月夜
<ザザッ……もっと……にいた……
わた……のもと…れてきて………
……してる
生きて……ザザッ……>
真夜中、全身に汗をかき目が覚める
たまに繰り返す悪夢
誰かが何を言おうとしているのか
ハッキリとは思い出せない
頭が痛くて眠りに付けない
こんな夜はひどく冷える
彼女は毛布を頭まで被り、身を丸くして目を閉じた
―――
「エリア12の外壁造設完了しました。
そして、今夜は紅月ノ夜です。
準備ができ次第、20分後にゲートを開きます」
外壁を構成する部品は長い年月をかけて造られるため、エリアを拡大するのにもまた長い年月を有する。この外壁はエリア10のケモノを殲滅している時よりも前から、少しずつ作り続けていた。他エリアの部品も並行して作られている。
ガシャン、カチャカチャ
手枷、マスクが外され戦闘態勢に入る
新エリアに入る時は、身体能力が高い少数精鋭の隊員で動く。大人数で挑まないのは数が多いとその分、彼らにとっては足でまといになるからだ。
初っ端から彼らはギアを上げ、邪念を消す。
彼らをひと目見たさに遠くの角から覗くが
すぐに見なければ良かったと後悔する。
音を出した瞬間に出した者がこの世から消えさるくらい辺り一面に静けさが満ちていた。
肌に深く刺すように伝わる殺気がより
彼らを強者たらしめるものであった
「では、ゲートを解放します。皆さん、ご武運を」
ゥウウィィイイン
開いた扉の隙間から、漏れる光は血のように真っ赤だ
暗い影が見え隠れする森を赤き光がより一層
不気味な雰囲気を出している
海音を先頭にして、彼らは音もなく
空に向かってそびえる木々の太い枝から枝へ
飛び移っていく
海音が月光がよく当たる、少し高台にある場所で
動きを止める。それに合わせるかのように彼らも動きを止め、身を潜める。他の隊員は彼女を取り囲むように離れて配置に着いた




