第2話 魔法少女に会いにいこう
それにしても案内役ってどんな人なんだろう。
「ノワールよ、我の元に来い」
アスタロティア様が誰かを呼ぶ。
「アスタロティア様〜お呼びですか〜?」
すると、パタパタと小さいコウモリが飛んできた。
「アスタリリスを案内してやれ。こいつはこの世界のことを何も知らぬからな」
「えっ?オイラが案内するんですか?」
「そうだと言っているだろう」
案内役は勝手に人型の魔族だと思っていたけど、まさかこんな小さいコウモリだとは……
『ノワール』と呼ばれたコウモリはあわあわしている。
「無理ですよ!オイラなんてちょっと変身能力が使えるだけで戦闘能力は皆無だし……」
「だからいいんだ。アスタリリスは自分の力で魔法少女を屈服させたいという歪んだ欲求の持ち主だからな。お前のようにサポートができるやつのほうがいいだろう」
「アスタロティア様……!オイラ頑張ります!」
どうやらノワールは変身能力が使えるらしい。
どの程度のものかわからないけれど、魔王様が呼んだということはきっと役に立ってくれるはず。
「よろしくな!アスタリリス!」
「うん。よろしくね、ノワール」
ボクはノワールの小さい羽と握手(?)をする。
「じゃあまず、この世界の魔法少女が見たい!」
「任せとけ、オイラが案内してやるぜ!」
こうしてボクの要望で、まずこの世界の魔法少女を見に行くことになった。
「それでは行ってきますね、アスタロティア様」
「ああ」
挨拶を済ませ、ボクとノワールは部屋を後にした。
部屋を出て、城内を歩きながらノワールと会話する。
「それで?魔法少女はどこにいるの?」
「そうだなぁ。まず近くの小さい村『リーファフィオーレ村』に行こうぜ!そこには3人の魔法少女がいるはずだ!」
「魔法少女が3人も!?早く行こう!」
「あっ、おい待てって!お前城の構造わかんねえだろ!?迷子になるぞ!?」
あぶないあぶない。
いきなり迷子になったら大変だ。
「ほら、城の出口はこっちだぞ!」
パタパタと飛びながら案内してくれるノワール。
おかげで城の外に出ることができた。
「こっからは飛んでいこうぜ!」
「飛ぶ?ボク空なんて飛んだことないよ?」
「お前はサキュバスなんだから、当然空を飛べるだろ?オイラより立派な羽がついてるじゃねぇか」
なるほど。
言われてみればそうだった。
とはいえ落ちたら怖いなぁ。
「大丈夫?本当に落ちない?」
「とりあえずやってみようぜ!少しの高さなら落ちてもダメージは大したことねぇからよ!」
「うん、わかった」
――バサバサッ!
「おお!やったよノワール!飛べた飛べた!」
背中の羽が自分の手足のように動く……
風に乗ってフワリと浮き上がる感覚、なんだか不思議だけど気持ちいい。
「よっしゃー!これで村までひとっ飛びだぜ!」
ボクたちは魔法少女がいるという『リーファフィオーレ村』に向かって飛んでいく。
場所はノワールが案内してくれる。
「ところでサキュバスって飛行以外にどんな能力があるの?」
「サキュバスには『スキルドレイン』っていう強力なスキルがあるんだ!その名のとおり相手の能力を奪うスキルだな!」
「それってもしかして……魔法少女の能力も奪えるの?」
「もちろんだぜ!」
「えっ、すごい。ますます楽しみになってきた」
「他にもスキルはあるけど、あとでいいか。まずは魔法少女を見に行こうぜ!」
こうしてボクはサキュバスの基本能力を学びながらも『リーファフィオーレ村』近くの丘までたどり着いた。
「うわぁ、ほんとに小さな村がある!それで魔法少女はどこ!?」
「落ち着けって!魔法少女は敵がいないと変身しないだろ!」
「あっそっか。でも敵って?ボクがなんか暴れればいいの?」
「それだとすぐやられちまうだけだろ。ここでサキュバスのスキル『モンスターサモン』を使って魔物を召喚するんだ。しょぼい魔物しか呼べないけど、魔法少女を誘い出すにはもってこいのスキルだろ?」
「へぇ〜。よし、じゃあ早速やってみよう。『モンスターサモン』!」
――ゴゴゴゴゴッ!
ボクがそう宣言すると目の前の地面から小さいゴブリンやスライムが湧き出てきた。
1体だけ少し大きめのオークがいる。
「ちゃんと召喚できたな!こいつらに指示を出して村を襲わせるんだ!オイラたちは近くの茂みに隠れて様子を見てようぜ!オイラは擬態できるしな!」
「わかった。よし、お前たち。村を襲ってきて!」
「「グオオオオオオ!!」」
魔物の集団がボクの言うことを聞いて、丘から村に向かって走っていった。
ボクとノワールはその後ろについていき、村の近くまで行く。
そしてノワールが変身能力で草木に擬態し、ボクはその中に隠れて様子をうかがった。
すると村の中から悲鳴が聞こえてくる。
「きゃー!魔物よー!」
「助けてー」
どうやらボクが召喚した魔物たちはちゃんと村を襲ってくれているようだ。
すると――
「大丈夫ですか!?」
「なんでこんな量の魔物が来ているのよ」
「と、とにかく……変身してみなさんを守りましょう!」
変身……!
まさか一見普通に見えるあの3人の少女が、この村の『魔法少女』!?
「みんな、いくよ!」
「ええ」
「はい!」
「「「輝け、希望の光!!!『ルミナスコア』、リリース!!!」」」
少女たちが宝石を掲げ、そう唱えると宝石が光輝き、眩い光が彼女たちを包み込む。
「あれが魔法少女の変身……」
ボクはその光景を食い入るように見つめていた。
中央のピンク髪の少女は、舞い散るピンクの花びらを纏いながら、ふわりとしたピンクの衣装へ。
左の青髪の少女は、らせん状にうねる澄んだ水流を纏いながら、クールでスタイリッシュな青の衣装へ。
右の金髪の少女は、黄金に輝く砂を纏いながら、ゆったりと包み込むような黄色の衣装へ。
「咲き誇る花の力!ルミナス・フルール!」
――フワァァン!
「降りそそぐ水の力!ルミナス・レイン!」
――バシャァン!
「湧き出る大地の力!ルミナス・テラ!」
――ドドォォン!
3人は揃って美しくポーズを決めた。
「本物の……魔法少女だ……!」




