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内心が大荒れの私の前で兄と姉と談笑しているサーシャ様。
サーシャ様はアルヴィオス家の方ですが、アルヴィオス家は代々医師を輩出しており、その功績により爵位を賜っています。
ちなみにサーシャ様は兄の友人でもありますが、私達が入学する頃、高等学校の養護教諭になっているのです。
まさか、私が高等学校に入学する前に会うなんて思いもしませんでした。
そんな戸惑いが表情が出てしまったのか、
「シオンちゃん、顔色悪くないですか?」
「!」
と、サーシャ様に聞かれてしまい、思わず反応してしまいました。
「え!?」
「なんですって!」
と、姉と兄が同時にこちらを向きました。さすが双子です。
「だ、大丈夫ですよ。ちょっとぼーっとしていただけですから。」
「ほんとなの?無理してない?」
「はい、無理してないですよ。」
と、心配そうな姉と兄に向かってニッコリ笑いかけました。
ぼーっとしていたのは、間違ってはいないですしね。
姉と兄はあまり納得してないみたいでしたが、そのまま笑顔を続けると、諦めたみたいです。
そしてサーシャ様はというと、少し困った表情で
「無理はしないで下さいね?……エクスから話を良く聞いているので。」
と私に言いました。兄から何を聞いているのでしょうか……。かなり気になります。
サーシャ様には心配していただいていますが、『貴方が死亡フラグです』なんて言えませんので、
「はい。」
とだけ、返事をしました。
そして、お互いまだ買い物途中だと言うことで、別れる事になりました。
「それじゃあ、また。」
「ああ、また今度。」
「マリーさんは高等学校で。シオンちゃんもまた会えるといいですね。」
「ええ。また高校学校で。」
「はい。またご機会がありましたら……。」
サーシャ様に微笑まれ、私も返事をしました。
ちなみにサーシャ様は去り際、さりげなく私の頭をポンと撫で、買い物に戻って行きました。
(さ、さすがサーシャ様。攻略キャラなだけありますね。)
さすがに精神年齢は上なのでサーシャ様にときめきまではしませんが……。
数秒間を置いて、姉と兄が口を開きました。
「……サーシャ様、さりげなさ過ぎて何も言えなかったわ。」
「うーん。でもサーシャだから許してあけて?僕が散々自慢していたし、サーシャは兄上しかいないから弟か妹が欲しいって良く言ってたし。」
(だから一体、どんな話をサーシャ様にしたのですか、お兄様!?)
「ふーん。ま、シオンは可愛いからね。撫でたくなるのは分からなくもないけど。」
(なんでドヤ顔なんですか、お姉様。)
何だか短時間で精神的にどっと疲れました……。
サーシャ様と別れた後、また買い物を再開しました。
小物入れの他にもクッションやシーツ、カーテン等の大きめな寝具も選びました。
これで少しは可愛い部屋になるでしょうか。
父に会計をして貰い、今日のお買い物は終了です。
「お父様、今日はありがとうございました。」
「ああ。気に入ったものがあったみたいだし、良かったよ。」
「はい。良かったです。」
サーシャ(死亡フラグ)様との予期せぬ出会いはありましたが、最終的には楽しいお買い物ができたので良かったです。