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すきです。 

作者: シャー芯

 つらいことあった日、携帯電話で呼び出す。

 真夜中、あなた。

 すぐにバイクで来てくれた、感謝、日常。

 当たり前の、なんてことない出来事。


 泣き方忘れてた私、そっと抱きしめる。

 顔歪めないで、さらさら涙おちる。

 

 特技は紙の上の世界、創造。

 けれど、私の世界は小さくて寂しい。

 重ねすぎた色、気付けば灰色。

 もう、見たくないの……透明な瞳。


 心が震えて痛い、壊れちゃうのかな?

 傷痕そっと服の隙間から、あなたを不安にさせる。


 空が綺麗で、ぽかぽか春風うれしくて。

 誰かの手、そっと握り締める。

 わたしは生きて、生まれて幸せですね。

 死ぬのは怖い、生きてたくさん笑いたい。


 守ってあげるよ、あなた。

 依存する私、知らなかった。


 桜咲く季節、いっぱいの夢。

 伸ばす腕捕まえる、あなたはいない。

 浅い傷あと、噛み付いて。

 声、響かない……聞こえない。


 広い世界、綺麗、汚い。

 支離滅裂な心、行き交う人。


 主人公なんて居なかった。

 支えあって、ひび割れた何か繋ぐ。

 逃げ足、目隠し、無感情。

 言葉にするだけ、共感を望んでた。


 あなたの口癖、聞くたび心が震えるの。

 一緒にどこかへいきたくなる。

 

 触れた指先、温かく震えてた。

 少しだけと身を寄せる、強がり。

 喉のおくで詰まらせている絶望。

 知っていた、優しさ、悲しみ。


 真夜中のブランコ、あなたはいない。

 月明かりがまぶしくて泣いた。


 大きな世界、あなたのいない世界。

 知らない横顔が通り過ぎる。

 ひとり、歩く坂道。

 認めたくなくて、降りやまないの。


 当たり前の日常、不幸を演じてた。

 あなたと過ごした日々、幸せすぎた。

 素直にありがとう言えなかった。

 いつか、言える日がくると……


 当たり前に思っていた。 

 ずっと一緒に生きていくと思ってた。


 届かない、心。

 響かない、ことば、声。

 笑顔のなかに埋もれていた薬がきれる。

 足取り重く、後ろ髪、あなたと灰色。

 

 すきです、言いたかった、ずっと。

 でも、あなたはいなくて……


 ガムテープ巻きつけた手首。

 からっぽのアルバム。

 カッターナイフ、タバコの香り。

 留守番電話のメッセージ、生きたあなたの声。


 また、あした。

 さいごの息吹。


 信じたい、あなたのことば。

 また、あした。

 その日がくることを。

 ゆがんだ感情、苦しく狂う亡くす欠片。


 抱き合って過ごしたあの場所で。

 あなたは永遠の眠りに……


 いますぐあなたのもとへ、いきたい。

 許されないことだとしても。

 さいごの我侭、怒って笑って抱きしめてほしい。

 失うあなたの温もり、風が冷たい。


 泣いてもいい、だけど、生きて欲しい。

 出来れば、たくさん笑って過ごしてと、あなた。

 

 余計なお世話、お節介で心配性なあなた。

 俺みたいなのじゃなくて、もっといい人と幸せにって。

 自惚れなあなたの遺書に、小さく笑う。

 あなたのこと、少し嫌いになった。


 灰色のキャンバス、塗りつぶす蒼。

 好きだといってくれた私の世界。


 あなたはわたしの嫌いで愛してる人。

 失って瞳を開けて、やっと見つけた。

 この世界にあなたはもう居ないけど、それでも。

 わたしはあなたがすきです。


 降りやまない雨、傘を閉じて。

 なくして、みつけた心、いのち。


 あなたに会えて、一緒に過ごせて幸せでした。

 いまさらだけれど、ありがとう。

 弱虫、自己愛、醜い生き物な私。

 ライターで燃やす、遺書、あなたへの思い。


 すきです。  

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