第六章:謳歌する
この小説を開いてくださりありがとうございます。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
高校二年
いつもと同じ様に玄関で靴を履く。
行ってきますとだけ言って、その後自転車に乗って学校へ行く。
少し時間はかかるけど、そこまで遠くもないような距離。
学校について自転車を降り、教室に向かっていると、誰かしらと合流して一緒に歩く。
教室に着くといつもの皆が集まっていて、呼ばれた俺は話に加わる。
そこそこ真面目に授業を受けた後は部活に行く。
持って来たギターを担いで、第二音楽室に入れば、もう皆は準備を終えていて、俺も急いで準備をして、みんなで今度の文化祭の曲の練習を始める。
部活が終われば、みんなでコンビニになんかに寄った後解散して、家に帰る。
そんな俺の日常。
これが、俺の日常。
「そういや小村今度文化祭出るんだろ?」
「あーバンドだっけ?初日?」
「出るよ、そんで初日」
おー、と少し驚かれたが、、まぁ去年は色々あって出れなかったからかと思うことにした。
「見に行くから、期待してるぞ~」
「まぁほどほどにな、でも楽しみにはしててくれ」
「お?これは期待しかありませんな~」
実際のところ実力で言えばまだまだとしか言えないけど、そこは選曲と勢いでカバーする。
高校に入ってからギターを始めて、割と頑張ってきたはずなのに、やっぱり難しかった。
(一応毎日練習してるんだけどなー)
中学の時と同じ様に毎日必死で生きている。
ギターもそうだし、俺の頭を考えると勉強はかなり頑張らないと最悪留年するかもしれないしね。
それに高校に入ってからは皆と遊びに行く機会も増えたし、毎日超多忙である。
でも、今はほんっとうに幸せだ。だって…。
「あ、颯斗ー!こっち来ーい!」
「お!彼女様が呼んでますよー」
「うっせーな」
実は林間学校などの行事を通じて中学も一緒だった白田さんとは今付き合っている。
まぁ呼び方で分かる通りの性格なのであいつらも彼女様とか呼んでる訳だ。
「この前さー、忘れ物しちゃってー」
「え、言ってくれたら今日持ってきたのに」
「来てから気付いたのー」
なーんて会話もするようになった訳で。
正直本当に今に感謝したい。
いや感謝している。間違いなく。
「でさーここもっと、、って聞いてんのかよ」
「はい、はいなんでしょう」
「お前今ボーっとしてただろ」
「いやー、ごめんごめん」
バンドの練習中にどうやらボーっとしていたようだ。
「ったく、あんま時間ないんだぞ?曲仕上がんないよこのままじゃー」
「制度は良かったんだけどねー」
うちの文化祭では複数のバンドが曲を披露するが、ほとんどはオリジナル曲なんてものは持ってないので何かしらの曲をコピーする必要がある。
そしてその曲がバンド同士で被らないよう事前に打ち合わせをするのだが…。
なんと曲が他のバンドと被りまくっており、じゃんけんに負け続けた結果。
俺達のレベルの少し上の曲を演奏することに。
勿論レベルだけならいくつもあったけど、文化祭で披露すると考えると、これしかなかった。
「もーとにかく!練習あるのみだ!頑張ろう!」
「「「「おう!!」」」」
そこから俺達は猛練習を重ねて本番に挑む事に。
「緊張してきたー」
「大丈夫だって、まぁなんとかやれるよ」
「本当こういうの強いよなー小村」
「まぁな、でも実際やれるだけのことはやったじゃねーか。本番、頑張ろうぜ」
「円陣組む?」
「いいなそれ!」
「よーしやるか」
「なんて言ったらいいの?」
「適当だよ適当」
(本番前のこういう会話もなんだかエモい感じしていいな)
円陣を本当に組んでから俺達はステージに上がって、精一杯の演奏をした。
ちょっとミスもしたりしたけど、とても会場は盛り上がっていて、とにかく楽しかった。
「お疲れー颯斗」
「ん、見に来てくれてありがと」
「じゃあ一緒に周る?」
「うん、そうすっかな」
その後は二人で文化祭を楽しんだり、クラスの屋台の仕事もしたりして、初日が終わった。
まぁ初日って言っても二日間なんだけどね。
来年のステージにも俺達は立って、前よりも大きな歓声を受けた。
最後の文化祭を楽しんで。
高校生活を俺は全力で謳歌した。
そして俺は学生生活最後の舞台に足を踏みいれた。
最後までお読みいただきありがとうございました。
正直言うと今回はかなりの幸せ展開だってので、後半書くのがほんの少しだけしんどくなったのは内緒です。
あ、この話は次回で終わります。
だから今回の最後は少し駆け足になってしまったかもしれません。
次回もお楽しみに!