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悪役令嬢は可愛いものがお好き  作者: 梓弓
第一章
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カイト様に少し不意打ちを食らってしまった私ですが、カイト様は特に変わりなく私の手を引いて歩いているので私も気を取り直して自室に向かう事にしました。

カイト様は何回も我が家に来たおかげか、私の部屋への行き方を把握しているようで私が案内しなくても問題なく私の部屋へと着く事が出来ました。


「さ、どうぞお入り下さい。」


「うん。お邪魔するよ。」


私は自室のドアを開け、カイト様に中に入る様促しました。

カイト様も私の言葉に頷きつつ中に入ります。


基本的にスイーツデコは入って直ぐの部屋では無く奥の部屋の作業場でするので、


「粘土は奥の部屋でやりますので。」


「うん。前にも粘土細工をした奥の部屋だね。」


「はい。準備もしてあります。どうぞこちらへ。」


と、更に奥の部屋の作業場へとカイト様を促しました。


「…何か足りない物が無いか調べますね。少し待っていて下さいね、カイト様。」


「うん。」


私はカイト様と共に作業場へと入った後、改めて何か足りない物がないか作業机の上や材料が入ったボックスをチェックしました。

そして特に足りない物も無くスイーツデコを始めても問題無かったので、


「……特に足りない物も無さそうですね。」


「じゃあ母への贈り物作り、始めようか。」


「はい。素敵な小物入れ作りましょうね。」


「うん。」


と言ってカイト様と頷き合い、小物入れ作りを始めたのでした。



「…まず初めに、クロカンブッシュで一番大切なシュークリームを作りましょう。」


「うん、シュークリームが無いと始まらないからね。」


「ふふ、そうですね。」


とカイト様に笑顔で返した私ですが手は石粉粘土へと伸ばし、粘土の袋を開けてカイト様に粘土を手渡しました。


「以前粘土は二種類使うとお話ししましたよね。」


「うん、覚えているよ。その方が質感とか強度もちょうど良いんだよな?」


「はい、その通りです。さすがカイト様、完璧に覚えてますね。」


「さすがと言われる程でも無いけど…。」


私の褒め言葉にそう返したカイト様ですが、否定はしつつ少し嬉しそうです。

そんなカイト様を微笑ましく思いつつ、もう一つの紙粘土の袋も開けます。


「……さて話は戻りますが、今カイト様に渡した粘土とこの粘土を一対一で混ぜます。」


「うん、でもどれ位混ぜるんだ?」


「そうですね…あまり多すぎても余ってしまいますから、ちょうど半分位で良いと思います。カイト様はそちらの粘土を半分に切って頂けますか?」


「半分位ね、分かった。」


カイト様は私の言葉に頷くと手元にあった粘土用ナイフで粘土を切り始め、それを見つつ私も粘土を半分に切り始めました。


「…粘土とは言え石の粉から出来てるからか少し切りづらいな。でもこの硬さは必要だしね。」


「そうですね。でもすみません、カイト様に切りづらい方の粘土を渡してしまいましたね。」


と私が申し訳無さそうにすると、


「えっ、いや大丈夫だよ。それに切りづらい方は僕がやらないと。」


カイト様は慌てて返してきました。


そんなこんなで粘土を切り終えた私達ですが、次の作業へと進みます。

ちなみに半分に切った粘土片方は乾かない内に保存容器にしまいました。


「さて次の工程ですが、二種類混ぜる前にある程度柔らかくしておきます。」


「その方がやっぱり混ぜやすいよな。」


「はい、その通りです。ただあまり先に捏ねすぎても乾いてしまうのである程度柔らかくなったら二種類混ぜます。」


とカイト様に説明し、それぞれ粘土を捏ね始めます。


そしてある程度柔らかくなった紙粘土をカイト様へ手渡しました。


「はい。どうぞ、カイト様。」


「うん、ありがとう。」


私が捏ねた紙粘土をカイト様は頷きながら受け取り、自身が捏ねた石粉粘土を混ぜ始めます。

そして数分経ち、そろそろ二種類が馴染んだと判断した私は、


「カイト様、そろそろ二種類の粘土が馴染んだみたいですし粘土に色を付けましょうか。」


と言って絵の具セットの中から絵の具を何色か出してカイト様に渡しました。


「とりあえずこの何色かの絵の具を少しづつ混ぜて色を付けていきます。基本は茶色ですが、少し赤みが強いので黄色と白色を少し足して見て下さい。」


「なるほど。確かにそれならシュークリーム生地みたいな色になりそうだ。」


とカイト様は感心するように言いながら私が言った通りに粘土絵の具を数色混ぜます。

そしてまた捏ねること数分。綺麗な生地の色の粘土が出来上がったのでした。


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