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双子

*明けましておめでとうございます(#^^#)。コロナが収束して、素敵な年になりますように!読んで下さってありがとうございます!


(このドレス、胸元が開きすぎじゃないかしら・・・?)


不安になったエステルが視線を下に向けると、豊かな谷間が視界に入る。


彼女の胸は標準よりも大きい自覚はあったが、普段は首回りまで隠れるような服を着ているのであまり気にならなかった。


(自意識過剰かな・・・もう若くもない女の胸元なんて誰も興味ないわよね)


今更着替える訳にもいかないとエステルは諦めて、双子と一緒に改めてフレデリックに挨拶するために家令の後ろについて歩き出した。



エステルたちの前に再び現れたフレデリックは、満面の笑顔でエステルと双子に声をかける。


「ここは君たちの家だ。どうか気楽に過ごしてくれ」


ココもミアもフレデリックが実の兄であることは理解しているが、どちらかというと『親戚のお兄ちゃん』的な立ち位置で彼を慕っているようだ。


双子に向かってフレデリックが微笑みかけると、ココとミアも嬉しそうに笑顔を返す。


その後、長い前髪の隙間から覗く灰青色の瞳がエステルのところで止まると、フレデリックの顔がぼっと赤く染まった。


エステルと双子以外のその場にいた全員が


((((((は!?))))))


と驚いたのは間違いない。


子供のようにはにかむフレデリックの姿を拝めるなんて奇跡だと家令は思った。


エステルだけは


(やっぱりこの恰好ははしたないのかもしれない!?)


と動揺した。


フレデリックは赤面したまま


「エマ、君があまりに綺麗だから・・つい緊張してしまった。いつも可愛いけど、今日は特に艶やかでとても魅力的だ。どんな男だって君から視線を離すことは難しいだろう」


と言い、それを聞いた使用人たちは内心


(旦那様が女性を口説いている!?!?奇跡が・・・奇跡が起こった!)


と快哉を叫んだが、もちろんエステルにそんなことは分からない。


「まぁ、フレデリック様はさすが女性を喜ばせるお世辞がお得意でいらっしゃるのね」


ニコニコと告げるエステルに


「エマ様、旦那様が女性を褒めるのを私は初めて目撃致しました。どうかその気持ちを汲んでやってください」


と家令が口を添えた。


「まぁ!そうだったんですか?それは大変・・・光栄でございます」


知らず知らずのうちにエステルの頬も熱くなる。


ふとフレデリックと視線が合うと、彼が困ったように笑いかけた。


その笑顔に胸がきゅんとときめいたが、これまでときめいた経験のないエステルは


(・・・体調が悪いのかしら?)


と不安を覚えたのだった。



***


この滞在は遺産相続が目的のはずだったが、親族の都合などで遺産相続の話し合いはなかなか始まらない。


「せっかくだから滞在している間に家庭教師に来てもらおうか?」


とフレデリックから提案されて、エステルもそれは良い考えだと同意した。


フレデリックを教育した家庭教師の精鋭たちが集結し、ココとミアは楽しそうに講義を受けている。


エステルはその様子を見守りながら


(さすがプロね。教え方が上手だわ)


と感心していた。


勉強だけでなく魔法や体術などを教えてくれる先生もいて、体を動かすのが好きな双子はキャーキャーはしゃぎながら授業を楽しんでいる。


エステルは自分の知識やスキルを双子に教え込んできた。それが、世間、というより一般貴族の常識よりも遥かに高いレベルであることにエステルは気がついていない。


ある日お茶を飲んでいる最中に、フレデリックがおもむろに口を開いた。


「エマ、家庭教師が全員驚愕していたよ。ココとミアの教育レベルは非常に高い。高位貴族の子女でもこれほど優秀な子供はいないと専門家が舌を巻くほどだった」


「えっ・・・?」


エステルは今更ながら自分の失敗に気がついた。


(しまった。世間ではそんなに子供に教育を施さないのか・・・しかも庶民だったらなおさらだ・・・)


「エマは平民だろう?礼儀作法も王宮で立派に通用するほど完璧だ。ココとミアは全部ママから教えてもらったと言っていたが・・エマはどこでそんな知識を得たんだ?」


(うっ・・・その質問はきつい。誤魔化せるだろうか?)


「・・・私は勉強が好きで独学で学びました。また・・・以前貴族の館に下働きとして働いた経験があります。その時に見様見真似で学びました」


「・・・下働き・・ね」


フレデリックの疑わしそうな表情に心臓がバクバクしたが、幸いそれ以上は追及されなかった。



**


公爵邸で働く使用人の間で、エステルと双子の人気は高まるばかりだった。


エステルの穏やかな物腰や落ち着いた声音は人に安心感を与え、双子は愛らしさで彼らのハートをがっちりとつかんだのだ。


エステルに熱い視線を向ける男も多かったが、フレデリックの殺気であっという間に追い払われた。


フレデリックはエステルたちのためにドレスやアクセサリーまで一流品を取り揃えてくれた。


「後でお返しするから汚さないように気をつけるのよ?」


と双子に言い聞かせると


「「はーい!」」


と良い返事が返ってくる。


(贈り物と言われたけど、まさかこんな高級品を受け取れないわ。一度でも袖を通したものはやっぱり買い取らないと失礼よね。私の貯金で買い取れるといいんだけど・・・)


悩みが尽きないエステルであった。

*思いがけなく異世界(恋愛)日間一位を頂きました!うわわわわっと、びっくりしました('Д')。新年早々、とても嬉しいお年玉です。ひとえに皆様のおかげです。本当にありがとうございました<m(__)m>!


*今日の午後、もしくは今夜、もう一話投稿するつもりです(*^-^*)。

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