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天藍~君は何を思う~  作者:
傍に居ること
18/29

少しの変化

<淡い水色の服を着て私に話しかけている……

輪郭ははっきりとせず、全体的にモヤがかかっている


あぁ、またあの夢だ……


何を言っているのか分からないけれど

とても温かく感じてしまうのはなぜだろう>


ズキンっズキンと脈打つ頭を抱えて起き上がる


カーテン越しに皆の寝息が聞こえてくる

そんな彼らを起こさないように彼女は静かに病室から抜け出した


何秒か経って、ムクっと1つの影が起き上がる


―――

窓ガラス越しに小さな星々が輝いているのが見える

椅子に腰掛けた彼女は頭痛が収まるのを待っていた

そして、なぜ泣いていたのか分からないが乾いた涙の跡を拭う


その時、後ろからふわっと背中に毛布がかけられた

驚いて後ろを振り向く


「寒くないか?」

「信弥?!あ、暖かいけど…、起こしちゃった?」

「いいや…起きてた。俺も寝付けなくてさ

気分転換に外に出てきたんだ」

「そうなんだ……」


信弥はそう言いながら、海音の隣に腰掛けた

彼は優しい眼差しで言う


「また…眠れないのか?」


私の涙の跡に気付いたのか、優しくて温かい手のひらが頬に触れる。私はこの温かさが大好きだ。温かさを頬で感じながら、自分の手のひらを重ねる。そして、彼の優しい瞳を私も見つめ返す。


「うん」

「怖い夢でも見たのか?」

「……うん」

「はぁあ……」


私が言った後、彼は大きくため息をついた

そして、私の目を見ながら、彼の顔が近づいてくる。私は反射的にギュッと目を閉じた。

コツンっと信弥の額と私の額がぶつかった。


「その時は俺を呼べって言ってるだろ?

俺が寝てても怖いって言って

俺を叩き起こせばいい

勝手に1人でどこかに行くな…

心配して眠れないから」

「………」

私の心がほわっと温かくなり、胸がギュッと苦しくなる。何も言わない私に対し、彼は距離をとって、私の顔を覗き込む


「おい、分かってるのか?」

「うん……分かった」


彼は私に独りになるなという。怖かったら、素直に怖いと言えという。彼は知らないのだろうか。

彼の言った言葉でどれほど私の心が救われているのか。心の奥底にまた、温かいものが溜まっていく

そして、気づけば頭痛は収まっていた

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