始まり-3
「あのー、すみませーん」
「……」
改めて状況を確認し、言葉やお金のことだけでは情報不足だと感じた隼人は、さらなる情報を手に入れるべく、町の人に片っ端から声をかけていた。
「す、すいませーん、ちょっといいですか?」
「……」
「あのですねー、実は…「いそいでるんだ、悪いな」
かけていたのだが…
「あぁー!なんでだ!ちきしょー!」
先ほどまでの通りから場所を移し、今は少し薄暗い路地裏に腰を下ろしていた。
「どいつもこいつも俺のことを避けやがって!人見知りでコミュLv1の俺が、どんだけ勇気ふり絞って話しかけてると思ってんだ!」
それもそのはず、いきなりわけの分からない格好をしたやつが話しかけてきたら、面倒ごとに巻き込まれないよう避けるのは当たり前である。
「こんなことなら、さっきのおねーさんに色々と聞いとくんだったなー」
おねーさんとは、隼人がお金のことを確認するために立ち寄った、果物屋の人である。また、異世界に来て、初めて隼人と普通に会話してくれた人でもある。だがそれは、お客という立場だったからこそ。現に、隼人がお金を持っていないと分かった瞬間、すぐに追い出された。ゆえに隼人は、その考えをすぐに打ち消した。
「ちょっと、そこの坊や」
これからどうするかを考えるのに集中していた隼人は、自分を呼ぶその声に気づくのが、少し遅れた。
「……」
「あら?もしかして、お嬢ちゃんだったかい?」
「ひゃ、ひゃい!…って、何か用ですか?」
そこにいたのは、茶髪で赤い三角巾、緑色の服に白いエプロンをつけた、おそらく40代と思われる女性だった。一言で表すならば…そう、『お母さん』。