表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/110

甘くて重い・・・

*本日二度目の更新です!読んで下さってありがとうございます!


*砂糖増量中です。苦手な方はご注意ください。ストーリー上飛ばしても問題ありません。



(エステルは何を考えているんだろう?)


女王との話し合いの内容を説明していたら、エステルが突然真っ赤になった。


そんな表情も堪らなく可愛い。




フレデリックに恋する令嬢は掃いて捨てるほどいた。


中には色仕掛けで突撃も辞さないような勇猛な令嬢もいて、若いフレデリックは幾度となく恐怖心を植えつけられた。


恋愛に関しては受け身というよりも、逃走ばかり図ってきた彼だったが、


「ただいま」


と帰ってくるとエステルと双子が


「お帰りなさい」


と迎えてくれる幸せはもう手放せない、と思う。


「今日はいかがでした?」


と尋ねるエステルの艶やかな笑顔に身も心も蕩けそうになる。


フレデリックが欲しいのはエステルだけ。


エステルさえいれば、他に何もいらない。


彼女のためなら何でもする。


ただ、傍にいてくれればそれでいい。


フレデリックが、どれだけ重い愛情を抱いているのかエステルはまったく分かっていない。


いや、分からせないように(一応は)気を遣っている。


重すぎる愛情に戦慄して逃げられてしまったら大変だ。


誰か一人にこれほど執着したことはない。


もし、エステルが他の男に奪われてしまったら、正気でいられる自信がない。


自分が何をしてしまうかも分からない。


既に病んでるのかもしれないな、とフレデリックは自嘲した。




女王との話し合いの内容を伝え終わると、エステルは俯いて考え込んだ。


俯いた時に長い髪がサラリと前に落ちて、華奢なうなじが露わになる。


うなじだけでこんなに色っぽいってどういうことだ!?)


と叫びたくなる衝動に駆られながらも冷静さを装い言葉を続けた。


「・・・陛下の養女となるのは悪い話じゃないと思うんだ。そうしたら、リオンヌ公爵家の影響を排除できる。他に相応しい候補が現れるまで王太女を務めるという選択肢もアリだと思うよ」


俯いていたエステルが顔を上げた。頬が紅潮してピンク色になると泣きぼくろが際立って色香が増す。


(他の男の目に晒すと危険だな・・・)


と考えているとエステルが


「そうね。ダニエルがもう少し経験を積めば立派な王太子になれると思います。陛下がもっと相応しい候補がいたら考え直すと言って下さってホッとしました」


と言う。


「そうだね」


フレデリックはエステルの隣に座り、彼女の滑らかな頬に指を滑らせた。


「さっきから何を考えてるの?・・・ちょっとうわの空だったよね?」


と尋ねるとエステルがビクリとした。


「え、あ、あの・・・こ、ここここ恋ってどういうものかなって・・・」


「へぇ・・・・?」


フレデリックの顔が興味深そうに輝いた。蠱惑的な表情に男の色気が匂い立つ。


「また恋愛の練習してみる?」


と彼はエステルを軽々と膝の上に乗せた。


「え、あの・・その・・・」


ますます彼女の顔が紅潮する。


「いや?」


と尋ねると


「いや・・・ではないです・・・でも・・・」


と答えながら腕から逃げ出そうと身を起こすエステルを背後からギュッと抱きしめる。


背中に落ちた緋色の髪をかき分けて、甘い香りのする首筋に唇を落とすとエステルが「ひゃぁっ」と可愛い声を出した。


(可愛い声。もっと聞きたい)


悪戯心が出たフレデリックが耳たぶを唇で挟んで甘噛みすると


「きゃっ!」


と肩が揺れた。


(尻尾を踏まれた子猫みたいだな・・・)


と彼女の反応を楽しみながら


「いや?」


とわざと耳元で囁く。


「いや・・・ではないです」


エステルが消え入りそうな声で呟くと、フレデリックが嬉しくて堪らないというように破顔した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ