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天藍を想う君 ~あなたの心に触れたくて~  作者: 乙宮 楓
それは悲しさ

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37/37

思い出の場所となる

―――

――

………痛みによっていつの間にか、朧気になった意識を取り戻す。それから終わりを告げる点滴の音と皮膚の圧迫感を1つずつ認識し始めていく。


毒液がまだ身体の中を巡っているのか、倦怠感に似たずっしりとした重たい気持ち悪さは残っていた。

その後は気分の波が落ち着くのと、ほぼ同じくらい待ってから、研究員がやって来てバイタルチェックを始めとした、身体機能のテストを行っていく。


着替えを済ませると、部屋の外にいる研究員と共に

部屋を出る。エレベーターで1階へ戻り、分厚い鉄の扉がゆっくりと開いた。外へ出ると、光が目に刺さる。外は今の自分の気持ちと裏腹に、明るかった



先程まで見ていた‘’昔の記憶”が、まだ頭の中に残っていた。似たような記憶が今でも

思い出されてしまい、気持ち悪さも相まって

胸の奥がじわりと重くなり、気分がゆっくりと沈んでいく



そんな時、私はいつもの場所へ行く



――

ここは前まで腕で囲むくらいの範囲しか

花がなかったが、今では先程まで見ていた空色が

辺り一面絨毯のように広がっている。

その中で所々、星座のように、

黄色や赤色などの花が咲いているのが見えた。


私は極力花達を避けながら、ポツンとある椅子を形どった岩肌に腰を降ろす。この花や草、貰った本に書いてあったなぁと昔を懐かしく思う。

その時、遠くの方から足音が聞こえてきた。


「やっぱり、ここにいた。大丈夫か?」


振り向くと思った通り、彼だった。

彼はいつものように、ここへ来て優しい言葉を掛けてくれた。私は彼の言葉に頷きながら、頭の片隅で昔ここで出会った記憶を浮かべていた。



――

―――

琉おじさんの件があった後、どうしても訓練所の方まで足が向かなかった。かといって、部屋の中にいれば悲しみが押し寄せてくるため、逃げるように落ち着きを求めてお気に入りの場所に来ていた。


座って空をぼんやりと眺めていた。

(青い……大きな空だな)


――その時


信「あ!探したぞ」


突然、聞き慣れない声が耳に入った。

いつの間にかその人は後ろに立っており、私を見下ろしていた。


「………!」


私は驚いた様子で彼の目を見つめていた。

彼はそこから動こうとしない。

私は戸惑いつつも、少し首を傾げながら疑問を投げかけた。


「…何で?」


声が少し震える


「何で逃げないの?……私が怖くないの?」


彼は私の目を見て、静かに頷いた

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