを見て、今は休憩時間。
ポスターには4人の出演が予定されていると書いてあったが、そのうちのもう3人が終わった。
まだ安坂の姿を見ていない。
もしや最後に登場するのか?
すると照明が暗くなる。
『皆さま、お待たせいたしました。これよりあの天才マジシャン、安坂夕凪が登場いたします!』
アナウンスが入り、会場が少しざわつき始めた。
舞台の幕が上がる。
そこには、さっきとはまた違う衣装を着た安坂の姿が見えた。
変わり者と評判な、安坂夕凪のマジックショーが、いよいよ始まる。