三人目
ーーーーーーーーーーーー王都
「さて、と。」
ひとしきり互いの自己紹介が終わったところで、マリはツウ救出のために頭を切り替える。
それを合図と取ったのか、クーとシンも表情を引き締め、仕事モードに入ったようだ。
「じゃ、そろそろバカの救出に行きますか!ごめんね、手伝ってもらって。」
シンも合流したので改めて、二人の手を煩わせることに対して謝罪をする。
「気にすんな!話によると討伐報酬も出るんだろ?終わったらツウも入れて、四人でメシでも食おうぜ!」
そう笑顔で返してくれるシン。
あぁ、良かった。この人たちが仲間で。
もう、一人じゃないんだ。
ツウを巻き込んでしまったことへの罪悪感はまだ拭えない。でもこの人たちとなら、ツウも、“私”も。
「一旦、王城の屋根に登るわよ。そこからツウの捜索をして、向かいましょ。」
マリはそう言って、全身へ纏色。身体能力を向上させて跳躍。一息で跳びあがった。
「ひゅー、やるぅ。」
シンは感嘆し、クーと共にマリと同じように跳躍。三人の冒険者が王城の屋根に並び立つ。
王都の夜は既に静まり返り、冷たい風が三人の頬を撫でる。
二人が登って来たのを確認したマリは、ふぅ、と息を吐いて集中。
目を瞑り、ツウの固有名色を探し、辿る。
どうやら王都内…の南東端…。
現在地から少し離れてはいるが、私なら三分もあれば着く距離だ。
「見つけた。王都の南東、一番端の地下ね。」
そう二人に告げると、クーとシンは驚いた顔をする。
「おいおい、ここはデカい王都の北西だぜ?南東の端って言ったら五キロ以上あるぞ。そんな距離でよく辿れるな。色値バケモンかよ。」
そう言ったシンの頭に、クーが一発お見舞いする。
「バケモンてあんた…デリカシーないわねぇ…。」
ごめんね、と私に苦笑するクー。
そしてこう続けた。
「だって、マリ。あなたも…そうでしょ。」
クーはニヤリと表情を変えて私を見据える。
やはりバレていた。まぁ、リルム王とあんな話してる時点でバレバレだとは思っていたけど。
ツウを攫った盗賊団“カラス”にも、油断してツウを危険に晒した自分にも。
マリは心底、腹が立っていた。
この怒りをぶつけられる盗賊団には、因果応報とはいえ少し同情する。
「あなたたち、手練って聞いてるし…遠慮は要らないわよね。」
隠色を、色術…色を、マリは言葉通り遠慮なく解放、纏色する。
その瞬間、とんでもないプレッシャーがクーとシンを襲った。
「おいおい…マジかよ…。」
シンは畏怖すら感じた。
目の前に立つ、見たことのない程のとんでもない殺気とオーラを放つ少女に対して。
何故なら、
〜〜〜〜〜〜
“私の場合は纏色、一度自分の身体を通して色を変換して、色術として使ってる。集めた色を身体に薄く塗り広げてるの。”
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途轍もなく大きく、恐ろしく、美しく。
マリの纏った“色”はゆっくりと、そして激しく、“揺らめいて”いた。
「そうよ。私は、“紫”よ。」




