プロローグ―事件発生―
それは、雲ひとつない、星の綺麗な夜に起こった。
町は、にぎやかに夜を包む。
初雪がこの前降ったにもかかわらず、このごろは暖かい日が続く。
冬の第三角形の下の高級レストランに二人の若いカップルが入っていく。
その二人は、まったく話さず、黙ってた。
しかも、頬を赤く染めながら入っていく。
何もかも、高級なこの店で、白ワインのみを頼んだ。
そして、
「結婚しよう。」
男は一言と共に、指輪を差し出した。
女は黙り続け、数分後。
コクリと頷き、男の指輪を受け取った。
「やったー!」
男は周りの目を気にせず、叫び続けた。
女はクスクスとうれしそうに笑っている。
男の名前は、三浦カノ。
5年前から大宮美鈴と付き合っていた。
二人は幸せそうに、店を出た。
「結婚式場いつ見に行く?」
「明後日ぐらいでいいんじゃないかな・・・」
「そうだね。」
そして、交差点に差し掛かったとき。
『そこの逃走車!とまりなさい!!』
ファンファンファン・・・・
赤い逃走車と、パトカーがものすごいスピードで、走り抜けていった。
「なんだぁ?」
そういって横断歩道を渡ろうとすると・・・・
「カノ!!危ない!!」
向こうのほうへ走り抜けていった赤い逃走車が
カノのほうへ向かってくる。
「なっ!!」
カノは、動くことができず、逃走車と衝突。
逃走車はその勢いで止まり、車を置いて逃げていった。
「か・・・の・・・?」
美鈴は、車の前に、膝を付いて倒れこんだ。
警察が駆けつけ、車の下に、人がいるかの確認を取った。
「人の姿がありません。血の跡もありませんね・・・」
「え?じゃあカノはどこに・・・?」
「とにかく、私たちがその、カノさんを捜索します。あなたは、家に戻った
ほうがいいでしょう。」
美鈴は、涙でぐしゃぐしゃの顔を隠しながら頷き、警察が送ってくれるという
ことで、パトカーに乗り込んだ。
美鈴はずっと泣きながら、婚約指輪を握り締めていた。