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第2話 ダメな人たち

 

 声にならない叫びを上げた後、生徒会長と副会長は頭を抱えてうずくまっている。



 ────ちなみに、この二人は愛米学園始まって以来の天才と言われている。


 入学後から現在に至るテストは二人ともずーっと満点。


 だから、この二人のいる学年は定期テストに「二番」が存在しないらしい。


 ────いつも同点一位だから二人の次の順位は三位。


 ───三位の人かわいそうだね。




 しかもは頭脳もさることながら、スポーツ万能、容姿端麗と来たもんだ。


 あくまで僕の印象だが、物腰も柔らかく、人当たりが良いため、彼らの行くところにはいつも取り巻きっていうか、人の輪が出来ている印象だ。


 目立つから、ちょくちょく異性に手紙を渡されたりしてるのを目撃している。


 でも特定の彼氏/彼女を作ってるようには見えないな。


 あの二人と僕は学年も違うし、部活なんかもやってないから別世界の人間としか見えてなかったけど、そんな僕でも注目する人達だね。




 ある意味芸能人みたいな感じだよ。


 簡単にいえば、地味な僕と対極にいる人達だね。




 彼らには伝説というか、逸話も多い。


 ───例えば『玄関移動事件』と言うのがある。


 ある時、彼らの靴箱の靴が盗まれる事件が頻繁に起こったため、彼らの為に靴箱が鍵付きに変わった。


 そうしたら靴の盗難は無くなったが、今まで靴箱に入れていたラブレターなんかが渡せなくなったから早朝から玄関に『入待ち』『出待ち』が大量に発生して大問題。


 仕方なく、対策として二人の靴箱は教員玄関に移動されたというオチまである。


 だから今も彼らは生徒用の玄関を使わず、教員用の玄関から出入りしている。




 ちなみに、実は対極にいる僕も教員玄関に靴箱があるので、そこから出入りしている。


 僕は誰にも気づかれないから羨ましがられることはないが、教員玄関から出入りするのは一般生徒の憧れになっているらしい。


 ちなみによく玄関で二人を見かけるが、多分向こうはきづいていないだろう。




 ───ちなみに興味ないかもしれないが、僕の理由も説明しておこう。


 僕の場合は、余りにも存在感がなかったため、入学時に靴箱が用意されていなかった。


 まぁ、こう言うことは僕の場合良くあることだからもう慣れてしまっている。


 しかし靴箱がないと、名前が書いてあったとしても持ち主不明で靴をゴミとして捨てられてしまう可能性が出てくるため、応急処置で靴箱が準備されるまでの間、教員用の玄関の靴箱を使うことになった。ちなみに、二年になった今でもそのまま放置だから教員玄関を使っている。




「やっぱり、そんな変な事を生徒会長と副会長がやってるのは秘密でしたか?」




 ずっと頭を抱えている二人に()()が明かないので僕から話しかけてみた。


 もしかしたら話しかけても気づかれないかなー、とか考えたけど、こちらを向いて一応反応はしてくれた。




 ちなみに、僕は二人がこんなことやっているのは秘密だと知っていてさっきみたいなことをサラッと聞いている。




 人の告白を邪魔する存在は、学園内で少し前から噂にはなっているんだ。


 ある時は一人で、ある時は複数で。


 でも告白を邪魔された関係者は皆詳細な事は一切話さないから謎のままになっている。


 さっきの男子生徒ヨシオも邪魔者が生徒会長と副会長だと気付いた様だったが、きっと二人の存在の事は口外することはないだろう。


 ただ告白が実らなかった事実と噂だけが広がるのだ。


 ───何か生徒会長が男子生徒に小声で囁いた事になにか関係があるのかなぁ?


 ────まぁどうでも良いけど。





 まぁ、そんなこんなで二人は頭を抱えて悩んでいるわけだが、多分頭脳明晰な二人がこんなに悩むことは今までなかっただろう。


 多分今までの人生は苦労なんか無くって、みんなにちやほやされて順風満帆だったんじゃなかったのかな。




 だからこんなバカな事をやっているんだろう。


 きっと勉強できるバカなんだと思う。


 頭が良いパーフェクト人間なんかじゃない、勉強が出来るだけの『世間知らずさん』なんだ。


 僕は二人の事をそう結論付けた。




 僕は現在は皆に存在忘れられるのを受け入れる事が出来ているけど、昔はある意味僕も世間知らずだったから、『かまってちゃん』になった時期があった。


 二人はその頃の僕に重なって見えた。


 全然違うとかいう反論はあると思う。


 でもまぁ、あくまで僕の個人的な感想だ。


 薬効成分はうたってないし、ビフォーアフターの写真も存在しないからね、誰も僕を責めることは出来ないだろう。




 ────でも、この二人の場合は恵まれているからなぁ。


 (こじらす)と大変そうだなぁ。




 でも、僕が彼らをなんとかしようとしても、僕なんか世の中の人にとってモブでしかないから、そもそも認識してくれないだろう。


 それに少し会話したとしても直後には僕との事なんかどうでもよくなるだろうから、無駄だろう。




 よって、今回の事については、さっさと僕は早弁して教室に戻ろうと心に決めた。




 





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