第3話 魔法少女の力
目の前で魔法少女に変身した少女たち。
そして彼女たちはボクが召喚した魔物たちと戦いはじめる。
ルミナス・レインが前に出る。
「まずは雑魚を蹴散らしてやるわ!『ウォーターアローレイン』!」
――シュバババババ!
「グォォオアア!」
空中から水の矢が降り注ぎ、ゴブリンやスライムたちに命中する!
大量の矢を喰らい、小さい魔物たちは消滅していった。
だがまだオークが残っている!
「シャァァァァ!」
オークがルミナス・レインに向かって木の棍棒を振り下ろす。
「私が守ります……!『テラシールド』!」
――キーン!
オークの攻撃はルミナス・テラの作ったシールドに弾かれる。
「今です!ルミナス・フルール!」
「おっけー!いっくよー!」
ルミナス・フルールが拳を構える。
「『フルールショット!』」
――ズドォォォォォン!
花の形が浮かび上がった拳がオークに叩きこまれる。
オークは「グォォ」と断末魔をあげながら消滅していった。
「すごい……これが魔法少女の力……それに見事な連携プレイだ……」
「見事だったなー」
ボクは素直に感動していた。
目の前でそれぞれ技を使い、助け合って敵を倒す姿はボクが想像していた魔法少女そのものだ。
「ありがとう、魔法少女のみんなー!」
「助かったぞー!」
「私たちがこれからも守るから安心してね!」
ルミナス・フルールが村人たちの感謝の言葉に応える。
そしてほかの2人とハイタッチしようとしていた。
「やったね!大勝利!イエーイ!」
「あんたはすぐそうやって調子に乗るんだから……なんでいきなり魔物が大量発生したのか気になるわね」
「野生の魔物……にしては数が多すぎますね……それに統率が取れていたような……」
3人の魔法少女は変身を解除し、話し合いをし始めた。
きっと今のボクが真正面から戦っても、ノワールの言う通りすぐやられてしまうだろう。
「おい、今のうちにさっきの丘まで戻ろうぜ!」
「うん、そうだね」
今のうちにこっそりと撤退して、こっちも作戦会議をしよう。
そう思った矢先、村の方が神々しい光に包まれる。
この光……見覚えがある。
《光の戦士たちよ……今回も魔物から村人を守ってくれたのですね》
「「「ルミナスフィア様!」」」
あれは女神のフリしたアスタロティア様だ。
なるほど、こうやって魔法少女たちと接触しているのか。
すると、ノワールが教えてくれる。
「アスタロティア様はああやって幻影だけを降臨させて、魔法少女とよく連絡取り合ってるんだ!手の込んだことするよなぁ〜」
「へぇ〜、すごい退屈そうだったもんね」
女神ルミナスフィアは魔法少女たちに言う。
《どうやらこの村が魔族に狙われているようなのです。さっきの襲撃もおそらくそれが原因でしょう。気をつけてくださいね》
「わかりました!ルミナスフィア様が与えてくださった魔法少女の力があればどんな魔物だってやっつけられますよ!」
「あんたはまたそうやって調子に乗って……ルミナスフィア様、安心してください。このバカは私がちゃんと面倒みるので」
「バカって!ひどいよ〜」
「まあまあ……2人ともそれくらいに……女神様の前ですよ」
《ふふふ、あなたたちは仲がよろしいのですね。これから安心です。そろそろわたくしはいかなくてはなりません。あなたたちの無事を祈っておりますよ》
そう言って女神ルミナスフィアの幻影は消えた。
よし、今度こそ撤退しよう。
ボクたちはこっそりと村から離れ、近くの丘まで戻ってくる。
「さて、どうしよう。魔法少女を見ることができたのはいいけど『モンスターサモン』では勝てないのはわかった。『スキルドレイン』で魔法少女の力を奪うとか?遠隔じゃ使えないの?」
「残念ながら『スキルドレイン』は直接相手に触れていないと使えないスキルなんだ……特に魔法少女くらい強力だと相当弱らせないと吸収できないぞ?」
「そんな……それじゃ勝てない……魔法少女がやられる姿が見られない……」
そんなふうにボクが絶望していると、隣にいたノワールが「ぷるるるるるるる」と震えだした。
「えっ?なに?どうしたの?」
「アスタロティア様からの通信だ。オイラはこういうこともできるんだぜ!」
するとノワールの中からアスタロティア様の声が聞こえてくる。
《どうだ?我の先ほどの演技は?見事だったであろう?》
「そんなこと言うために連絡してきたんですか?魔法少女に狙われてるって言っちゃったじゃないですか。もっと警戒されるのでは?」
《そっちの方が面白いであろう?》
「えっ」
《全力で向かってくる魔法少女を倒し、屈服させることこそがカタルシスをもたらすのではないか?》
「確かにその通りです!さすがアスタロティア様!よくわかっていらっしゃいます。しかし、ボクとノワールの力では魔法少女に勝てそうにないですよ?」
《別に正面から戦う必要はないのではないか?お前は元は人間だろう?他の魔族とは違い人間としての振る舞いはわかるはずだ》
「つまり人間のふりをして彼女たちに近づき内側から壊すと。そういうことですね?」
《ククク、我は少しアドバイスをしただけだ。お前なりにやれと言っただろう》
「……そうですね。ボクなりにやってみますよ。ありがとうございます、アスタロティア様。それと女神様の演技、お上手でしたよ」
《そうか、それはよかった》
こうして通信は切れた。
「ねぇ、ノワール。ボクってこうして羽と尻尾が生えてるけど、人間のフリってできるのかな?」
「魔族ならそれくらいはできるはずだぜ。人間のフリして潜んでるやつは多いんだ!ま、オイラみたいになんにでも変身できるわけじゃないけどな!」
ふふん!と胸を張るノワール。
ノワールの変身能力がすごいのはわかったが、どうやらボクも羽や尻尾を隠して人間のフリをするくらいはできるらしい。
あとは作戦とコミュニケーション能力次第かな。
「さて、どうやって魔法少女を攻略しようかな」
魔法少女を見た興奮からか、それともサキュバスの本能からか身体が疼いていた。




