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悪役令嬢は可愛いものがお好き  作者: 梓弓
第一章
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2

というわけで、ひとつめの死亡フラグは回避できたはず?です。

確実に折れるフラグは、折って行かなければなりませんからね。


現在の私の年齢は9歳です。

原作の乙女ゲームの物語は、高等学校に入学してからスタートします。

この高等学校は、貴族の子女が15歳から17歳まで強制的に通わされる、全寮制の学校です。


それまでは、家庭教師が基本的な勉強やマナー等を教えます。(大体、10歳位から学び始めます。小学校から中学校程度の課程です。)


高等学校では、家庭教師が教えきれない実践的なマナーを学んだり、将来の相手を見つけたり、人脈を作ったりします。


その高等学校に、ヒロインさんが入学してきます。

私も同じ年に入学することになっています。


正直、かなり行きたくありません。

私の死亡フラグを立てる人物達の巣窟なのですから……。

拒否が出来ない以上は、目立たず騒がず、平凡な生徒として通いたいと思います。


そんな事をつらつらと考えていると、隣に座っている人物から声を掛けられました。


「シオン、ちゃんと話聞いてる?」


私の兄『エクス・ローゼット』の、ちょっとたしなめる美声が聞こえました。

余談ですが、エクスの声を当てている声優さんはかなり有名で、私の大好きな声優さんでした。


「ご、ごめんなさい、お兄さま。」


慌てて兄に謝りました。

そう。今は、攻略キャラでもある兄に高等学校について話を聞いていたのでした。

兄は、来年から双子の姉と共に高等学校に入学するのです。


「いいけどね。でも、シオンはまだこれから初等教育が始まるのに、なんでまた高等学校の事を知りたいんだい?」


「……えっとぉ。」


兄から至極全うな質問がきました。

そうですよね。まだ9歳の小娘が高等学校に興味があるなんておかしいですよね……。


「大好きなお兄さまとお姉さまが、どんな場所に通うのか知りたかったのです。」


ニッコリと笑顔で答えました。

まさか、自分の死亡フラグを折るために情報が欲しかったなんて言えませんよね。



「!……はぁ。」


兄は少し目を見張った後、ため息をつきました。


「お兄さま?私、なにか失礼な事を言ってしまいましたか?」


(何か変な事を言った覚えはないのですが……。)

と疑問に思っていると、


「っきゃ。」

兄にぐいっと引き寄せられました。そして頭を撫でられています。


「あんまり、可愛い事言わないの。」


兄は、苦笑しながら言いました。


「お、お兄さま。恥ずかしいです。」


いくら大好きな兄でも、至近距離で聞く美声は迫力があります。抗議しますが……


「可愛い妹を愛でて何が悪いのか。」


兄はさらりと言い、まだ私の頭を撫でています。


結局そのまま撫で続けられた私は、その心地好さに眠気を誘われて、いつの間にか眠ってしまいました。やっぱり、身体の年齢に引きずられてしまうようです。


兄に話を聞いていたのは兄の部屋でしたが、目覚めた時は既に自室でした。

なんと、兄がおんぶで運んでくれたみたいです。

というか、使用人に運ばせたくなかったとか。

なぜですか、兄。

兄の外見は儚い美形ですが、意外に力はあるようです。


精神年齢が下であるはずの兄に世話をされてしまうとは……

今回の情報収集は、ちょっと気恥ずかしい結果になってしまいました。

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