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二周目で俺は  作者: くろむ
2/8

第一章:二度目の始まり

この小説を開いてくださりありがとうございます。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

目が覚めると、とても懐かしい景色が広がっていた。

(体育館…だよな)

どうやら本当に学生時代に戻ってきたらしい。

しかも小学校の入学式まで。

でかでかと張られた、入学おめでとう。

という文字のお陰で状況を瞬時に理解することができた。


本当に入学式のスタートに合わせて戻ってきたらしい。

先生等がなにか話しているが正直何も聞いていなかった。

(どうする、どうすればいい)

俺の頭は今後の立ち回りのことしか考えていなかった。

前の人生を一度思い出してみることにした。


小学生の頃の記憶は曖昧だが、確かにバスケ部に入っていた気がする。

でもろくに試合に出た記憶はないし、友達もほとんど出来た記憶はない。

友達に関しては…昔はそれっぽいのが何人かはいた覚えがある。

でも、中学に入ってからはろくに誰かと話した記憶がない。

中学ではバスケ部には入らなかった。

背も小さかったし、小学校でも試合に出れなかったし、中学じゃもっと無理だと思ったからだ。

結局中学生の時は何にもしなかった。

勉強も大してしなかったし、友達もいない。

正に暗黒といっても言いだろう。

高校生の時も似たような感じだった。

当時見たバンドアニメの影響もあって俺はギターを始めた事があった。

そして高校生では青春を謳歌してやると思い、軽音部に入ろうとした。

が、陽キャ共のいる教室に入る勇気が持てず、軽音部に入ることはなかった。

そしてそれの影響でギターすらも辞めてしまった。

その後は学校に行かなくなったりして、引きこもって。

散々な学生時代と言えよう。


「…くん!小村くん!」

「は、はい!」

どうやら考え込んでいて呼ばれていることに気付かなかったらしい。

今から各教室に向かうところらしい。

(やばい、早速やらかしたかも…)

視線を感じる。

まぁでも小学校の入学式の事をいつまでも覚えている奴なんていないだろうしと、切り替えることにした。


「じゃあ今から自己紹介をします」

教室に着いて席に座ったところで先生が言ったその一言で俺は身構えた。

(自己紹介!?早くない!?)

まだ何も考えていないこの状況で自己紹介はまずい。

陰キャあるあるとして自己紹介での失敗というのは王道である。

「せんせーじこしょうかいってなにー?」

一瞬で俺の中で希望が舞い込んできた。

(そうだ!その通りだ!小学一年生だぞ?いきなり自己紹介とか出来るもんか)

「自己紹介っていうのはねー、お名前とか、好きな物とかを教えてあげることなんだよー」

「へー」

(こんな態度が許されるのは小学生と陽キャくらいなもんだな)

結局自己紹介をするのは先生だけだった。

冷静に考えれば分かったはずだがなんせ戻ってきてからまだ一時間ちょっとってとこだからか。

正常な判断が出来ていなかったらしい。

(ふー、落ち着け)

もう一度は無い、それだけは分かっている。

この後は特に何もなく帰宅することに。


取り敢えず今後の作戦を練らなければならない。

小学校のころのイメージというのも大事なのである。

なぜなら地元の公立中学に行くのなら、小学校の大勢が同じ中学に行くことになる。

そして高校に上がっても県外にでも行かない限りは、数人と高校が同じになる可能性がある。

なによりも言えることは…。

中学生になれば、高校に上がれば、大学生こそはというように。

次に期待というのは大抵上手くいかないからである。

(だからこそ!今、今に賭けるしかないんだ!)

そのために頭を必死に回転させる。


(いや待てよ)

ここで少し考える。

(そもそも俺は何になりたい。どんな学生時代を送りたいんだ?)

そこが決まらなければ何も行動は出来ない。

後悔の無い学生生活?送れなかった青春?

(そもそも俺は何を後悔していたんだ。どんな学生生活を望んだ)

何もかもダメだった。

今一度、考える。

あの時、部屋で一人考えていた妄想ではない。

本当に今、昔に戻った。


そこから数時間考え続けてたどり着いたのはとあるノートだった。

タイトルをつけるなら{諦めノート}とといったところだ。

俺が一周目で諦めたこと、出来なかったこと。

そして今でも憶えてる事を書き出しまくったノートだ。

取りあえずはこのノートを軸に今後の立ち回りを決めることにした。


「三日後、か」

学校から配られたプリントを見て作戦日時を決める。

まずはクラスの中心人物、そのグループの近くにいたい。

なので最初の作戦はズバリ!

休み時間に「皆ドッチボールしようぜ!」作戦。

これが出来れば当分は大丈夫のはず。

(これで少なくとも一年間は余裕を持てるはず…)

後は三日間イメージトレーニングを繰り返す。

そして当日。


キーンコーンカーンコーン

(チャイムが鳴った!よし、言うんだ!)

先生がこの前「業間休みは外に遊びに行ってもいいですよー」

ってちゃんと言っていたから多分大丈夫のはず。

この三日間多分何千回とイメトレしてきたこの時間。

しかし現実は現実である。

(どうしよう、言葉が出ない)

緊張で言葉が出てこなかった。

怖くて何も言えなかった。

頭の中には一周目の記憶がフラッシュバックされていた。

段々と呼吸も荒くなっていった。

(まずいまずいまずい)

焦って思考もまとまらなくなってきたその時。

「おーい外でドッチボールしよーぜー!」

とクラスの男子の一人が声を出す。

そしてすぐに俺も俺もと人が集まっていく。

(だめだ、まずい)

頭がグルグルして思考が出来なくなっていくなかで、必死に捻りだした。

(着いて行かなきゃ…取り戻せない!)

本当に怖いことは、馬鹿にされることじゃない。

本当に怖いこととは、自分自身を諦める事だ。

どこかで聞いた言葉を思い出して俺は立ち上がった。

「お!俺も、一緒に遊んで、いいかな」

小さい手でズボンを握りながら必死に言葉を出した。

皆が俺を見つめる。

「おー!いいよー!はやくいこーぜー!」

そして大声をだしながら廊下に駆け出していく背中を見て、俺も走っていく。

(よし!よし!全部が計画通りではななかったけど!本当によくやった俺!)

喜びを噛みしめながら運動場に走っていく。


「はーはー。疲れた」

時間を全く見ていなかったので三時間目の授業に遅刻する寸前だった。

集団の中で時計読める奴が言っていなかったら間違いなく遅れているところだった。

先生が教室に入ってきて、授業が始まる。

でも授業なんて聞かずに俺は一人考えていた。

(外で遊ぶのも…楽しいもんだな)

クラスの連中と遊ぶなんて、小学生以来だった。

まぁ今も小学生であるが。



桜が舞う季節。

あの時とは全く違う気持ちで歩いていく。

今日は入学式。

(こっから難易度が桁違いに上がる、か。燃えてきたな)

俺は中学生になった。

最後までお読みいただきありがとうございました。

実は予定変更してもう一話追加することになりました。

それで構成考えてたら遅くなっちゃいましたー。

次回もお楽しみに!

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