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二つ名



俺はリバー登録、マリとのパーティ登録を済ませ、はじめての依頼を受けた。


その準備のため、マリ御用達の鍛冶屋へ向かっているところだ。


話によると、その辺の武具店とかではなくオーダーメイドで武器を作れるらしい。大っぴらに商売をしてると言うよりかは、常連の紹介で仕事をする感じだそうだ。


「私とパーティを組むんだから、その辺の店で買った武器なんて持ってちゃ、コッチが恥ずかしくなるわよ!」


と、なぜかドヤ顔のマリ。


「二つ名の件もそうだけど、マリってそんなに有名…というか、凄いリバーだったの?」


マリは二つ名を持ってるし、リバープレートも聞いていた色とだいぶ違う豪華な感じがした。もしやと思い、俺は質問を投げかけてみた。



「だった、って何よ。勝手に過去形にしないでくれる?」


ムスッと不機嫌な表情を隠さずに表に出しながら答える。


「そういえば、リバーとしての自己紹介が済んでなかったわね…『白炎姫』マリよ。クラスはプラチナ。ゴールドの中でも特に能力や功績の高い者だけがなれるクラスよ。」


プラチナクラスなんてのは説明されなかった。

…さてはアズサさんめ、俺のステ板を見て説明を省きやがったな。覚えとけチクショウ。


「二つ名は、今ウチのホームでは私を入れて3人。後の2人は…まぁ、そのうちね。」



なんだか含みのある言い回しだった。

そういう人って性格に難があったり、変人だったりするのが定番だけど…その辺はお約束通りなのだろうか。


そんな俺の表情を汲み取ったマリが、言葉を紡ぐ。


「まぁ別に何があるってわけでもないんだけどね。ただそんなに仲良く無いというか、話す機会も少ないから。」


と苦笑いしながら、俺の無言の質問に答えてくれた。


普通に考えたら商売敵みたいなもんだし、戦力は分散させた方が依頼も振りやすいからな。そういう事なんだろうと今は勝手に解釈しよう。


そんなことを話しながら歩いていると、段々と人の往来が少なくなってきた。


「ところでその店、だいぶ奥まったところにあるんだな。このまま連れていかれた先で怖いお兄さんに囲まれたりしないだろうな。」


冗談っぽく俺がそう言うと、マリは真顔で


「あら、それもいいわね。今朝燃やし損ねた分それでチャラってことでもいいわよ。」


盛大に墓穴を掘ってしまった。


「あ、あれは事故だって…悪かったと思ってるよ…」


バツが悪くなり、そう弁明して俺は歩いている正面に向き直り、通りを観察した。



人通りはまばら…というか、殆ど居ない。そんな日の当たらない、狭く暗い路地を進んでいく二人。


治安とかはどうなんだろうか。スラムのような悪い空気は感じないが、これだけ人通りがない今なら、容姿淡麗なマリに何か悪いことをしても咎める人はいなさそうだ。


…マリ本人以外は。万が一にも勝てそうにないので、やめておこう。

そんなふざけた妄想はすぐに頭から抜き出す。




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