恋のビッグバン
ビッグバンが起こった、わたしの心の中で。
産まれた宇宙の名前は――『恋』。
衝撃で胸が張り裂けてしまいそう。
熱が全身を巡り、顔からは火が出てる。
わたしの宇宙はどんどん広がっていく。
きらきらと輝く恒星があなたを彩り、刺すような光で直視できない。
吸っても吸っても空気はなくて、声を出そうにも肺はからっぽ。
いびつな重力ターンであなたを振り切り、ようやく呼吸の仕方を思い出した。
ひとり宇宙をさまよい考えた。
わたしの公転周期はどれくらい?
あなたを回った楕円軌道は、無情なチャイムで小さくなった。
あなたの隣がわたしの席。
すとんと腰を落としたら、そこはブラックホール。
事象の地平線を越えて、わたしは落ちていく。
あなたがこっちを向いた。
あなたが微笑む。
またビッグバンが起こった。
何度でも宇宙が産まれる。