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全身全力全色の一撃



後ろで爆発音がひたすら鳴り響いている。

マリの方は二体相手だからか、かなり激しい戦闘のようだ。


見せてくれると言っていた白炎姫の戦闘だが、もちろん

のんびりと眺めている暇なんて無い。




こちらは一体のガルムと今だ相対したまま、お互いに動かない。

おそらく、こちらの力量を測っているのだろう。戦闘経験の無いこちらから動くのはまずいだろう。



「様子見で動いたところを仕留める。これしかない。」



頭に、恐怖にうち震える身体に、よく言い聞かせるように呟く。


敵はその返答のつもりか、獣らしい唸り声を上げて威嚇している。



剣を握る両手に力が入る。全身へ緑を纏色したまま集中する。呼吸を乱すな。


一瞬の隙も逃さないよう、一瞬の隙も見せないよう、半身で構えて腰を落とす。

咄嗟に動けるよう、つま先を内側へ向けかかとを浮かせた。



ザッ…



その時、俺の右足が地面を擦った。


その音が合図となったかのように、俺と相対していたガルムが跳躍して飛び掛かってくる。


よだれを垂らし、大口を開け、鋭牙えいがが俺の首を狙っている。

襲いくる鋭爪えいそうが、掴んだら逃さないと強い意志を孕んでいる。



しかし、それらは全て叶わない。

俺はギリギリまで引き付け、最低限の動きで素早く身を翻して躱わす。


「よし…よし!大丈夫だ…見える!」


確かに敵の動きははやい。だが、今の俺ならしっかりと目で追える。反応できる。



攻撃を躱わされた敵は、空中で向きを変えてうまく着地。そしてまた同じように跳躍。やはり疾い。


しかしそれをまた、俺は同じ動きで躱わす。


不安や疑いが確信に変わった。俺の中の恐怖心と焦りが薄れていく。だが昨日のように油断はしない。


これは命のやり取りだ。集中し、纏色を切らさないまま常に敵へ視線を送りつつ、思考を巡らせる。


また同じ跳躍。三度目の攻撃。

動きに合わせて左へ躱わし、今度はすれ違いざまに右の剣を素早く敵に向けて振り下ろした。


「…っらぁ!」


俺の剣が敵の皮と肉を裂く。敵の血が辺りに飛び散る。




浅い反撃だった。それなりに力は入れていたものの、見た目よりも頑丈なのだろう。


こちらの一撃は浅く、敵の一撃は喰らえば致命傷になりかねない。これが、モンスターとの戦闘。



「硬いわ、速いわ…めんどくせぇ奴だな畜生。」


俺は額の汗を拭いながら呟く。

剣の振り方も知らない初陣から、こんな相手なのだ。文句の一つも許されよう。



だが色術を使った戦闘にも、かなり慣れて来た。攻撃へ意識を飛ばしても、今なら纏色による身体強化を解かずにいられる。


敵は格下だと踏んだ相手に斬り付けられ、怯んだのか、距離を取ったまま動かずにこちらの様子を伺う。



「今度は俺の番だな、犬。お前の機動力、利用させてもらうぜ。獣と人の違いを見せてやる。」



俺には一つ策があった。



この距離なら届くだろう。俺は両手二本の剣に緑を乗せ、腕をクロスして溜めを作る。


その気配を悟ったのか、ガルムは身構えてこちらの攻撃に備えた。


そして、それを見た俺は笑みを浮かべ


「悪いな。それは悪手だ。」


今の間合いは俺に分がある。




色術のイメージが固まったと同時に、交差した両手を素早く解くように、左右の剣を横に薙ぐ。

空を斬った俺の二本の剣から、緑の特大剣気が放たれた。



…これは推測だが、おそらく色術は込めた色の量によって大きさや強さが変わるのだろう。

身体に纏う色を増やせば強化は増すがその分、身体への負担は大きくなる。


しかし、剣は違う。

どれだけ纏色しても、重さも何も変わらない。

必要なのは色術を扱う集中力と、正確な狙いと、剣を振る技術。


その内、あとの二つは今の俺には欠いているものだ。ならば、色値に物を言わせればいい。




俺が色術を大きく込めて放った渾身の剣気。

二本分のそれはひとつに収束し、横方向に異様な長さの斬撃と化した。


やはり、物量…!圧倒的な物量で…!



「読み通りだ!この大きさなら…!」


放つのとほぼ同時に、その陰に隠れて走った。

敵には、大き過ぎる剣気で俺自身の突撃は見えていない。


横への逃げ場がないガルムは、高すぎず、躱わせる程度に上へ跳んで剣気を避けた。


そう。いくら機動力が高くとも、この異常な大きさの攻撃を避けるとすれば、上だ。

そして剣気のすぐ後ろを追っていた俺は、真上に跳んだガルムの真下へ入り込んだ。


「これで終わりだ!」



俺は全身の纏色を更に濃くし、大幅に上がった身体能力を使って物凄い速度で跳んだ。


そして右の剣を強く握りしめ、自分に出せる全ての力と色術を右手に込めて



「くたばれええええええええ!!!」



ガルムの腹目掛けて、思い切り、




剣を握った右の拳でぶん殴った。



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