1.ステータス
俺は人生の最初から最後まで不運な男だった。子どもの頃から外を歩けばカラスのフンに当たる事はしょっちゅう。じゃんけんの勝率も一割以下だった俺は高校への通学中に、横断歩道に突っ込んできた車に轢かれて死んでしまった。
そして今ここは見渡す限りの白い雲の上。障害物は何もない。上には青空が広がるばかりだ。……まあ普通に考えれば天国、だよなここは。
「天国ではありません。ここは天界。神が住む空間です」
「え、誰ですか……神様?」
突如現れたのは一人の女性。だが、何やら神々しいオーラを放っている。
「その通りです」
は~。で、神様が俺に何の用なんだろう。
「では単刀直入に言います。今からあなたには異世界転生をしてもらいます」
「え? 異世界転生?」
「そうです」
死んで間もないのにいきなりそんなこと言われてもな。
「転生先は魔法のある世界です。お気を付けて」
「え? ちょ! まだ心の準備……」
「ああ、また捨て子かい」
「はい。門の前に置いてあったんです」
……ん、誰かの声が聞こえる。それに抱きかかえられている感覚。そうか。無事に転生できたのか。あの神様、いきなり送りやがって。
「まあ人数的にはぎりぎりってところかね。流石に次は育てられないよ。いいかい?」
「分かっています」
何の話だろうか。そもそもここはどこだろう。分からないことだらけだ。
「じゃあその子は一番年上のレイラに育ててもらうことにしよう。ったく、子どもを捨てる奴はうちの孤児院を何だと思ってるんだろうね」
ああ、ここは孤児院なのか。そして俺は孤児ということなのか。
って……ん? なんだ? 視界の右上端にステータスの文字が浮かんでるぞ。
「この子は二歳くらいですかね?」
「そんなところだろうね」
そう思っていると、ステータス画面らしきものが視界の右側に開いた。
ソウタ
Lv.3
力 5
防御 5
魔法 5
魔法防御 5
運 5
+20
何だこれ。力? 防御? 一体どういうことだ? まさか、本当にゲームでよく見るあのステータスなのか?
「レイラは今廊下を掃除中だったかなあ」
もしそうなら、+20ってことは20ポイント振れるってことだよな。
「あ、いたいた。レイラー! ちょっと来てくれる?」
「? はーい」
試しにどれかに振ってみよう。とりあえず力と防御と魔法と魔法防御はもう少し要るんじゃないか? 一桁でいるのは危ない気がする。5ずつ上げてみよう。さて、どうなるか。
ソウタ
Lv.3
力 10
防御 10
魔法 10
魔法防御 10
運 5
+0
おお! 本当に増えたぞ! そして+20が+0になった。やっぱり思った通りだ。
「レイラ。今日からこの子がうちの孤児院に加わるから、あなたにこの子を育てる係になって欲しいんだ」
「あ、はい。分かりました」
おっと、そんなことを思っていたら俺の係をレイラという人が引き受けてくれたようだ。ありがたい。
「でも私達も手伝うから安心して! 困ったことがあったらすぐに言ってね!」
「ありがとうございます」
「じゃあベッドとか必要なもの準備するからここで待っててね!」
そう言って俺はレイラさんに渡され、俺を抱きかかえていた人はどこかへ行ってしまった。
「行っちゃった。それにしても、君も捨てられちゃった子なのかな」
ああ、まあ孤児院の前に放ってあったってことはそういうことだろうな。それに関しては不運だが、拾ってくれたのは幸運だった。俺の人生の中じゃ珍しい。
ん? そうだ。俺は前世では不運だったじゃないか。それでたくさん苦労もしてきた。
でも今は運が数値化されてるじゃないか。なら今度は、今度こそは! 幸運に生きるのもいいんじゃないだろうか。
よし、決めた! 俺は運を上げまくって幸せに生きてやるぞ!




