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気配
*本日二話目です。超短編です!
エステル、ロラン、ラファイエット騎士団が身代金を運ぶために『呪いの森』に向けて出発した直後。
夜も更けた。今夜は新月なので月も出ない。昏い夜だ。
シンと静まり返った邸内で芝生を歩く微かな足音がする。
いつもよりも人気の少ないラファイエット公爵邸の裏手にある入口の扉が静かに開けられた。
そこは屋敷の使用人や出入りの業者が通る通用門で、使える人間は厳しく制限されている。
その扉を開けたのは侍女のダフニーだ。緊張のせいか顔が青ざめて強張っている。
扉の向こうには禍々しく嗤うパスカルの顔があった。




