表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は可愛いものがお好き  作者: 梓弓
第一章
8/46

6

楽しみにしていたお買い物当日になりました。


私がやって来たのは、我が家が贔屓にしているお店です。

老舗の家具店ですが、良質の品を買い求めやすい価格で販売しています。


私が自室を華やかにする小物を色々と物色していると、


「ねぇ、シオン。これなんて良いんじゃない?」


と、一つの小物入れを差し出してきたのは……姉です。


「それはマリーの好みじゃないか。シオンはそんな濃い色は好きじゃないよ。ね?」


と、姉に反論するのは兄です。


今日のお買い物には嬉しい事に姉と兄がついて来てくれました。(母と妹はお留守番です。)


父はそのやりとりを微笑ましく見ています。


「えーと、お姉様。それの色違いの小物入れはありますか?」


「色違い?ええ、あったわ。」


「じゃあ、その小物入れがあった場所を教えて下さいませ。」


せっかく姉が選んでくれた小物入れなので、色違いがあれば購入したいなと思ったのです。


「シオンは甘いなあ。」


と兄が苦笑していますが、家族の皆さんの方が甘いと思いますよ。

そう心でつっ込みを入れてしまいました。


姉に手を引かれ、程なく商品がある棚に着き私の好きな桃色の同じデザインの小物入れがあったので、これを購入することにしました。

ちなみに姉も、自分が持ってきた色違い(紅色)の小物入れを買うそうです。


「私とお揃いね!」


「はい。お揃いですね、お姉様。」


姉の笑顔に、私も嬉しくなりました。



……そういえば、兄の姿が見当たりませんね。

父は店長とお話しているようですが。


「ところでお兄様は、どこにいるのでしょう?」


「あら確かに。エクス、どこに行ったのかしらね?」


姉も、兄が居なくなったのは気づいていなかったみたいですね。

さすがに迷子になる歳ではないですし、しっかり者の兄ですからそれほど心配はないのですが……。


姉と一緒に兄を探していると、遠くから兄の声が聞こえて来ました。

誰かと話しているみたいです。


兄に近づくと、兄はこちらに気づいて相手の方との話を一旦辞め、手招きしました。

そして、


「マリー、シオン。彼は僕の友人のサーシャだよ。来年からは、一緒に高等学校に通うんだ。今日は買い物に来ていたんだって。」


と、紹介して下さいました。


「サーシャ・アルヴィオスです。」


と、兄のご友人の方もご挨拶して下さいました。


サーシャ様は、淡い紫の髪に、紺色の瞳をお持ちです。ちなみに、銀縁のメガネをかけています。

中性的な容姿なため一瞬女性にも見えますが、男性です。


「マリー・ローゼットと申します。エクスの双子の姉ですわ。エクス共々、来年から宜しくお願いいたします。」


「こちらこそ、宜しくお願いしますね。」


姉は、優雅に自己紹介をして、サーシャ様もふわりとした笑顔で答えました。


「し、シオン・ローゼットと申します。ローゼット家の次女です……。」


「……あぁ!貴女がいつもエクスが自慢してくる妹さんですね。」


私は、少しどもりながら自己紹介しました。

サーシャ様はちょっと気になることを言いつつ、こちらも優しい笑顔で答えていただきました。


サーシャ様はとても優しそうなお兄さんですが、私の内心は酷く焦っています。


思い出してしまったのです。サーシャ様もヒロインさんの攻略キャラだったと……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ