表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

バレてはいけない(クロッキー的な作品)

作者: 佐倉治加

これで完璧である。

私は一人で頷きながら、今一度部屋を見回した。

うん、完璧。


彼が来る前に、彼に見られてはまずいものは隠した。

机、ベッド、窓際にぬいぐるみ。壁のポスター、カバンかけ。クローゼットはちゃんと閉まってる。

コンセントもおかしくないし、窓のカーテンは昼間らしくまとめられている。


チャイムの音が鳴る。

階下で母の声がして、私は彼を迎えに行った。


*****


お邪魔しました、と礼儀正しく母と挨拶を交わし、うちを後にする彼。

その背中を見送り、私は部屋に戻った。部屋入り口のドアに鍵をかけ、万が一に備える。万が一は起こってはならないのだ。今後の私のためにも。


窓際のぬいぐるみを手に取り、ハサミでお腹を切る。

壁のポスターを剥がす。

カバンかけのダミーの鞄を机に乗せる。


そうやって私は部屋にしかけた監視カメラや盗聴器からデータを取り出した。


この中は、今日の彼を隠し撮りしたものでいっぱいだ。

360度、様々なアングルから彼を見つめることが出来る。

私の名前を呼ぶ声もたまらない。


一度保存してしまえば、これらを見返すことも聞き返すことも、ほとんどないけれど。

彼のデータを詰め込むと、根拠のない安心に包まれるのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] そのうちストーキングレディになりそうな勢い(・_・; おそらく、想像だけど、お母様もその手の趣味を持ってそうで、実は二人の様子を隠し撮りしていたりして……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ