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混合世界は永遠に  作者: 黒空-kurosora-
異世界と現実世界
2/4

新たな世界の新たな生活

少し遅くなりました。第2話です。

まさかのデータが吹っ飛んでしまったのもあって書き直すことになってしまったりしましたが、何とか完成に漕ぎ着けました。

記憶喪失の異世界人、アルフレアと共に暮らすこととなった青葉 閃と青葉 唯。

家に帰ったものの、そこで新たな問題が浮上することとなった。

「……アルフレアさんの寝る場所どうしよう」

そう、もともと寝床が青葉兄妹の分しかなかったので、そこにアルフレアが住むとなると新たな寝床を用意する必要があったのだ。

「あの、私は別に床でも…」

「女の子なんだからダメだよ!

…怪我してた時はせん兄のベッドで寝かせてたけど新しく買わないとダメだね」

うんうん、と自分で勝手に頷く唯にやや呆れながらも閃は唯の意見に同意する。

「唯。だけどどうするんだ?

アルフレア用のベッドを買うっても、俺はバイトしてないし、しかも貯金は少なくて、ただでさえ自給自足もしてるほどなのにベッドを買う余裕は…」

「閃はこう言ってるけれど…唯さん、何か考えが?」

唯は閃とアルフレアがお互いを呼び捨てで呼んでいること、自分は未だにさん付けなことに疎外感を覚えるも、それはひとまず置いておいて、気持ちを切り替えた。

ふっふっふっと唯は笑い出す、何やら策がある様子。

唯は服のポケットからある紙を出す。

そこには、「ギルド依頼ボランティア募集中!」と書かれていた。

「ギルド!異世界でいろんな依頼を引き受けて報酬をもらってるところだよ!

最近この事態で人手が足りなくて、現実世界も異世界も問わずに人を募集してるんだって」

ここで簡単な依頼を受けて、お金を稼ぐ。

と唯は提案した。

確かに悪くない提案だった。

さすがに魔物を倒すと言ったことは難しいが、それ以外の依頼であればそれでお金を稼ぐのもアリだと思った。

「お金を貯めるって大変なんだね…。

でも2人は今までどうやってお金やりくりしていたの?それにご両親は…」

…と。そこまで言って、アルフレアは察してしまった。

「…俺たちは親がいないんだ。金は俺が今までバイトっていうのをしてて何とかなってたんだけど、まぁそれも大して多くなくてな」

アルフレアは、それを聞いて謝ろうとしたものの、唯は大丈夫だからといってそれを止める。

暗い空気が流れるものの、閃がその空気を変えようと話題を変え始めた。

「んで、ギルドって今日行ったあの街にもあるのか?」

「あ、えっとね…うん、あるよ。明日行ってみない?」

「そうだな。アルフレアもそれでいいよな?」

「うん、閃たちがいいならいいよ」

全員賛成ということで、明日街に出かけるということが決まった。



とりあえず今日だけは閃のベッドで寝ることになったアルフレア。

「そういえば唯さんは閃といつも隣のベッドで寝ているんですか?」

「うん、まぁそうだよ。兄妹だからね。

家もそんなに広くないからね」

ところで…と唯は話を切り出す。

「…その、私にも呼び捨てで呼んでいいんだよ?記憶喪失だから年齢がわからないって言っても私よりかは年上なんだし…」

本当は私が敬語じゃないとね、と言って唯はアルフレアに頼む。

アルフレアはきょとんとするものの、そのあとすぐに微笑み。

「わかった、よろしくね、唯。

私のことも、気にしないで話しやすい感じで話してもらって構わないからね」

こうして閃の知らないところで、アルフレアと唯の仲が深まったのだった。

その後も2人は様々なことで会話が弾み、しばらく話し込んでいた。



そうしていくうちに、夜が明けて朝日が昇る。

遅く寝ても、必ず早く起きるほどしっかりしてる唯は起きると決めた時間ぴったりに目覚めて、いまだ眠っている体を起こす。

「起きてー、アルフレアちゃん。朝だよー」

すると唯は眠っているアルフレアを起こすべく、アルフレアの体を揺さぶった。

しばらくするとアルフレアも目が覚めて、ベッドから体を起こし始めた。

「おはよ、アルフレアちゃん」

「うん、おはよ、唯」

2人は何気ない挨拶をして、着替えたあとドアを開ける。

そこでは朝ご飯の支度をしている閃の姿があった。

「2人とも、おはよう。

朝ご飯できるから座って待っててくれ」

閃がこんなにも早く起きて朝の支度をしているのは珍しいことだった。

いったい何があったのだろうか。

その答えは、案外すぐに解決した。

「…寝返ったら頭ぶつけて目が覚めちまったんだよ。仕方ないから朝ご飯作ってたんだよ」

その答えを聞いて、二人は呆れてしまった。

朝食を取ったあと、軽く支度をして彼らは街へと向かった。

街へと辿り着くと、早速閃はギルドの場所がどこなのか地図がある場所へと向かっていった。

一方アルフレアはあるものが目に入り…。

「アルフレアちゃん?どうしたの?」

「なんか綺麗だなぁって、これ…」

アルフレアが見惚れていたものはペンダントだった。

青い宝石が輝いていてとても綺麗で。

その割には値段もあまり高くなかった。

二人がペンダントを見つめていると、閃が近づいてきて。

「どうしたんだ?」

「あ、せん兄。アルフレアちゃんが…」

閃はアルフレアが何を見ているのかを覗き込む。

「…ペンダント?アルフレア、欲しいのか?」

「えっ、いや、その、確かに綺麗だなぁとは思ったけれど…今は私の寝床をなんとかする必要があるし、大丈夫だよ」

「…そっか」

アルフレアは立ち上がり閃が見つけたギルドの方向へ向かっていった。

そして閃はアルフレアが見つめていたペンダントの値段を見て…。

「…まぁ、これくらいなら」

「せん兄ー、置いてくよー」

そして閃は少し慌てて唯とアルフレアの方へと向かっていった。



ギルドの前へとたどり着いた。

木製の建物で、少し酒場めいた雰囲気を醸し出していた。

「……なんかゲームにありそうだな」

ゲームやラノベは割と好きな閃はそういった感想を抱きながら、ドアを開けた。

中は予想以上に人が少なく、人手不足であることを十分すぎるほどに表現していた。

閑散としていた中、彼らの目にはカウンターにいる一人の女性の姿が目に入った。

女性は頭を伏せて眠っているような格好をしている。

「…あの人に話しかけてみるか」

そっと近づいてみると本当に女性は寝ていた。

あまりの人の少なさに眠ってしまったのだろうか…?

「……あの」

すると、声に気付いた女性は目を静かに開けて。

「むにゃ…。おきゃくしゃまですかぁ…?」

「え、えっと…とりあえず目を覚ましてもらえると嬉しいんだけど」

徐々に焦点が定まっていき、顔を火が燃える如く赤くして飛び起きた。

「お客様!!?こ、これは見苦しいところをお見せしました。大変申し訳ありませんでした!!」

「い、いえいえ、どうぞお構いなく。

それより一旦落ち着いて!」

あわわ、と慌てて謝罪する女性に対して、アルフレアも慌ててなだめてしまう。

アルフレアが慌てる必要はないだろうと閃は思ったものの、心の中に留めておいた。


しばらく経って。

「こほん、えっと、それでは改めまして!

ギルド『エナジーフラワー』へようこそ!」

私はここのギルドを経営しているマリー・ライフナイトと申します!よろしくお願いします!」

先ほどの彼女からは想像もできないほどはっきりとした声で自己紹介するマリーに少々驚きながらも、閃たちも続いて自己紹介をする。

「それで、俺たちは魔物と戦うことはできないんだけどそれ以外で何かできることはないか?」

「退治以外の依頼で、ですね!

承知しました!確認してみますね!」

彼女は依頼の紙を目にも留まらぬ速さでめくり続け、彼らに適した依頼があるかどうかを確認する。

しばらくめくり続けると、彼女の目が留まった。紙をそっと取り、それを閃たちに提示した。

「あなたたちに適した依頼がありました。

こんなものはどうでしょうか?」

ペットを探して欲しい。そんな依頼だった。

報酬金額はあまり高くないものの、十分であった。

「ありがとう。これにしてみるよ、依頼主と待ち合わせればいいんだよな?」

「はい、その紙の裏に待ち合わせ場所が記載されているので、そこに向かってください。

依頼主の子には私から連絡させていただきますね!」

彼女はそう言って手紙を書き始めた。

彼女の手際はとてもよく、この頃には最初に抱いた印象は一切なくなっていた。

「せん兄、私たちも行こ?」

彼らはギルドをあとにし、待ち合わせ場所へと向かっていった。



「地図に書いてある通りだとこの辺のはずだけど来るのかな?」

地図に記載されている待ち合わせ場所…この町の噴水広場までたどり着いた。

アルフレアと唯は相変わらず会話で盛り上がっている模様で、閃は依頼主をただ待っているだけという光景であった。

「お、あの子かな」

閃はこちらを見てくる小さな少女を見つけた。

まだ現実世界でいえば小学生くらいの小さな少女だ。唯より年齢は少し下、といったところだろうか。

「私たちのペット、見つけてくれるの?」

小さな少女は見上げて、そう言った。

アルフレアは少女に駆け寄り、少女の目線と同じ高さになるようにしゃがんだ。

「あの、保護者の方はどうかしたのかな?」

「お母さんはね、今ちょっと風邪で…」

少女は俯き、悲しそうな表情をする。

アルフレアはそれを見て慌ててなだめる。

「だからね、きっとペット…私たちの飼ってる猫ちゃんを見つけてくれたら、お母さんも元気になると思うの!」

少女はしっかりとした声で想いを伝える。

それを聞いてしまっては。

面倒ごとは嫌いと言いつつも助けてしまう閃が動かないわけがなかった。

「…そっか。わかった!名前、聞いていいかな?」

「ユア!」

「…ユアちゃん、絶対に猫を見つけてお母さんを元気付けてあげよう!」

閃はユアを励ますように、依頼を快諾した。

やや呆れつつも唯もそれを受け入れた。



それから捜索は続き、夕方に差し掛かる頃。

「せん兄ー、ちょっと休憩入れるねー」

「おー、わかったー」

何となく気怠げな会話で休憩を入れる唯。

一緒にアルフレアも休憩を入れ、飲み物を買いに向かった。

「ね、唯。聞きたいことがあるのだけど」

「どしたの?」

アルフレアは疑問に思っていることが1つあった。

「閃って時折面倒ごとは嫌いって言うよね?

その割には人助けは進んでするし、面倒ごとにもしっかりとやってる感じがするのだけれど…」

閃は言っている言葉とは裏腹に、行動していた。それがアルフレアには疑問だったのだ。

「せん兄はそういうやつなんだ。

昔から。面倒ごとは嫌いだーなんて言いながら面倒ごとを自分から進んで引き受けちゃうの。

おかしいよね」

あははと笑いながらも優しい表情で語り続ける唯に対して、アルフレアはこの兄妹は本当に仲がいいのだろうなという感想を抱いた。

「でもね、なんだろう。だからかな。

そんなせん兄だから私はついていってるんだ」

こんな世界になっても、と付け加えてアルフレアの疑問に対する回答をした。

「…そっか。閃は本当に優しいんだね」

彼女たちが閃の元に戻ると、彼はユアの飼い猫を無事に見つけていた。

なんでも路地裏で昼寝をしていたんだとか。

「閃お兄ちゃん、唯お姉ちゃん、アルフレアお姉ちゃん、ありがとう!

これ…お母さんに渡されたほーしゅうなんだって!」

ユアはそう言ってポケットから異世界の金貨を渡してきた。

「異世界のお金は確か…金貨1枚100円って考え方に決まったんだよな。20枚だから…2000円か」

「ねぇ、閃。少し提案があるのだけれど」

アルフレアはそう言って閃に耳打ちでその内容を話した。

「…いいのか?」

「いいの、その方がきっといいって」

ユアは何を話しているのか聞こえなかったのか、首をかしげている。

「…ユアちゃん、お母さんは風邪なの?」

「そうだよ?」

「そうなんだ、じゃあちょっと待ってて」

アルフレアと閃は、唯を待たせてある店へと向かっていった。



彼らが向かったのは薬屋。

「すみません、風邪によく効く薬がほしいんですけど」

閃は店員に風邪に効く薬を買いたいと尋ねた。

「ありますよ、どなたか風邪を?」

「はい、ちょっと…」

店員はお大事にと風邪薬を渡した。

報酬の大半を使ってしまったが、後悔はあまりなかった。

ユアがお母さんのことをとても大事そうに思っていたから。

彼らは再び唯とユアの元へと戻っていった。

「あ、せん兄。何してたの?」

唯は二人が戻ってきたのを見ると彼らが何をしていたのか尋ねてきた。

「まぁちょっとな。ユアちゃん、これをお母さんに渡してあげて」

「これはなに?」

「お薬だよ、風邪がすぐに良くなるはずだよ」

「本当に?」

ユアは風邪がすぐよくなるというアルフレアの言葉に目を輝かせる。

「本当だよ、お大事にね」

ありがとう、とまたお礼をして。

ユアはその腕に飼い猫を持ちながら家へと帰っていった。



それから一週間がたった。

彼らは分担したり色々と工夫をしてこの短期間に数多くの依頼をこなしていった。

ついに目標であるベッドを購入できる金額に達し、彼らはベッドを買うことができた。

「やっと買えたー!すごい疲れたー」

「お疲れ、唯。これを持ち帰るのもまた大変そうだけど」

それを言わないで、と唯は言いながらある親子が目に入った。

「せん兄、あれ…」

その親子はユアとおそらくそのお母さんだった。二人とも笑顔で街を歩いていた。

「…お母さん、元気になったんだね」

「そうだな、良かった」

ユアたちが元気にしている光景を見て、彼らはベッドを運ぶのを少し頑張ることができた。



その夜、へとへとにくたびれた3人だったが何とかベッドを取り付けることができた。

唯はお風呂に真っ先に入り、出てきて速攻で眠ってしまった。

無理もない、閃やアルフレアと比べても年下の唯がここまで動いたのだから。

続いてアルフレアもお風呂に入ると、部屋越しに閃の声が聞こえてきた。

「アルフレア、風呂から出てきたら話があるんだ」

「話?…了解、待っててね」

アルフレアはそれに答えると話の内容を気にかけながらも身体を洗い始めた。

風呂から上がり、寝間着に着替えて部屋を出ると閃が待っていた。

「閃、話ってなに?」

アルフレアが上がったことに気づくと、閃は服のポケットからあるものを取り出す。

「受け取ってくれ。欲しがってただろ?」

彼が取り出したのは青い宝石が輝くペンダントだった。

「これ、私が先週に眺めてた…」

「そ。これのことだったんだよな?」

間違いなかった。アルフレアがずっと眺めていた、あのペンダントと全く同じものだった。

「どうして…?」

「…何だろうな、欲しがってたからさ、依頼を少し多めに受けてたんだ。

これからよろしくって意味合いも込めて」

閃はそう言って、アルフレアにペンダントを渡した。

「ありがとう、閃。このペンダント、大切にするね」

感謝の意を伝えると、閃はおやすみ、と言って風呂場へと向かっていった。

「唯が言ってたこと、少しわかった気がする。

ユアちゃんにも私にも閃は本当に優しい」

唯の言っていたことを思い出し、彼女もまた新しく買ったベッドに入った。

新しく、ここで生活するという実感をその身に感じて。

ということで第2話、新たな世界の新たな生活でした。

本作はキャラの謎を少し散りばめつつも、基本的には混合世界という不思議な世界を舞台に生活していく閃たちのお話を描く予定です。

ちなみに補足ですが、閃の年齢は17歳で、唯の年齢は12歳です。アルフレアは記憶喪失のため外見年齢17歳ということになっています。

次回はもう少し早めに完成できるよう、頑張りたいです。

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