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5 暴食


――ズズズ、ズズ……


「……か、確変……!?」


このスキル付与は、アプリゲームでよくあるガチャに似ている。それらのソシャゲであるシステムに、引いたカードのレアリティが稀に上がる場合がある。


出現した銀色、Rのカードが稲光と共に金色に……これはSR……つまり、檜室の【氷結創造】や大童の【雷電付与】、姫霧の【魔女ノ血】と同じレア度!!


「……す、すごい……」


突然降ってきた幸運。まるで夢でも見ているかのような、そんな現実味がないこの状況。そこから更に確変でレア度があがり、あの三人と同じレアリティのスキルが入手できた。


――ズズズ、ズズ……


「……?」


なぜか、カードの光が収まらない……本来ならレアリティが決定されるとスキル名がわかるはず。なのにいつまでたってもその名は告げられず、眩く黄金の光を放っている。いや、それどころかどんどんその輝きは強くなっていってる……と、不思議に思っていたその時。


黄金の輝きが、七色に変わり始めた。


「――ッッ、ッ!!?」


虹色の羽のような光が周囲に舞う。カードから放たれる強大な力を感じ、無意識に気圧される。


途轍もない力を秘めた虹色のカード。


「……は、はは……嘘だろ、これ……」


現れたのは、SSR。これまで世界で確認されているのは、たった14人のレアリティスキル。


それは、あの杏樹の【生命の樹枝】と同等のスキル。シーカー界隈で言われる『神』の力だった。


ぽた、ぽた……と頬を伝い落ちる雫。


全てが報われた、そんな気持になった。


これまで、どんなに苦しくても辛くても、投げ出さずに生きてきて良かったと心から思えた。


――ズズズ、ズズズ……


「…………?」


カードはまだスキル名を告げない。


「…………は?」


虹色の光が白銀へと変わる。光に当てられ、それが聖なる質のオーラだと感じた。


「……こ、これ……は」


脚が震える。その放出されている莫大な力は、一つの生命として恐怖せざるえなかった。


カードから青白くのぼる蒸気のような、逆流する大滝のような莫大なオーラが立ち昇る。


現れたのは、銀色。だが、Rの銀色ではなく、その色合いは圧倒的白銀の美しい光を放ち、青みがかっている。


誰もが一目見て理解できる、それほどのRスキルとの次元の違いが美しい色合いに表れていた。


いや、それどころか、これまでに出現したR、SR、SSR……そのどれもを遥かに凌ぐ神々しい輝きと神秘的な美しさ。


……世界でたった三人しか確認されていない、幻のレアリティスキル……青銀のカード『SSSR』


昔、ダンジョンから発見された書物に書かれていたが……神の如き力を宿す、ハイレアスキル……ぼ、僕は、その四人目に……!?



――ズズズ、ズズ……ミシ



「…………」



――ビシッ!!



「!!?」



――バキッ、メキキ……ッッ



突如、カードがヒビ割れた。まるでガラスのヒビ割れのように、それは周囲の空間に広がりだす。


「…………な……」


割れたカードから黒い霧のようなオーラが漂い始める。あれほど美しく白銀に輝いていたカードの色は、どんどんと黒く穢れていく。


どろどろとカードの中から禍々しい魔力と共に粘り気のある澱みのようなものが多量に流れだす。


周囲の空間に入ったヒビ割れからもそれは流れだし、そこから紅い花が咲き始めた。


血に塗れた彼岸花。


割れた黒いカードにも血に濡れた紅い花が咲いていた。


――ズ、ズズ……ズ、……


やがてカードに真紅のオーラがゆっくりと立ち昇り始める。


「…………きれいだ……」


黒の中に血のようなオーラが浮かび上がるその光景は、ここまでみたどのカードの輝きにも勝る美しさだった。


――スキル……【暴食】


そう脳内に言葉が響いた。




スキル名、【暴食】


レアリティ、UR



【重要】

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