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悪役令嬢は可愛いものがお好き  作者: 梓弓
第一章
5/46

3.5

僕は、エクス・ローゼット。ローゼット伯爵家の子息だ。

来年、高等学校に入学する事になっている。


ローゼット伯爵家は国内でも有力な貴族だ。

父、ジーク・ローゼット伯爵は宰相補佐の職に就いている。

家族以外には基本的に辛辣な仕事人、らしい。


家族は他に、母、双子の姉、妹が二人。


母、アイラは滅多に怒らず、とても穏やかな人。

父とは正反対の外見や内面を持っているのに、とても上手く行っている。


姉、マリーは気の強い僕の片割れで僕のライバル。特に、妹達の事に関しては。


一人目の妹、シオンは唯一母に面差しが似ていて、少し恥ずかしがりや。

甘えてはくれるのだが、あまり好意を口に出さない。たまに口にする好意と笑顔は、破壊力抜群だ。


二人目の妹、フィリアは天真爛漫で、素直。特にシオンのあとにくっついているのは、雛鳥みたいでとても愛らしい。


家族仲はとても良好だと思う。

なので、これから家族と離れるのが辛い。


双子の姉は一緒に入学はするが、兄弟は同じ組にはならないし、性別が違うので頻繁に会うことも無いだろう。


特に愛しい妹達に会えないのが、辛い。

歳が離れている分、余計に目に入れても痛くないほど可愛いのだ。


昨日は珍しく妹のシオンが僕の部屋に来たが、なぜか高等学校の事について聞いてきた。


理由は『大好きな』僕たちが来年から通うのがどんな場所か聞きたかったからだそうだ。


あまりその様な事を言わないシオンの、しかも笑顔付きの言葉に思わず引き寄せて撫でてしまった。


最初のうちは恥ずかしがっていたけど、だんだん眠くなって来たようで、最後は眠ってしまった。

可愛い寝顔を使用人には見せたくなかったので、僕が直接シオンの部屋に運ぶ事にした。


僕の部屋とそれほど離れていないシオンの部屋に入り、シオンをベッドに寝かせた。

布団をきちんと掛けた後、大きな音を立てないようにしてシオンの部屋から出た。


その足で姉の部屋に向かう。シオンとの事を話す為だ。後で姉の耳に入るよりは、先に言っておいた方が良いと思ったからだ。


姉の部屋を訪ねると、姉は部屋に居た。従姉でもあるメイドのアンナと談笑していたらしい。


「何か用?」


と聞かれたので、シオンと話した時の事を伝えた。


すると姉は、その場に居なかったのが悔しかったらしい。

ギリギリと口を噛んで僕を見ている。


(……怖い。)


思わず顔が少しひきつる。


ただ、僕も姉の立場だったらとても悔しいので

この状況は仕方ないと思っていると……


「差し出がましいようですが……

マリー様、そのくらいにして差し上げませんか?」


というアンナの声が聞こえた。

そして


「『シオン様の大好きなお二人』が喧嘩をしていたら、シオン様はどう思いになると思いますか?いつもおっしゃられてますよね。『喧嘩は嫌い』と。」


と言ってきた。


確かにシオンは、僕と姉が喧嘩しそうになるとさりげなく現れて、「喧嘩は嫌いです……」と悲しそうに言うのだ。


姉もそれを聞くと、渋々ながら


「……分かったわよ。」


と言って頷いた。


さすがアンナ。小さい頃から姉のお付きのメイドとして仕えているので、頼りになる。


アンナのおかげで何とかその場を納められた僕はアンナに感謝しつつ姉の部屋を出る。


その後、姉にシオンとの事を話したのを、アンナがシオンに伝えたそうだ。

それを聞いたシオンは姉の部屋に行き、照れながら


「マリーお姉様、大好きですよ。」


と言ってきたらしい。


姉はもちろん大喜びで、シオンが遠慮するにも関わらず夜は一緒に寝たそうだ。羨ましい。


今回の事で、僕も姉も更に家から離れがたくなった、と思ってしまうのだった。


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