どうやら、死んだらしい
気が付くと私は白い何もない空間に立っていた。
周りを見渡しても誰もいないただ白いだけの空間に首を傾げていると、後ろから急に声がした。
「パンパカパーン!!貴方は死にました!死ぬ前に面白い話をしていたので、その通りにしてあげまーす!感謝してひれ伏しなさい!」
白い球体に白い羽の生えた見辛い存在に凄く煩く、そして偉そうに言われたけど意味がわからないから黙っていると私の記憶が飛んでいることに気が付いたらしくブツブツと何かを呟きながら1枚の羽を私の頭に飛ばしてきた。
羽が触れたとたんに思い出した。
道路に出てトラックに跳ねられたんだ。
そこからどんどん思い出した。道路にいた黒猫がトラック跳ねられそうになっているのを見ていたら誰かに後ろから押されて私もトラックの前に飛び出してしまったんだ。
端から見ると猫を助けるために飛び出したかのように見えただろう。実際は誰かに押されたんだけど。
思い出した衝撃で固まっていると、球体は
「ほら、もっと思い出して。引かれる前は何をしていた?」
そう言われまた次次み思い出してゆく。
そうだ、なつき氏!!
高校の卒業いらい会ってなかったなつき氏と会ってしかも徹夜でカラオケに行ったんだ。
9年ぶりの再開で自分達ももう三十路だとか友人達が結婚して子供ができて独り身が辛いとかもう年だとかバカなこと言って徹夜したあとだった!!
「そうそう、聞いていても楽しかったよ。特に転生の話は笑えたよ!」
聞いていたってのが気になるが、今は放置する。
そうそう、転生だ。暇人だからって私もなつき氏なろうの小説読んでたんだよね。
それで、もしも転生するならって話で盛り上がったんだ。
三十路女が二人で深夜のカラオケルームでもしも転生したらとか設定を真剣に話していたんだよね。
深夜のテンションって恐ろしい。
まてよ、話を聞いていた?あのはなしを?私は転生するらしい。しかも、なつき氏バカ笑いしていた猫を助けてトラックに引かれるなんて方法で?マジで?
球体を見つめると表情なんてわからないハズなのにニヤリと笑ってるような気がした。
「だいせいかーい!!そう!まさに、君が話した通りの死に方で話した通りの剣と魔法の世界に転生だよ!
まったく、あれだけトラックの前に飛び出した猫を庇って跳ねられて異世界に行きたいって言っていたのに黙って引かれるのを見てるから思わず手を貸してしまったじゃないか!」
「何してくれとんねん!あれは、あくまでも妄想なんだよ!!妄想!!えっ!?まって、っえ!?手をかした?背中を押したのはお前か!!お前なのか!!お陰様で、死にましたよ!どうもありがとうございます!!こんちくしょう!!」
機嫌良さそうにどういたしましてという球体を衝動的に掴んで全力で投げた。
「あ~れ~」とか言いながら余裕そうに飛んでいくのがまた、腹が立つ。
そんなことは、どうでもいい。
確かに冗談だったし妄想だった。が、その話のなかで私となつき氏はこうも言っていたんだ。
「もし、どっちかが召喚されたり転生するときはお互いを呼ぶこと。異世界に行くときは一緒だよ」と約束したのだ。
そして今、私が異世界に転生しようとしているならばここは約束通りなつき氏を呼ぶべきだ。
「おい。いい加減に戻ってこい。話がある」
さっきから視界の端でチラチラしていた球体を呼び戻す。
「ハイハ~イ。なんの話かは予想がつくよ。君のお友だちだよね。念のため聞くけど最後のお別れがしたいなんて話じゃないよね。」
「わかっているなら聞くな。もう一回投げ飛ばすぞ」
「念のためだよ。念のため。呼ぶのは構わないんだけど、彼女は事故死させるのは難しいんだよね。だから、君が呼び掛けてこちらに来てくれれば一緒に転生させることはできるよ。」
「よし。なつき氏は絶対に来る。で、どうやって呼ぶの?意識がないときが一番いいから寝てるときだね」
友人と妄想して出来た作品です。どこかに似たようなのがありましたら、ごめんなさい。
徹夜で深夜のテンションでできたのその場の勢いで書きました。
おかしな部分があれば、ごめんなさい。