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犯人不明



「ふぅぅう…疲れたぁ…。こんなもんかなぁ…。」


俺はそう呟いて、散々攻撃を仕掛け続けた大木に歩み寄り、身体を預けた。


攻撃をしたといっても、大木は無傷だ。どっしりと草原に居を構えるその幹は、何もなかったかの様に俺の体重を優しく受け入れてくれている。



練習をする際には、しっかりと色術の白で周りを覆ってダメージがない様に配慮しておいた。


こんなに綺麗な草原の景観を破壊するなんて。

そんなのは勿論、俺の好みじゃない。



「技もとりあえず完成…かな?実戦で試すのが楽しみだ。」



この前のガルムとの戦闘の際に、マリが使っていた技。そう言うの、使ってみたいよね。技名とかカッコよく叫んでみたりなんかして。


まだまだ付け焼き刃の色術だとは思うが、それも少しずつ形になってきている。



「あとは、実戦経験か…。こればっかりはなぁ。」



魔物知識も殆どない状態でのこれ以上の単独行動は危険だ。

実戦経験の部分は、流石にマリを頼る他ないだろう。



「とりあえず、街に戻りますかねぇ。そろそろマリも帰ってくるだろうし。」



どこへ何をしに行ったのかも分からないが、マリは数日で戻ると言っていた。

個人的な尺度だが、数日といったらまぁせいぜいが2,3日だろう。



俺は街に向けて出発した。

今日は支部長殿の突飛な話を聞いて頭を使い、ここで体も動かして腹も減った。



誰もいない街道をひたすら歩く。疲れてはいるが、今日のファルさんの作る夕飯に思いを馳せていると、自然と足取りは軽くなる。



どうせ今は無一文。マリのツケだ。

たらふく食って怒られた時は、その時考えればいい。とりあえず燃やされる前に逃げよう。


話によるところ、今や俺はこの国の要人だ。

勝手に燃やそうものなら支部長や王様だって飛んでくるだろう。




そんなしょうもないことを考えていた俺は、少しの警戒もせずにリルムへと続く舗装された街道をゆく。


マリいわく、この街道は国の管轄で、色術によって警備されているらしい。


魔物が入り込むのを防いでいたり、他の街へ向かう商人が野党に襲われないように監視したりと、街道に沿っていれば基本的に移動は安全だという。


原理などは知らない。昨日の今日で色術を扱い始めたばかりの俺が理解しようとしても、きっと無駄だろう。




街道内は安全、というざっくりとした知識が、大きな慢心を生んだ。そしてそれがすぐに間違いだったと思い知らされた。



急に目の前に広がる世界が反転する。

視界に火花のような光がパチパチと弾ける。

そして俺はそのまま街道に倒れ込んだ。




「馬鹿テメェ!街道内でやるなってかしらから散々言われてるだろう!」



「ガハハ!余りにも無防備でな!ついやっちまった!」



「ったく、後でちゃんと説明しとけよ。俺は御免だからな。」




そんな会話が聞こえる。

どうやら男が数人。頭を後ろからいかれたか。


身体が思うように動かない。どんどん頭にモヤがかかっていく。




「冒険者風の装いで偽装する商人が増えたってのは聞いたが、コイツは如何いかにもって感じだな!」



「今時一人で外を彷徨く冒険者もそういないし、まず間違いないだろ。」



「荷馬車もいないってことは、色具しきぐ持ちか!こりゃ期待できそうだな!」




掠れていく視界、男たちは目の前にいるのに、声がどんどん遠くなっていくように感じる。


まずい。これはまずい。




「おい、まだ意識あるじゃねえか。」



「もう一発行ったれ!」

「行ったれ行ったれ!」



「もう一発はあかんやろ!間違えて殺しでもしたら、稼ぎが減っちまう!かしらにどやされても知らんぞ!」



「もうギリギリだろコイツ。このままでも勝手に気ぃ失うぞ。馬鹿言ってないでさっさと運べ!」




そんな品の無い会話を聞いたのが最後。俺の意識は、深い暗闇へと沈んでいった。


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