表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/33

21 会いたい人


檜室との話が終わり、ギルド本部の外。街なかを歩く椎名。


(……妹の、玲華の呪を解く方法は今のところ無しか)


檜室に聞いた話では、あの呪は呪物によるものらしい。闇サイトで入手した、ダンジョンアイテム。非合法のシーカーがダンジョンで手に入れ出品しているオークションサイト【トゥマー】


そこに出品されていた特級呪物【闇の眠り】は、あるダンジョンの最下層にいる魔物の魔力を宿したアイテム。


檜室はそれを遊びで数人の人間に使っていたらしく、その内の一人が僕の妹である玲華だった。


(……何の魔物なのかわかれば手の打ちようがあるんだけど、檜室はそれを知らない)


毒から血清を作れるように、呪もその元を特定できれば解呪する方法がみつかる事がある。ただ、呪を扱う魔物は数千種、未発見の物を含めればそれ以上。


手がかりになるかと思いそのアイテムである小瓶を出させたが、保管状態が悪く微かな呪力すら残って無かった。霧散したんだろう。


この点は毒と違い呪力は跡形もなく消えてしまう。非常に厄介だ。というか、檜室のやつ闇サイト使ってるとか、大手ギルドのマスターとしてどうなんだ……。


違法サイトで特級呪物購入とか、バレれば捕まるどころじゃないだろうに。変なところで意識高いくせに、こういうところは杜撰で困る……どうかしてるんじゃないのか。


いや、普通にあいつはどうかしてたな。ダンジョンで僕を殺そうとしてたし。


『冥様』


(ん?どうしたリリィ)


『どうしてあの様な者の元で冥様が働くのですか』


(……檜室のこと?)


『はい。冥様なら、一人でもシーカーの活動は続けられますよね?なのになぜわざわざまたあのギルドに』


(それは一番近くで観れるからかな)


『観れるから、とは?』


(彼らの苦しむ姿がさ。彼らのいるあのギルドにいたほうが、観察しやすいだろ?)


『成る程。丁度いい特等席というわけですね』


(そ。檜室、大童、姫霧、杏樹……あの4人はこれから少しずつ不幸の奈落に落ちて行く。それを間近で観られるのはあのギルドだけだ)


簡単に、すぐに殺してしまうなんて勿体ない。僕や妹に対する仕打ち……到底そんなもので相殺されるものじゃない。後悔させて、生きたいという想いすら消えるほどの苦悩を与えて、尚生かし苦しめてやる。


……だが、その前に妹だ。


眠り続けている玲華の時間は今も削られ続けている。早く起こしてやらないと、彼女の貴重な時間が今も失われて……。


(リリィ、この間玲華の病室で言ってたことは本当か?呪を消滅させる魔物がどこかのダンジョンに存在するって……)


『はい。スキル端末になって殆どの記憶を失ってはいますが、確かにそういった魔物は存在していたと思います』


リリィはスキルについている端末。いわば使い魔というものだ。しかし、最初からそうだったわけではなく、元々は悪魔界に住んでいた一人の悪魔なのだという。


どういう経緯でスキルの端末になったのかは本人にもわからないみたいだ。ただ、僕のことは端末になる前から知っていたらしい。


……うーん、謎だ。てか、悪魔界なんてあるんだ……魔界が存在しているのは知ってたけど。


と、そんな話は今はいい。呪を消滅させられる魔物がどこかのダンジョンに存在する……しかし、どこにいるかはわからない。


(そいつをもし見つけられたら【暴食】で喰えばスキル化して玲華の呪も解くことができるかもしれない……)


『そうですね。……ただ、呪を消滅させるスキルが手に入るかはわかりませんが』


そう。魔物から【暴食】のスキルを使用して手に入れられるのは僕が目の当たりにし認識した能力だけ。例え元凶の魔物を見つけても呪が解ける能力があるのかはわからない。


(……やっぱり、呪の大元が寿命等で死ぬのを待つしかないかな)


『そうですね。その魔物が自身の意思で故意に玲華様へかけた呪でないのなら、元凶である魔物が死ねば呪は消えますね……ただ、魔物である以上、寿命が長い可能性が高いですが』


(そーなんだよなぁ……種類にもよるけど、呪を振り撒くレベルの魔物ならレートはS以上はあるだろうし。そうなれば魔力保有量からしても寿命が尽きるのは最低数百年……他の魔物に殺されてくれればラッキーだけど、それも多分望み薄だし)


『ですね。そういえば冥様』


(ん?)


『人間ではどうでしょう?解呪のスキルを持つものはいないのですか?』


(!)


言われて気が付く。そういえば昔、杏樹に聞いた事があったな。S級の知人にあらゆるデバフを消滅させられるSRスキルを持った奴がいると。


「冥くん」


雑踏の中、ふいに名前を呼ばれ振り返る。するとそこには、


「……杏樹」


奇遇にも丁度会いたい奴が立っていた。




【重要】

先が気になる、もっと読みたい!と思っていただけたら、ブックマークや☆☆☆☆☆→★★★★★評価、をよろしくお願いします。執筆へのモチベが上がります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ