この身に流るるは
細い管の先から
ゆっくりとアイツらの毒液が流れていく
それが私の中へ入った瞬間
「ゔぅぁああ」
ガチャガチャ、バタバタッ
ドスの効いた声が部屋いっぱいに響き渡る
ベルトで止めてはいるものの
今にもそれを容易く引きちぎって
暴れ出す勢いである。そして、我が身に流れゆく毒を必死に拒否しようと全身を激しく震えさせていた
点滴を刺されている所から
まるで蜘蛛の巣が付着しているかのように
赤黒い線が伸びている
止まることなく流れる毒液は、筋肉からやがて血管を伝わり全身へと巡る。留まることをしらないその痛みは普通の人では到底、耐えられはしない
例えば意識のある中で、麻酔を使うことなく骨まで到達した深く大きな傷口を太い針で縫い合わせるように終わることの無い痛み。身の内側からあらゆる筋繊維が裂け、明確にそこだと分かるような鋭痛。
あらゆる痛みという波が途切れることなく襲い
彼女の精神は次第に綻び始めた
失神と覚醒を繰り返し
自分を見失いそうになる彼女
そして、痛みを“痛み”として認識出来なくなった頃
精神が身体と乖離し、現実からかけ離れた領域へとおちていった。
ふと、彼女は昔を思い出す