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天藍~君は何を思う~  作者:
傍に居ること
14/29

検査

木漏れ日からいくつもの日々が流れた

いつものように、みんなで切磋琢磨していた昼間

研究員の人がやってきて


「今日は定期検診です。今から案内をしますので

皆さん、付いてきてください」


「はぁー、またか」

「注射痛いのやだなぁ」


皆、愚痴を言いながらも研究員に付いていく

彼らがいる場所は鍛錬場とは程遠く、様々な分野の研究員がそこに集い、研究している。棟内の廊下を進み、検査室へ入る。身長、体重測定に血液検査まで一通り行う。そして、守人にとって重要な毒性検査を行い、検査の結果を待つ



「やはり、数値が異常に高いのはこの二人ですね」

「ああ、ここまで毒に適応できるのは珍しい」

「加えて、特に彼女は素晴らしいなぁ。あの第三次鬼人大戦のバケモノに近いぞ。全体的に能力値が上がってきている」

ゴクリッ

「あ、あの死者数が他より桁違いの大戦で、確認されたと言われるバケモノですか…」

一瞬、空気が静まり返った。

ある研究員は喉を震わせ、額に冷や汗が浮かぶ

「その力が今は人間側にあるなんて……

ふふ、素晴らしいとしか言いようがない!」

「このレベルなら次のエリアでケモノ討伐の際、毒腺を刺激せず、なおかつ毒液そのものを空気に触れさせずに質の高い状態で、貴重なサンプルを採取できるかもしれないですな」

「うまく採取出来れば、さらに強力な兵器が造れますぞ」

「あぁ、早く選定して新しい実験体を用意しなければ」


―――

検査結果を見渡す

前のデータよりも、数値が上がっている


この速度はレベルⅣの蜥蜴型

筋肉の繊維、出力ともに哺乳類型のそれに近い

これじゃあ、まるで……。

徐々に人とは遠く離れている


たまにぽっかりと穴が空いたような感覚が訪れる

言葉にして例えるならば 無に近い

それははたして

心が疲れて、眠っているのか

もしくは心そのものが消えてしまったのか

あの時の私ははたして人として在るのだろうか


仲良く結果について比べあっている人達を見ながら、

ポツンと一人考えている


「やだ、また体重が増えちゃった」

「私もよ」


彼女らは守人ではあるが、私みたいな戦闘型ではなく医療部隊に所属している人が多い。

守人の中で、女性はあまり多くない。身体的故なのか、毒との適合性が男性より低い。その為、番いとなる場合は検査結果から適する者が選ばれる。

それも含めてなのか、同性の中でも私は異質だった



――

ポツンと立っている彼女を見る

1人の影が顔を覗かせる

「あぁ!お姉様!今日も素晴らしい佇まいだわ

お声をお聞きしたいー!!」

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