第三章:青春
この小説を開いてくださりありがとうございます。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
「明日からの作戦を立てよう」
入学式から帰り、夜。
ようやく水樹さんから思考が離れたのでそろそろ作戦を立てることに。
「部活はバスケ部なのは確定」
もう自己紹介でも言っちゃったし変えるつもりもなかった。
「委員会は、、人がいないところにしよう」
立候補者がなかなか出て来ない委員が一つはあるはずなのでそこで立候補することに。
「普段の立ち回りは小学校と同じ感じでいくか」
細かい部分は特に変えず自分を続けることに。
作戦を立てるといってもだいたい決まっていたので、いざ中学校に入って何か変えなければならないかを確認するだけなのでこれ以上は特にない。
「後は。
水樹さんか」
正直彼女が一番デカい。
まるっ
きり忘れていたのでここは細かく考えていかなければいけない。
いや、こればっかりは結論は直ぐに出るだろう。
「気持ちに正直にいこう」
気持ちに正直に、つまり後悔の無いようにするということ。
一周目とは違って。
二週間後、部活動の仮入部期間などが終わり、本格的に部活動が始動していく。
俺はもちろんバスケ部に来た。
同学年の人数は十数人ほど。
小学校の時と比べて人数はかなり多い。
先輩方の数を見るとやはり一定数辞める人もいるのが分かる。
そんな中スタートした部活動だが、今回は本気だ。
小学校の時も市の大会でそこそこの成績を残したが中学ではもっと上を目指したい。
昔高校生の頃「小学生に戻ったら~」なんて考えていたことを実践しているんだから。
それに部活動も青春だから、それを謳歌しない訳にはいかない。
…部活で結果を出せたら水樹さんとも、、、と考えたのは言うまでもないだろう。
「おら~小村、練習始めるぞー」
「はい!すぐ行きます!」
(今度こそ俺は青春を謳歌してやる!!)
そう走りながら俺は心の中で叫んだ。
一年後
入学してからもう一年がたった。
部活では精一杯頑張ったがベンチ入りがやっとだった。
身長面の差がやはり大きかった。
もちろんそれだけで諦めるつもりもないが。
クラスも変わって環境も色々変わった。
水樹さんとも同じクラスになれた。
知ったときは、運命だとか言って部屋で叫んでたら親に怒られた。
中学校という環境にも再び慣れて俺の学年の立ち位置もハッキリしてきた。
学年の中で一番大きなグループの中心メンバー。
といったところだろう。
昔は嫌な奴らだと思ってたけど、ちゃんと話してみると良い奴もちゃんといた。
もちろん嫌な奴もいた。
(ちなみにそいつは全力で避けた)
後輩も出来たりして、人生で初めて「先輩」と呼ばれたときは感動した。
部活にも精を出してそろそろレギュラーにもなれそう。
水樹さんともせっかく同じクラスになれたので頑張って話しかけている。
「あ、水樹さんおはよう」
「おはよー」
話すといってもまだまだこんなものだが…。
でも、これでも一周目よりは進展している、そう思うことにした。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴って先生が教室に入ってきた。
「はーい座れーお前らー」
担任の先生は変わって、まぁ良くも悪くもないような先生になった。
「今日は転校生くるぞー」
聞いた人間がほぼ全員盛り上がるであろう言葉に教室が沸いた。
どんな人が来るだろうかとかそんな感じで。
(この時期に転校生なんて来たか?)
勿論何十年も前だから正確には覚えていないが転校生が来たのは三年生の時に男が来たくらいだったはずだ。
そこで俺は思い出した言葉があった。
バタフライ効果と呼ばれるもので、タイムリープ系作品でよく出てきたので戻ってきてから調べていた。
ほんの小さな事でも積み重なって結果が大きく変わる、みたいなものだったはず。
でも、今から来る転校生に心躍らずにはいられなかった。
(美少女とか来い!)
なんて思っていたが視界に写った水樹さんの姿でその思考は消し飛んだ。
「入って来てくれー」
と先生が言って教室のドアが開く。
クラス全員が見つめるその先から見えたのは…。
なんと女の子だった。
しかも可愛めの姿の女の子が来てクラスの男どもの心の声が聞こえたきがした。
「えっと、愛知の方から来ました。白田です。よろしくお願いします」
白田さんが名前を言い終わると全校集会の時よりもデカい拍手が鳴り響いた。
休み時間になると、白田さんの机に大量の人が群がる。
俺も行こうか悩んだけど結局行かないことにした。
トイレに行こうとするとグループの奴から声をかけられた。
「お前は白田さんに話しかけなくていいの?」
と聞かれたが答えはすぐ出てきた。
「いや冷静に考えてあんな人来たら迷惑に決まってんだろ」
俺は若干一周目のテンションで答えた。
確かに、って言ったそいつと一緒にトイレに行ってから普通に授業を受けた。
放課後になると俺はいつも通り部活動に勤しむ。
いやいつも以上にと言っていい。
なぜなら体育館の隣ではバトミントン部が入っているからだ。
そしてその中に水樹さんがいるのは言うまでもない。
あのビジュアルと更に運動もできるなんて、、と思っていたが先輩に呼ばれて正気に戻った。
その後真面目に練習していると、どうやら何人かが体育館の入口を見ていることに気が付いた。
俺も入り口を見てみるとそこには白田さんの姿が。
(もしかして女バスにでも入るのかな)
なんて思ったがそこまで興味は湧かなかった。
練習が終わり家に帰って今日の事を振り返る。
転校生には正直にテンションが上がったが、水樹さんを考えるとどうでもよく思えた。
今は部活も頑張ってるし、勉強もやっているのでそこまで思考を増やす時間もないしね。
「おっと、いけねぇそうだ勉強勉強」
一周目ではかなりヤバめ高校に入るしかなかったが今度はちゃんと勉強してそこそこの所に行きたい。
「それに勉強もこれはこれで青春だしな!」
そう思って今日も訳の分からない外国語を勉強する。
最後までお読みいただきありがとうございました。
「頑張って、、ペースを、、、うおおおお!」
次回もお楽しみに!