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〇〇少女ワールド 4 時代劇  作者: 渋谷かな
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帰ってきた野盗少女

「お友達になろう! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 真理亜、お友達10億人キャンペーン実施中!


「お友達になろうよ! アハッ!」

 今日も真理亜はお友達の勧誘を行っていた。

「キャアアアアアアー! 変態! ストーカーよ!」

 荒れ果てた貧しい侍時代。自分が生きていくだけでも大変な時代に、真理亜のようにお友達を探す人間なんかいなかった。

「こらー!? 誰が110番だ!? ・・・・・・って、この時代は電話すらなかった・・・・・・悲しいでござる。アハッ!」

 別に死んで転生してきたわけではないが、なぜか現ファンの記憶を持つ真理亜。

「それが〇〇少女ワールド! アハッ!」

 困った時は笑って誤魔化す真理亜。

「最近、野盗さんがいなくなっちゃったから、戦利品がないね。」

「この世界が平和になったのは私のおかげでござる。アハッ!」

「今夜のご飯は無しね。」

「そ、それだけは勘弁してください!? 神様! 仏様! 楓様!」

 主に死人から価値ある品を盗んで生きているので、この世の中が平和になるとご飯が食べれない大神姉妹。

「キャアアアアアアー!」

 その時、少女たちの悲鳴が聞こえる。

「何事!?」

「グワッハッハー!」

「この声は!?」

 どこかで聞き覚えのある声がする。 

「俺だ! 俺だよ! 野盗の親分だよ! グワッハッハー!」

 喋り方は同じだが親分はカワイイ女の子になっていた。

「あれれ? 親分はおっさんのはずだ!? 女の子になってる!?」

「オカマよ。オカマ。」

「あ、そっか。納得。アハッ!」

 妙に納得する真理亜。

「違うわい!? 敵がオッサンでは盛り上がらないだろう! だから俺の設定は少女になったのだ! 分かったか! このおバカども!」

「やっぱりオカマだって。」

「言い訳するなんてオカマの風上にもおけないわ。」

「人の話を聞いていたのか!?」

 真理亜の耳に念仏である。

「ピキーン!」

 その時、真理亜は勝利のサイキック・インプレッションを感じた。

「見えた! 勝利の方程式!」

 真理亜は超能力少女として、見えないものを感じ取った。

「楓。」

「なに? お姉ちゃん。この野盗さんの身包みを剥がさないと私たちのご飯は買えないよ。」

「なんですと!? それだけはご勘弁くださいでござる!? ・・・・・・違う!?」

 侍時代に豊かな生活などないのだ。

「楓。お姉ちゃんを信じて人質になりなさい。」

「やだ。」

「どうして?」

「だってお姉ちゃんが信用できないんだもん。アハッ!」

 おバカな姉を信用できない賢い妹。

「ギャアアアアアアー!? お姉ちゃんなんか、大っ嫌いだ!?」

「ありがとう。人質交換に応じてくれて。これからは私の妹を優先的に人質にしてくれでござる。」

「おまえ、野盗以下だな・・・・・・。」

「誉め言葉と受け取っておくよ。アハッ!」

「可哀そうに。悪いお姉ちゃんだね。悲しい。同情するよ。」

「野盗さん、優しい。」

 人質は楓に変わった。

「さあ! 妹は預かった! 返してほしければ、無駄な抵抗はやめて、速やかに刀を捨てなさい!」

「クッ!? 卑怯な!? 妹を人質にするなんて!?」

「え? おまえが妹を人質にしろって言ったんじゃないか!?」

「そうだ! そうだ! 真理亜お姉ちゃんの鬼! 悪魔! 鬼畜!」

「お黙り!」

 すごいバッシングを受けて逆ギレする真理亜。

「分かったわ。刀を捨てるわ。」

 真理亜は刀を捨てた。

「はい。約束なので妹さんを返します。」

「え?」

「やったー! 助かっちゃった!」

 野盗さんは約束通り楓を真理亜に返した。

「ストップー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 しかし、真理亜は天地をひっくり返すような大声を放つ。

「違うでしょ!? 野盗さん! そこは刀を捨てた私に斬りかかってもらわないと、刀を捨てた私の立場が無いでしょ!?」

「すいません・・・・・・。」

「お、お姉ちゃん!? 何を言ってるの!? 私たち無事に助かったんだよ!?」

「楓! あなたもあなたで、喜んでいないで、野盗は怖い存在なんだから、もっと怖がりなさい!」

「ええー!?」

 厳しい真理亜監督の演出指導が入った。

「テイク2! スタート!」

 再開される撮影。

「刀を捨てた侍など怖くもないわ! 先におまえを殺して、後から妹も殺してやる! グワッハッハー!」

「騙したな!? 卑怯者!?」

「なんとでも言え! 卑怯は野盗には誉め言葉だ! グワッハッハー!」

「危ない!? お姉ちゃん!?」

 刀を捨てた真理亜は絶体絶命の危機に陥る。

「死ねえ! ござる侍少女!」

 野盗が真理亜に斬りかかる。

「かかったね。」

 真理亜は平然と笑みを浮かべている。

「私は刀より体術の方が得意でござる! 野盗、おまえにも悲しみを味合わせてやる! 必殺! タイキック!」

「ギャアアアアアアー!? さようなら! また来るからな!」

 タイキックで空高く蹴り飛ばされた野盗は星になって消えた。

「正義は勝つ。」

 汗をヒーローらしく拭う真理亜。

「真理亜お姉ちゃん!」

「楓!」

 姉妹の運命的な再会である。

「グヘッ!?」

 姉の顔に蹴りを食らわせ黙らせる妹。

「言ったよな! あいつの身包みを剥がして裸にして売らないと、おかずが買えないって! 今日はお姉ちゃんのご飯は無しだからね!」

「そ、そんな!? お許しください! 神様! 仏様! 楓様!」

 こうして何事も無かったように日々は過ぎていくのだった。

 つづく。

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