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順応と自覚



「うわっ、すげぇ…これが…」


様々な色の光の玉が、空中に浮かんでいる。

稚拙な感想だけど、なんかすごく綺麗だ。


ファンタジーだなぁ…。本当に違う世界に来たんだって実感が、今になって湧いてくる。



「お、一発で見えたか。」


支部長のゲイナーが感嘆の声を上げる。

俺は、まだ空中を漂う光にキョロキョロと顔を動かし、目を輝かせている。



「感動してるとこ悪いが説明するぞ。それは色術の『種』だ。」


「種…ですか?」



ふと支部長に目を戻し、俺は説明を求めるように素直に言葉を繰り返す。



「そうだ。まぁ、使い方なんてのは人それぞれだ。って相手に撃ち込んでも良し、武器に付与させても良し。想像力と柔軟性で使いこなせば良い。」


武器に付与…そんなことまでできるのか。

使い方は千差万別だなんて。オラわくわくすっぞ。



「んで、色術のイロハも知らない新人の阿呆をここに呼び出した理由だけどな。ある程度熟練した人間には、そいつの周囲に『色が見える』んだ。」


さらに支部長が説明を続ける。


「犯罪者相手の対人戦なんてのも仕事にはあるからな。自分の手の内を晒して歩いてるやつは阿呆なんだよ。」



たしかに、誰が何処でどんなことを企んでるか分からない。


いろいろなことがあって少し浮かれてたけど、命を落とす可能性のある仕事だという自覚が足りなかった。


そう考えると、自然と自分の表情が引き締まる。




ここは、俺にとって圧倒的にアウェーなんだ。



そんな俺の様子を見てか、支部長は


「お、良い顔になったな。察したか。頭の回るやつは話が早くて助かる。」


と父親のような優しい表情を浮かべ、俺の頭をガシガシと乱暴に撫でた。


「さて、そんじゃその、色を引っ込める技。隠色おんしきもサクッと教えるとしよう。」




そして俺は、とても丁寧で分かりやすい支部長の説明によってすぐに隠色を習得できた。


たくさんの人に助けられ、優しくしてもらい、この世界で生きていくすべを学んでいく。



今朝リバーハウスで、ファルさんに言った自分の言葉を改めて自分の心に刻み込む。


いつかちゃんと、みんなに恩返しをするんだ。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「お待たせ、マリ。無事に登録できたよ。」


なんやかんやあったが、マリの待つロビーへ戻ってきた。


支部長との色術習得に時間がかかってしまったが、無事に登録できたことをマリに伝える。



「ツウなら大丈夫だと思ってたけど、これで一安心かな。じゃ、とりあえず私とパーティ登録しとこうか。受付行くよ。」



パーティ…そういう制度もあるんだ。

右も左もわからない俺にとってはとても助かる。



マリは空いている受付の前で、手を振りながらぴょんぴょんと跳ね「ア〜ズサ〜、お〜い」と奥にいるアズサさんを呼ぶ。



それを見て小走りで受付まで来たアズサさんは


「マリさん!どうしました?…あ、ツウさん。先程はどうも!」


最初と変わらず、音符マークの飛び交う快活な挨拶にどうも、と笑顔と会釈で返す。



「ツウとパーティ申請したいの。」


……ザワ…ザワ………



マリがアズサにそう伝えると、急に周囲がざわつき出した。



「…なんだ?」


俺は誰に問うでもなく、周りの空気が変わったことにポツリとつぶやく。



「あーー、気にしなくて良いよ。」


と、マリが俺に諭す。気にするなって言ってもなぁ。


そんな会話を切るようにアズサさんは手続きに入る。


「では登録のため、お二人ともリバープレートをお願いします。」



さっき貰ったリバープレートを出すと、それを見たマリは驚いたように、


「へぇ、ゴールドじゃん。最初からなんて、実は凄い強いんじゃない?」



と俺に対して感嘆の声を上げる。


「あ、私のも出さないとね。」



そう言ってマリは自分のプレートを受付の机の上に出す。





その色はシルバー…に近いが、ゴールドとも少し近い。


何より明らかに、俺のプレートよりも輝いていた。



「ツウも、私みたいな二つ名持ちになれるように頑張ろうね。」




机上のプレートには、『白炎姫びゃくえんき マリ』


と書かれていた。

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