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遠くからの指示

「青海班は青海さんが鱗牙(りんが)を打てるように湊と波瑠は我無(がんむ)を倒し続けて」

蒼「いや、俺じゃなくて湊に打たせてやってくれ。

湊「え?!で、でも、俺」…大丈夫。

海音が湊の力を最大限まで高めてくれるから…

俺は波瑠と一緒に援護にまわるよ」

「………出力は最大にして、

そこから12時の方向へ矢を構えて……早く準備!」

湊「は、はい!」ガチャカチャッ

「焦らなくても大丈夫。動きが乱れてると、うまく当てようが無いもの。まずは、しっかり自分の型を思い出してみて。それに、あなたは不安でしょうが、あなたの射型は自分を強くもっていてとても綺麗だった。青海さんがあなたを信じてるんだから………あとは弓を引くだけよ」

湊「はい」スッ…フゥーー

蒼「よし!俺らは湊に敵を近づけさせるな」

波「はい!」

「あ、あと青海さん。10時の方向に我無がたくさんいるから、頑張ってください」

蒼「ふっ、了解」(俺だけ、敵多くない?)





「風間班はそこで止まって

そこら辺はあんまり我無に認知されてないから

気配を消して、圭悟が打って……

そこから8時の方向に出力最大で構えて」

圭「了解」

「鱗牙との距離が近づいているから、避けられることを視野に入れて、隆晴は準備をお願い。空は気配を消しつつ、2人の援護を」

隆、空「分かった」


「距離、位置は大丈夫だから、後はタイミングだけです。ズレないように意識して

各班、あと10秒後に打ってください」


3.2.1……

<バァアアアアアンッ>




木々を破壊しながら、綺麗な光を放ち

鱗牙の肉体に深く突き刺さる

苦し紛れに辺りの木々を倒しながら、ゆっくりと鱗牙は倒れる。そこへ、すかさず鋭い刃が、内臓深くまで突き刺さり、血飛沫とともに綺麗な狐を描きながら、振り払われる。




信「こちら先遣 壱番隊、無事、鱗牙2体殲滅完了」

蒼「遠距離部隊も我無の殲滅完了」

信「これより、ゲートへ帰還する。それぞれ隊列を

整え油断せず進んでくれ」

皆「了解」






大「皆、武器の状態確認して。それが終わったらそれぞれの部隊に別れて今回の訓練の反省点とか改善点をあげて終わりにしよう」



―――

武器の確認後

波「蒼一郎さん、ちょっと疑問だったことがあるんですけど……」

蒼「ん?何だ」

波「なんであの人は俺たちの姿が見えないのにどこにいるのか分かっていたんですか?」

空「おっ、それ俺も気になってました」

蒼「………気になるか。

それに気付いてるか?あの子が具体的な指示を出したのは波瑠と空以外だってこと」

空「?!気付きませんでした……。

なんで、俺達だけ……」





蒼「それは……、手を繋いでいないからだ。

あの子は他の子より耳が良くて、何より聞き分ける能力がずば抜けている。どんなに離れていてもどこに誰がいるかが分かるんだ。それに自分の意思で

聴力を強めたり弱めたりしている……。

あの時、手を握ったのは

俺達の“心音”を聴くためだ……」



圭「心音……」

蒼「それぞれ音の波が違うんだと

あとその波に色をつけて人を認知しているらしい

だから手を繋がなかった者は、心音を認知できず

的確な指示が出せない」

湊「そうだったんですね」

隆「それじゃあ、あの人は自分も猿怒と戦っていながら、こっちの様子も把握してみんなに指示をだしていたんですね」

蒼「あぁ、その通りだ」

波「す、すげぇ」

蒼「………それに凄いだけじゃない

あの子は心音で人を区別し、みんなの力配分が均等になるように隊列を組んだんだ。なおかつ必ず鱗牙を倒せるように班の中で実力のある者を選んだんだ。


――

信《これは俺が考えてる事なんで、あれなんですけど。戦ってる中で、仲間が死ぬ時ってあるじゃないですか。どんなに鍛錬しても、いい武器を備えても、みんないつかは死ぬことがありますよね。それでも、俺達は仲間が倒れても戦わないといけない。

戦ってる最中、海音は指示を出しているとき皆が何処にいるのか、耳をすまさないといけない………


そんな時、今までそこにいるはずの、ついさっきまで大きな音を響かせていたはずの音がっ!仲間の音がだんだん小さくなっていくのを海音は戦いながら嫌でも聴こえてたんだろうかって思うんです。


徐々に弱くなっていく音を聴きながら、

あいつだけ……

あいつ独りだけ悲しんでる……

きついとも、悲しいとも言わない、いや……言えないんです。海音は平気な顔してるけど、辛くない訳ないですよね?自分の中にある辛いって気持ちをどう周りに伝えればいいのか分からない。独りだから、気持ちを外に出す方法が分からなくて、我慢して、不器用なんですよ。


それに戦いの前にちょっとドジって怪我を負ったときがあったんですよ。あんまり深手じゃなかったんでそれ内緒にして戦ったら、あいつ気付いたのか

絶対に死なないような配置、班員にしてたんですよ

ちょっと俺、それが嬉しくて、怪我に気付いたのがほんとかどうか分かんないですけどっ。と、とにかく海音は他の皆からいろいろ髪のこととか言われてるけど

ほんとは優しいんです。優しい、優しいただの女の子なんですよ。それに、


海音のこと“バケモノ“だって嫌ってるやつを

あいつは、“仲間”だって……》



あの子のおかげでみんなで生きて帰ることが出来たんだ。周りがあの子のことを恐いと言うけど

俺は見た目で判断して中身を知ろうともしないで、恐いと決めつけてしまうのは

良くないことだと思うなぁ……」

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